これからはタブレットの電子署名の時代に・筆跡鑑定は可能なの?
携帯電話や保険の契約をする際に、タブレットなどに電子サインをした経験はありませんか?まだ電子署名には慣れないという人もいるかもしれませんが、法的な効力を有するのでしょうか?また電子署名の筆跡鑑定は可能かどうかについてくわしく見ていきます。
実はあいまいな存在の電子署名
スマホを購入するときやクレジットカードに申し込む際に電子署名で、タブレットなどに自分の名前を手書きすることがあるでしょう。多くのところでやっているので、法的効力があると思いがちです。しかし実際のところ、電子署名は現段階ではあいまいなところがあります。契約書が神聖なものであるかどうかは、署名もしくは押印と電子署名のいずれかがあるかどうかがポイントです。
電子署名と書かれているからOKと思うでしょう。しかし法律上の「電子署名」とは「公開鍵暗号方式」のデジタル署名を意味します。タブレットのスクリーンにサインを手が気にすることは法律上は電子署名ではありません。
一方「署名」とは何か、法律の条文を見てみると「インクで紙に書くこと」とは書かれていません。つまりタブレット上に手書きで署名すれば法律上「署名」したことになると解釈できます。
タブレット上の署名はインクで紙に書いていないので署名とは言えない、また公開鍵を使って暗号化されているわけでもありません。ですからタブレットで署名することを電子署名と呼ぶこともありますが、法律上はその定義を満たしていないので電子署名とは言えない可能性があります。非常にあいまいな存在であるというのが現状です。
新型コロナで電子署名が浸透
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、不要不急に外出や他人との接触を極力避けるように求められています。そんな中で日本でもペーパーレス化が進んでいます。法的に重要な書類として重要事項証明書があるのですが、2020年10月からはペーパーレスが試験的に導入されました。また住民基本台帳の手続きにおいて、タブレット画面の手書きの電子署名を自署として認める自治体も出てきています。このような動きを持つと、今後電子署名は正式な署名として認められる可能性は高いでしょう。しかし、現在のところ、電子サインの取り扱いをどうするかは棚上げの状態が続いています。
電子サインは筆跡鑑定できる?
ところでこのようなタブレット端末に電子サインした場合、筆跡鑑定はできるのでしょうか?結論から言うと、筆跡鑑定は可能です。ただし筆跡鑑定は複数の筆跡を比較して、実際に当人が書いているかをチェックします。電子サインの場合、同じくタブレットに書かれた文字を複数用意して比較しなければなりません。紙に書かれた筆跡の場合、少し文字の書き方に違いの生じる可能性があるからです。
またタブレットに文字を書くのに慣れていない人も多いです。皆さんも署名のためにタブレット上に書いてみたけれども、どうも思ったように文字が書けないという人もいるでしょう。書いた感じが変わってくる以上、紙に書かれた文字と比較すると「同一人物ではない」という結果が出てしまう恐れもあります。
電子サインの機能も日々どんどん発達しています。最新機種で署名をすれば、紙で書いたときにかなり近い筆跡になってきていると言います。現在ではタブレットに書かれた筆跡は紙の原本をコピーしたくらいの精密度は有していると言います。
保存をする必要がある
ただしデジタル署名の場合注意しなければならないのは、保存する必要のある点です。申し込みの際に利用したことのある人はお分かりでしょうが、手続きが終了すれば、自分の書いた文字は消されてしまいます。別の契約手続きにも同じ端末が使用されるからです。筆跡鑑定するためには、例えばパソコンなどほかのデバイスと通信して、情報を保存する必要があります。
筆跡鑑定は高いレベルでチェックできる
筆跡鑑定は文字の書き方で本人かどうか判別する方法です。すると中には「わざと文字を崩して書けば自分が書いたとバレないのではないか?」と思う人もいるでしょう。過去脅迫文などを作成する際に人物特定されないために定規やテンプレ定規などを使って文字を書くケースもありました。一見すれば普段の自分の各文字と全く異なるかもしれません。しかし筆跡鑑定はただ単に文字の形状だけを見ているわけではありません。
しかし定規などで書いた文字でも、専門家が見ればその人の筆癖がわずかではあるものの現れることもあると言います。また怪文書などの長文のものであれば、文章の言い回しや個人でよく使用する語句の有無など多角的に鑑定を行います。「てにをは」の使い方など、幅広く鑑定を進めることでどのような個性の持ち主がこの文章を書いたかで人物の特定をしていきます。目先を多少買えたくらいでは、なかなか筆跡鑑定の網から逃れることはできません。
電子サインも試験済
ペンタブレットによる署名に関する筆跡鑑定の実験は、すでにいろいろなところで行われています。筆跡鑑定を行っている民間企業に大手通信事業者から鑑定依頼が持ち込まれたことがあるそうです。その中で複数人の筆跡鑑定が行われました。その結果、鑑定の制度は100%近くに達しました。
電子サインで使われるツールもどんどんこれから進化していくでしょう。実際の紙に書くのと同じような感覚で記名できるようなデバイスも出てくるかもしれません。また今まで以上にペンの動きを忠実になぞらえた筆跡を作成できる可能性も高いです。そうなれば、タブレットと紙書類の文字を比較して鑑定することも今後できる可能性もあります。
まとめ
電子サインの手続きを導入しているところは今後ますます増えるとみられています。最近ではスマホの加入やクレジットカードの入会申し込みだけでなく、幅広い業種で導入しています。例えば金融機関でもタブレットによるサインを採用しているところも出てきています。またホテルにチェックインするときに署名が必要ですが、デジタル化を進めているところも増加傾向です。医療機関でも患者の意思確認をとる際にタブレットを使用するところも大規模病院を中心に増えています。今後デジタル署名のデータもどんどん増えていくでしょう。そうなれば、文字を比較するためのデータも参照しやすくなり、筆跡鑑定の精度も向上するでしょう。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
最新の投稿
- 浮気調査11月 6, 2024浮気を隠すために使われる言い訳10選
- 素行調査11月 6, 2024探偵による素行調査の方法とは?
- 採用調査11月 5, 2024採用前のバックグラウンドチェックとは?その目的や確認できる内容を簡単に解説
- 採用調査10月 22, 2024採用調査は本当に必要?企業の損失を防ぐための適切な活用法