機械学習による筆跡鑑定とは?詳しくご紹介
現代の筆跡鑑定では、80%以上の鑑定がコンピューターによって処理されています。
筆跡を数値解析する、まさにコンピューター・サイエンスの世界なのです。
筆跡の特徴を数値データとして抽出した後、その総合データを解析します。
そして、その解析データを「鑑定人」が評価・判定して、鑑定書を作成しています。
裁判所でも、この数値データで解析された鑑定書を採用しています。
筆跡鑑定の世界も、今やコンピューター・サイエンスとともに進化を続けています。
筆跡の鑑定方法
人は、「文字」にその人のさまざまな特徴が現れています。われわれは子供の頃、学校で教科書や指導者によって文字を教わりました。その後、成長するほどに、筆跡個性は明瞭になり、個別化し固定していきます。
筆跡からわかる個性
その文書が同一人なのかを識別するためは、その筆跡に現れる「個人の癖」を科学的に解明する必要があります。
具体的に、「個人の癖」とは?!
人が無意識的に行う動作。
他人とは異なった特徴。
個人の習慣、きまり。
筆跡鑑定では、筆跡に表れる、この「癖」を個人の特徴と捉え、データベースと比較や検証を行います。
筆跡とは人間行動の一部である
法科学における「筆跡」とは、書字運動の一部が残されたものとされています。つまり、筆跡を鑑定することは、その筆者の書字行動の一部を捉えるということです。
筆跡鑑定は単に、文字の形の違いを比較するだけではありません。個人の傾向(癖)は個人差、希少性、恒常性として、捉える事ができるのです。筆跡は書字行動の一部だとしたら、いつも、同じではありません。
また、筆跡鑑定は一文字づつ比較し検査すると、イメージされる方が多いかもしれませんが、法科学における筆跡鑑定では、文書全体をみて筆跡判断をします。文字とは書字行動であり、人の行動の一部として捉えているからです。
書字行動から「個性」を見る
では、書字行動とは具体的に、どのようなものなのでしょうか?筆跡にも行動個性が存在しています。知人の筆跡を見て、誰だか分かるときがありませんか?これは、筆者の「行動個性」が筆跡に現れているからだといえます。そして、この「行動個性」=「書字行動」が筆跡鑑定を行う判断材料となります。
サイバースペース上の個人特定
現代社会においては、スマホ・メール・SNSなどのコンピューター上で文章を作成することが、中心になりました。
また、犯罪で用いられる脅迫文や声明文なども、手書きの文字は少ない傾向にあります。そこで、プリント文字やサイバースペース上の文章から、個人を特定する研究が進められています。筆者識別が可能になるには、その人の文章に、「癖」が存在しているからです。
そして、「癖」から「個人内恒常性」を見つけ出すことで、筆者識別を可能にします。この「個人内恒常性」とは、ある個人の文体的特徴が、文章を記載するごとに若干の変動があるとするもので、その見つけ出すための具体的方法は、
・「Stylometric Analysis=計量文献学」
・「Write Print=書字指紋」
・「Text Mining=テキストマイニング」
・「n-gram=形態素解析」
・「genetic algorithm=遺伝的アルゴリズム」
などの数学的手法を用います。
そして、数値データから類似性または相違性の存在を見つけ出し、対象人物との判定をおこないます。
機械学習とは
機械学習とは、コンピューターが経験からの学習により自動で改善するアルゴリズムで、人工知能の一種です。訓練データや学習データを使って学習し、仕事をこなしていきます。この学習する仕組みを、ニューラルネットワークといい人間の脳内に存在する神経細胞(ニューロン)をモデルに作成されたシステムです。
また、ニューラルネットワークを多層にしたものを、ディープラーニングといっています。ディープラーニングは、機械学習をさらに発展させたものといえます。筆跡鑑定の近未来は、ディープラーニングを用いた「個人の癖」の解析です。
AIが、様々な情報を学習して、人の知能のように判定するプログラムです。法科学の分野では、画像解析や顔認証などの研究分野です。
筆跡鑑定でサイバー犯罪と闘う
近年、テロリストや過激派が、世界に多大な影響を及ぼすようになりました。そして、サイバー犯罪は拡大していくと考えられます。このような社会状況から、筆跡鑑定を用いて、Web・メール・印刷物などの制作者を解析する研究が行われています。
AIは数学的、統計学的データを深く学習し、文章から「個人の癖」発見できるようになるというものです。コンピューターを使った方が、法科学の専門家よりも正確な判断が可能になります。また、大量の資料の一部のデータからでも、瞬時に識別することが出来るようになります。法科学の分野で、筆跡鑑定は歴史が古く、その時代ごとの最先端技術が取り込まれて、こんにちまで進化を続けています。
今後は、機械学習が可能なAIが筆跡の膨大なデータから犯人や調査対象者などの傾向、クセなどを読み取り、それが調査などに活かされることもさらに増えていくことでしょう。しかし機械を信頼しすぎることなく、人間と機械がそれぞれに異なった判断軸で公平に事例を分析し、正解へと駒を進められるのが理想的な展開だといえます。
まとめ
筆跡鑑定の結果は裁判での証拠となります。経験と知識を持つ専門家による鑑定が必要不可欠ですが、現在の日本では筆跡鑑定の資格はありません。そうなると、鑑定結果が筆跡鑑定人の信頼性に大きく左右されてしまいます。
コンピューターを使って筆跡鑑定を行うことは、専門家の知識を使用せずとも筆跡鑑定が行えるということです。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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