会社でも筆跡鑑定を行うことがある?詳しく解説
昨今、社内横領や情報漏洩といった、内輪問題が増加しています。企業側でもそういったトラブルを防止するために信用調査を行ったり、採用候補者に対して独自の採用試験を実施するところがあります。そんな中、社内でも筆跡鑑定を行う事があることをご存知ですか?そこで、今回の記事では会社での筆跡鑑定についてご紹介したいと思います。
筆跡鑑定が必要な場面

筆跡鑑定は、筆跡から同一人物か別人かを判別したり、特定の人物を特定する際に使用しますが、会社内ではどんな場面で必要になるのでしょうか。
嫌がらせの手紙を特定する(社内いじめ)
特定の人物宛に、匿名の誹謗中傷の手紙を送るという嫌がらせが、近年社内いじめとして問題視されています。あえて手紙の筆跡を、当事者と同じものにして相手を撹乱させる手法を使うものもおり、悪質性の高い嫌がらせです。こうした嫌がらせ手紙の送り主を特定するために、筆跡鑑定を行う事があります。
直筆の怪文書解析
企業宛に送られてくる怪文書は、そのほとんどがパソコンなどによるデータ書面ですが、ごく稀に直筆で怪文書を送付されることがあります。こうしたケースでは筆跡鑑定によって、誰が送ったのかを特定することがありますが、ほとんど場合は、「筆跡鑑定されることを想定」して、送付しているため鑑定が難しく、捜査を撹乱させるための直筆という場合もあるようです。
偽造文章、契約書の解析
企業内でも、誰がつくったか分からない文章や直筆の契約書に対して、人物特定のための筆跡鑑定を行う場合があります。このケースでは、企業業や違法性の問題に直結することが多いため、その他の調査(指紋鑑定など)と同時進行で筆跡鑑定を行う形になります。
筆跡鑑定によって分かること

筆跡鑑定には鑑定を重視する「法科学」と執筆者の心理を重視する「心理学」の二つが存在します。筆跡鑑定では、原本と対象の文章が同一人物のものであるのか、別人物のものであるのかという部分を鑑定するため、法科学が基本となり、心理学はあまり利用されることはありません。
しかし、心理学では執筆者の性格、執筆時の感情、精神状況などを解析することができるため、場合によっては筆跡鑑定の一部として利用されることもあります。
法科学は昭和の警察から始まった
現在、筆跡鑑定の主流として取り入れられている「法科学鑑定」ですが、これは昭和23年に設立された科学捜査研究所の文書鑑定係が始まりでした。それまでの筆跡鑑定は、科学的根拠がなく、万能なものではなかったため、法科学式の鑑定は瞬く間に浸透したのです。法科学による筆跡鑑定は「失敗が許されない」警察機関での犯罪捜査が主だったため、さらに高度に進化したものと思われます。
現在の筆跡鑑定では、様々な観点から複合的に鑑定を行うことで、高水準の技術を確保しています。
民間で発展を続ける心理学
警察機関では、心理学を使った筆跡鑑定も導入されていましたが、現在は民間で使われる事が多く。心理学を使った筆跡鑑定を「筆跡診断」と呼んでいます。筆跡診断はその名の通り、筆跡から相手の性格、精神状況などを診断するために利用するもので、筆跡鑑定とは違うものです。
警察の捜査や、国家機関の調査などで行う筆跡鑑定には相互作用を狙った筆跡診断も導入されており、法科学、心理学ともに今なお進化し続けています。
筆跡鑑定方法
筆跡鑑定は字画、筆圧、偽筆、筆順、配字の5つを基盤に行います。
字画検査
一画一画の形や長さはもちろん、はね、止まり、はらいなどの形を細かく検査する方法です。また、文字全体の形や傾き、作りなども検査項目に含まれており、特徴の恒常性などについても検査しています。
筆圧検査
名前の通り、文字を書くときに加わる力の度合いをチェックする検査方法です。筆圧は個人差が激しく、その時の感情や状況によっても大きく変わるものなので、偽造文書などを把握する際にはとても有効な検査と言えます。
偽筆検査
偽筆とは、他人が誰かの真似をして書いた文字のことを言います。精巧に真似た筆跡であっても、執筆者の集中力が切れた時にどうしても癖が出やすくなります。偽筆検査ではそういった執筆者の粗探しを行うのにも向いています。筆跡を似せて書いた契約書や、偽造文書の解析に使われることが多く、筆跡鑑定では必ず行われる検査の一つです。
筆順検査
筆順はあらかじめ決まっているものですが、個人の性格や気分によって、筆順は大きく変わります。筆順検査では、そうした特有の癖を見つけ出し、原本とどれだけ差異があるかを調査します。
配字検査
配字検査とは、文字の大きさや書く位置、文字の感覚などをチェックして、執筆者の癖を検査する方法です。人それぞれ、必ず文字の書き方に癖があります。そうした癖が調査対象の原本とどれだけ同じかを調べることで、同一人物であるかチェックすることが出来ます。
筆跡鑑定が行われた実例

企業内で筆跡鑑定が行われる理由の多くは「不正」や「信頼問題」によるものです。そのため、筆跡鑑定だけでは解決に至らないことが多く、問題解決のための一つとして筆跡鑑定を行うというケースが多いようです。ここでは、実際に筆跡鑑定が行われた事例をご紹介します。
女性オーナーに対する誹謗中傷文書
従業員20名ほどのアパレル会社を経営していた40代女性オーナー宛に、プライベートな問題を誹謗中傷する文書が何度も送られてくるようになり、困った女性オーナーは筆跡鑑定を依頼することにした。手紙の内容から社員か取引相手ではないか?ということで、同時に探偵業者へ調査依頼もお願いすることになった。
調査の結果、女性オーナーの側近である女性役員が、会社を倒産させるために仕組んだことだとわかった。誹謗中傷の手紙は、女性オーナーを真似た偽筆であったが、プロの筆跡鑑定士であったため、即座に偽筆であることが判明したという。その後、女性役員は懲戒解雇となり、事なきを得た。
同僚の悪評を上司に文書で提出
上司から責任ある仕事を任されていた30代社員Aさんは、ある日そのプロジェクトから外されてしまう。原因を上司に問いただすと、Aさんの素行不良による企業イメージの低下を防止するためということだった。しかし、身に覚えのないAさんは、事実無根だとして企業を訴える行動に出る。その結果、上司は手紙が届いたことを告白。その手紙にはAさんの異性問題、プライベート、勤務態度などが書かれていたが、全て根も葉もない嘘だった。事態を重く見たAさんは、探偵業者に調査を依頼し、上司に送られた手紙の筆跡鑑定、指紋鑑定を行った。
調査の結果、手紙を送付したのは同じプロジェクトで働く同僚であり、ライバルでもある男性社員であることがわかった。Aさんは企業の本部にこのことを報告し、男性社員は自主退職、上司は降格という処分が下された。
まとめ
いかがだったでしょうか?社内でも偽造文書や不審者の手紙など、筆跡鑑定を利用する機会は多く存在します。しかし、筆跡鑑定で分かることは少ないため、利用方法は限定的になってしまうでしょう。適材適所で活用することができれば、筆跡鑑定は有用な方法なのかも知れません。
投稿者プロフィール

- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
最新の投稿
家出・所在調査11月 7, 2024SNSで人を探す方法と注意点
浮気調査11月 1, 2024探偵による浮気調査の流れと方法を徹底解説
素行調査10月 18, 2024興信所の素行調査料金の相場とは?料金プランと調査能力を見極めるポイント
採用調査3月 6, 2023リファレンスチェックで質問して良い内容・質問してはいけない内容とは













