怪文書や誹謗中傷行為に裁判で立ち向かおう!詳しく解説
怪文書や誹謗中傷の行為者には、条件を満たせば刑事罰を適用することができます。
また、被害者への権利侵害によって、民事上の賠償責任も発生します。
自身の身を守るために、嫌がらせの手紙や誹謗中傷行為によっての法的責任について理解し役立てて下さい。
裁判を起こすということ
「告訴」を解説
告訴は、被害者等が検察官や司法警察員に犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示です。
【刑事訴訟法230条】
犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる。
【刑事訴訟法231条】
- 1 被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。
- 2 被害者が死亡したときは、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹は、告訴をすることができる。但し、被害者の明示した意思に反することはできない。
告訴できるのは、原則、被害者のみです。
未成年であっても、告訴の意味や理解する能力を有しているものであれば、告訴することができます。
また、被害者が未成年者ではその親権者、成年被後見人はその成年後見人が、被害者の意思とは別に、告訴することも可能です。
【刑事訴訟法232条】
被害者の法定代理人が被疑者であるとき、被疑者の配偶者であるとき、又は被疑者の四親等内の血族若しくは三親等内の姻族であるときは、被害者の親族は、独立して告訴をすることができる。
被害者が死亡した場合は、被害者の配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹、委任にされた代理人が行うこともでます。(刑事訴訟法240条)
「被害届」を解説
被害届とは、被害を受けた犯罪事実を申告しることで、犯罪者の処罰を求める意思表示は含まれていません。
よって、捜査機関は被害届を受理しても、法的な捜査義務を負いません。
「告訴」と「起訴」
起訴とは、検察官が裁判所に対して、刑罰を求めて訴えを起こすことをいい、告訴は、その前段階の捜査や起訴を促す意思表示になります。
捜査機関は犯罪事実を発見した場合は、捜査が可能ですが、犯罪事実を警察当局が知らない場合は、告訴を受けてから捜査を開始することになります。
告訴された者は、起訴される前は「被疑者」、起訴された後は「被告人」と呼ばれます。
なお、告訴状・告発状は、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」による開示請求の対象外となります。
起訴後の刑事記録は、裁判関係者以外への開示が禁止されており、不起訴処分になった場合でも、開示が認められることは例外的です。
刑事裁判が終了した後は、利害関係人であれば開示を請求することが可能です。
告訴状
告訴状とは、警察機関や検察庁などの捜査機関に対して、告訴権者が正式に捜査の要請を求め、被疑者の処罰を求める申告書面です。
告発状の作成には、法律の知識が必要になり、内容は以下のようなものを記載します。
- 告訴人の住所・氏名・職業・連絡先
- 被告訴人の素性を分かっている場合は、氏名・住所または居住地、本籍、生年月日、職業など
- 相手を特定できていない場合には、相手の推定年齢、身長、体格、人相、髪型、事件当時の着衣など
- 最後に犯罪の事実(犯罪日時・場所・犯罪発端)
- 犯人への処罰の意思
- 犯罪の立証方法、証拠、 添付資料(写真やメールなど)
- 告訴・告発に至った経緯など
怪文書を名誉棄損で告訴
名誉毀損罪とは、事実を摘示によって社会的な評価を下げさせた場合に成立します。
事実の摘示とは、具体的事実もしくは言動を、事実のように伝える行為をいいます。
【刑法230条(名誉棄損)】
- 1 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
- 2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
「名誉棄損罪」の構成要件
名誉棄損罪は、以下の内容を全て満たした場合に適用されます。
不特定多数の者が直接、認識できる状態(「公然」)。
真実であるか否かにかかわらず、具体的な事実を示すこと(「事実を摘示」)。
人の社会的評価を害する恐れのある状態を、発生させること(「名誉棄損」)。
違法性阻却事由がないこと
名誉毀損の要件を満たしていても、「公共の利害に関する事実」、「公益を図る目的」、「真実であると認める理由」があるなど、以下の条件を満たしている場合は、違法性が阻却され、名誉毀損罪は成立しません。
- 公共の利害に関する事実
- 公益を図る目的
- 真実であることの証明がある
【刑法230条の2(公共の利害に関する場合の特例)】
- 1 前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
- 2 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
- 3 前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
告訴期間と公訴時効
名誉棄損罪は、その名誉棄損された事実、又はその人物を知ってから、半年以内に告訴しなければ、起訴することが出来なくなります(親告罪)。
また、名誉棄損罪の公訴時効は3年です。
怪文書を侮辱で告訴
侮辱罪と名誉毀損罪との違いは、「事実の摘示」を要しないということがあります。
また、名誉毀損罪は「人の社会的評価を低下させるおそれのある行為」であり、侮辱罪は「人を侮辱する行為」で成立します。
「社会的評価の低下」と「侮辱」を区別する明確な基準はなく、社会的な常識によって判断さています。
【刑法231条(侮辱)】
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
「侮辱罪」の構成要件
侮辱罪での「事実を摘示しない」とは、具体的な事実を伴わないことも含まれ、悪口などの抽象的な暴言などを言います。
「侮辱」とは、言葉や行動の別を問わず、他人の人格を蔑視するような行為を指します。
また、「人」には、会社や団体などの「法人」も含まれます。
侮辱罪の具体的な事例
上司が部下に対し、同僚の前で「バカ!」などと罵った。
SNS上で「仕事ができない」「不細工だ」などと投稿された。
告訴期間と公訴時効
侮辱罪も親告罪に該当し、その事実や行った人物を知ってから、半年以内に告訴する必要があります。
また、公訴時効は1年です。
不法行為を民事上で対処
削除請求
ネット上で投稿された名誉毀損や侮辱表現の削除申請・申出に相手が応じない場合は、強制的手段を取ることができます。
強制手段として、仮処分の申立てがあります。(民事保全法第13条)
権利が侵害された、あるいは侵害されそうな場合に、情報の削除等の緊急性の高い保全措置にとられる処分です。
損害賠償請求
名誉毀損の場合は、その被害が社会に与える影響の大きさや実際に発生した結果などによって慰謝料金額は変ります。
慰謝料の相場は、10万円~100万円の間が一般的ですが、芸能人や政治家などのケース、誹謗中傷で被害者が自殺してしまったケースなどでは、多額の慰謝料が認められることもあります。
侮辱行為では、名誉毀損行為よりも違法性が小さく、慰謝料請求の認められる可能性が低くなります。
認められた場合でも、10万円以下となることが過去の判例から伺えます。
名誉回復請求
人の名誉や信用を毀損した場合に、その謝罪内容を広告です。
不法行為の中でも名誉棄損に限り、損害賠償として、または損害賠償と併せて「名誉を回復するのに適当な処分」を命ずることができます。
社会的信用を回復させるには、金銭以外の措置が有用であることが多いためです。
謝罪広告などのような措置があり、新聞紙上などに謝罪文面を掲載することもあります。
まとめ
現代では、インターネットを利用してSNSや掲示板を気軽に利用でき、名誉毀損や侮辱の被害を受ける恐れが高まっています。
怪文書等の被害者となった場合は、それ以上の被害拡大を防ぐため、早期に加害者の特定や投稿の削除といった法的措置を講じる必要があります。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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