家庭に怪文書が送られてきた!差出人不明の怪文書、正しい対応方法

怪文書とは、「差出人不明の悪意をもった文書」のことです。例えば芸能人に怪文書が送られた、政治家の事務所に怪文書が…といった事件は耳にするかもしれませんが、有名人だけでなく一般の方でももちろん怪文書トラブルは存在します。
平和に暮らしていたところに、怪文書が届いたら?どのように対処するのが正しいのか、数々のトラブルを解決してきた探偵目線で、今回は詳しいところを解説します。家族への影響も考えて、家庭に届いた怪文書は即座に対応するようにしましょう。
怪文書とは?どんな罪になる?

今一度怪文書の意味を説明すると、差出人が不明・匿名で届く悪意を持った文書のことです。怪文書の内容はさまざまですが、大きく分けると3種類となります。
・誹謗中傷
・告発
・脅迫
いずれも「誰から攻撃されているか分からない」「悪意を突然ぶつけられたショック」などで、受け取った方は大きな精神的ダメージを受けるでしょう。家庭に届く怪文書だと、自分だけでなく家族への影響も気になります。子どもや配偶者に危害が及ぶ前に、適切な対応をしなくてはなりません。
では、怪文書はどんな罪になるのでしょうか?迷惑であることに違いはありませんが、怪文書はどういった刑事罰で相手の責任を問えるのか、見ていきましょう。
名誉毀損罪
不特定多数の目に触れる貼り紙やネット上の書き込みなどで怪文書を公表した場合、その相手の社会的な名誉、立場、評価を落とすような内容であれば名誉毀損罪が成立することがあります。家庭に届く怪文書だと「ネットの書き込み」ほどの拡散力がないとはいえ、罪を指摘し「二度と繰り返さないように」と注意することは可能です。
さらに、匿名ではなく自分でない第三者の名前を使って怪文書を送った場合には、その第三者の名誉を毀損したとして罪が成立するでしょう。これは具体的な名前を出さず「○○町町内会会長より」など役職名だけを語っても同じです。
侮辱罪
例えば怪文書の中に「バカ」「人でなし」といった抽象的な悪口が含まれていると、侮辱罪として問われる場合があります。怪文書とはさまざまありますが、特に家庭に届く怪文書には侮辱する文書が含まれていることは多いです。
コロナ禍で営業する飲食店に対し「こんな時期に営業するのはバカ」だとか「コロナ対策は無意味。アホ」といった貼り紙をする事件もありました。これは侮辱罪が成立する怪文書です。些細なことでも受け取り方次第では成立する罪なので、受けた被害はきちんと認識し、しかるべき対応を取っていきましょう。
脅迫罪
生命や体、自由、財産を脅かす怪文書では脅迫罪が該当します。家族の不倫相手が離婚しない配偶者に対して業を煮やし、「離婚しないと不倫の事実を会社にばらす」と怪文書を送ったとしましょう。不倫とはやってはならないことですが、怪文書については別問題です。ここでは不倫相手の脅迫罪が成立すると言えます。
他にも、「家族に危害を加える」「家を燃やす」といった怪文書も脅迫罪になる可能性が高いです。このように怪文書の内容によってさまざまな罪が成立し、この罪が刑事告訴に該当するかどうかで迷ったら法的見解が深い弁護士に相談するのも一つの手段です。
住居侵入罪・建造物侵入罪
怪文書を投函する場合や貼り紙として貼り付ける場合に、個人の敷地内や立ち入り禁止の場所に入り込むと住宅侵入罪・建造物侵入罪に該当します。さらにこの罪は、実際に立ち入っていなくても「立ち入る予定だった」「立ち入ろうとした」だけで成立するため、注意しておきましょう。
民事訴訟として慰謝料請求も可能
これまで刑事罰をご紹介しましたが、怪文書は前提として迷惑行為であり、相当な精神的ダメージを受けるものです。怪文書が原因で気に病み、受診が必要となった場合や繰り返し迷惑行為を重ね反省の色が見えない場合だと、民事訴訟を起こし慰謝料請求する場合もあります。
また、怪文書をネット上に書き込むなど拡散力の強い形で、
・個人の名前や住所、電話番号など個人情報
・隠しておきたい過去の出来事や犯罪歴、恋愛歴など
を公開するとプライバシー権の侵害に当てはまることも。こちらも民事で争い、落としどころを決めます。
すぐに訴訟できるわけではなく、まずは示談・話し合いで解決方法を探り、不調に終わると調停、裁判と進みます。家庭に送られる怪文書だと刑事告訴も該当しますが、民事訴訟として相手に責任追及もできるため、さまざまな方法で相手の罪を問いただせる点は頭に入れておきましょう。
家庭に届く怪文書。どんな人物が送っているのか?

家庭に届く怪文書。例え個人を対象にした嫌がらせでも、これはれっきとした犯罪であり迷惑行為です。しかし、先ほどご紹介した責任を追及するためには、「誰が送ったのか」をはっきりさせておかなくてはなりません。家庭に届く怪文書の実例から見て、どんな人物が怪文書を送る可能性が高いのかまとめました。目を通していきましょう。
不倫相手、不倫相手の配偶者
まずは不倫相手、不倫相手の配偶者です。配偶者が不倫をしている、もしくは自分自身が不倫相手がいたとして、不倫関係の末に恨み・妬みを持たれる場合は非常に多いです。「離婚すると言ったのに、夫婦には子どもができたと聞いた。話が違うから精神的に攻撃したい!」という気持ちが怪文書として現れるかもしれません。この場合は夫婦関係を崩壊させたい心理が働いており、ここまでの行動に出るということは犯人も相当追い詰められていると考えられます。
次に、配偶者が不倫をしていたとして、その不倫を知った不倫相手の配偶者が逆恨みして怪文書を送るパターンです。不倫とはやってはならないことなので、相手にしてみると「不倫をしたのはそちらなのだから、どんな制裁を下しても許される」と思っているのかもしれません。ですが、不倫があったとしても怪文書を送る理由にはならないでしょう。この場合も不倫の問題とは別にして、怪文書の責任は追及できます。
近隣住民や同じ地域に住む人
近隣トラブルの末に怪文書として被害が現れることもあります。近所付き合いというのは難しいもので、例えば騒音などで悩んでいる近くの人がいるとき、匿名で注意文を投函することは多いでしょう。これらが過激になり、罵詈雑言に近い文面になるとそれは怪文書になります。
近所に住む人の場合、「どれほど怪文書を送った相手がとんでもない人物か」を周知したい心理も働いています。マンションの場合は共有スペースに怪文書を貼り出したり、玄関や扉に貼ったりすることもあるでしょう。手紙として投函されなくても怪文書であることには違いなく、度が過ぎた注意文も怪文書になる点に注意しておきましょう。
職場関係者
仕事上の関係で昇給や昇格に対して嫉妬されている、取引先とトラブルが起きたなど、職場の関係者から怪文書を送られる可能性もゼロではありません。この場合は怪文書の中に仕事に関連したことが書かれていたり、仕事関係の事実無根の中傷などが含まれていたりするため内容から犯人の想像ができる場合もあります。
こちらも犯人を特定したうえで、被害を繰り返さないようお願いし対応をしなくてはなりません。まずは「誰が」怪文書を送ったのか調べるところから始めなくてはならないでしょう。
子どもの関係者、ママ友など
子どもにまつわる人間関係上のトラブル、ママ友でも怪文書トラブルまで発展することはあります。ママ友とはメディアでも良く取り上げられているように、子どもを介す関係なので特に問題になりやすいです。「うちよりも裕福に見えた」「さりげない発言がすべて自慢に聞こえる」など、主観で物事を判断した犯人が迷惑行為を取るケースも珍しくありません。
この場合は職場関係の人が怪文書を送ると仕事関連の内容となるように、子どもにまつわる内容が目立つと言えそうです。家族構成を知っていてなおかつ子どものことも詳しいとなると、該当する人は絞られるかもしれません。
家庭に送られてきた怪文書。今すぐ対応すべきこととは?

家庭に送られてきた怪文書は、どのように処理すればよいのでしょうか。突然起こった家族の危機に対して、今すぐできることをまとめました。なるべく冷静に立ち回るようにしましょう。
「放置する」は厳禁!
怪文書の内容が支離滅裂で、さらに事実と異なるために「まずは様子見しておこう」と考えるのは厳禁です。犯人の心理としては送った相手に困って欲しい、怒って欲しいと願望があるので、放置し平気なふりをするとさらなる加害があるかもしれません。
また、放置しなかったことにすると、罪を看過したと思われることも。迷惑であることには違いないので、まずは毅然とした行動で罪をゆるさない姿勢が大切です。
警察に相談する
怪文書の内容的に身の危険を感じたら、警察に相談するのも一つの手段です。警察では誰が怪文書を送ったのか分からない、なおかつ事件性が低いとみなされる場合は、即座に捜査が始まらないこともあります。とはいえ警察に相談した実績は残り、「警察に申し出た」ことが犯人の耳にも届くと強い抑制になります。
家庭に届く怪文書の場合は、自分宛だとしても家族への影響も考えなくてはなりません。周辺のパトロール強化もしてくれるため、まずは警察に事実を伝えるのは大切です。
家族に話し、身内だけで対策をする
個人宛に届いたとしても家族には怪文書について話し、しばらくは警戒しながら過ごすようにしましょう。もし一人暮らしで怪文書を受け取ったら、自宅に戻ったり友人を頼りにしたりするのも大切です。
一人で抱え込まずに信頼できる身内だけに相談し、対策を取るようにしましょう。誰でもかまわず話すのは、犯人に対する挑戦的な行動にも映るためおすすめできません。
「監視されている」ことを意識して行動する
しばらくは監視されていることを意識し、行動します。犯人を断定して周囲を疑ったり、「自分で怪文書を送った相手をあぶり出してやろう」とばればれの調査を個人的に行ったりするのは推奨できません。犯人を刺激するような行動に他ならず、逆上してさらなる危害を加えるかもしれません。だからといって見過ごすことはできませんが、極力目立った行動は控えて一人行動はしないようにしましょう。
怪文書が自宅に届いたのだから、「ポスト前を監視すれば犯人を特定できる」と思うかもしれません。しかし、日常生活を維持しながらずっと見張っておくのは現実的ではなく、なおかつ犯人と鉢合わせると大変危険です。では、どのように犯人を探せばよいのか、次の項目から犯人特定の方法をご紹介します。
専門家や調査会社に怪文書の犯人特定を依頼する
怪文書の犯人を特定するために、探偵や興信所の調査を利用できます。探偵というと浮気調査や人探しのイメージが強いですが、こうした調査経験を生かすことで、嫌がらせへの問題解決にも役立ちます。
探偵では
・筆跡鑑定
・指紋鑑定
・文書鑑定
など各種鑑定が可能なところもあり、怪文書そのものから犯人へと近づくことで、調査を進めていきます。ただし怪文書はほとんどがパソコンで作成された匿名文書であり、筆跡鑑定や指紋鑑定だけでは特定できないことがほとんどでしょう。そのため、怪文書の内容から人間関係上で怪しい人を絞り、聞き込みや張り込みなどで犯人へと近づきます。
探偵に依頼するメリットは、警察と違って「誰が送ってきたのか分からない」ときに特定できるという点。自分で調べるには限界があるため、探偵を利用すると個人では分からない深い部分まで踏み込んで調査可能です。また、あからさまに犯人を追及しようとすると、変に犯人を刺激してしまうこともネックポイントでした。この部分も探偵は必ず身分を隠して調査するため、怪文書の差出人に影響を与えることなく問題解決ができるのもメリットでしょう。
探偵では直接犯人に注意したり、逮捕したりする権限はありません。ですが、その後法的処置を考えていたり警察に届け出るつもりだったりする場合に、探偵は解決に向けて心強い味方になってくれるでしょう。
投稿者プロフィール

- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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