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探偵コラム

世界に影響を与えた怪文書とは?さまざまな怪文書について解説

怪文書とは、信憑性や発行者が不明で出回る匿名文書をいいます。
多くの場合、特定の組織・個人などに関する情報、誹謗中傷もしくは一方的な主張を述べるなどの内容になります。
怪文書は、根拠不明である、または誤った情報でありながら、拾い読んだ人々に何らかの影響を与え得るため、問題視されています。

歴史的怪文書・偽文書

ここでは、世界に影響を与えた歴史的怪文書について解説します。

松本サリン事件に関する一考察

「サリン事件は、オウムである」
この衝撃的な一文から始まる『松本サリン事件に関する一考察』は、その後の裁判で「オウム真理教」の犯行と認定された一連のテロ事件のうち、「松本サリン事件」(1994年6月27日)の実行者を名指しで指摘した怪文書です。
この『松本サリン事件に関する一考察』は、「HtoH&T.K」を名乗る者により書かれ、文末に「1994年9月某日」の表記がある。
『松本サリン事件に関する一考察』は、1994年の秋頃~1995年の初め頃までの間に、日本の各マスコミに送付されたものです。
世界初の化学兵器サリンを用いたテロ「松本サリン事件」は、死者8名、負傷者150名以上の被害者をだした前代未聞の大事件でした。
当初、捜査を担当した長野県警や同警察からのリークなどを得て書いた大手新聞社の記事、TVメディアなどは、「松本サリン事件」の第一通報者A氏を被疑者のごとく扱ったため、A氏に重大な冤罪報道の被害を与えました。
事件の捜査は難航し、メディアの伝える情報は錯綜、不気味な憶測や想像が日本社会の状況を悪化させました。
そのような時期に、
「この文書は『怪文書』です。したがって、『このような物』が世間に出回っていて、それを『紹介』すると言う形式を取れば、オウムの弁護士さんの手を煩わせることもないでしょう。なにしろ実際に『怪文書』なんですから。この文書を何らかの形でご使用なさるもなさらないも編集者の自由意思です。なにぶん、『怪文書』ですから。」
と書かれた『松本サリン事件に関する一考察』がメディアに送りつけられました。

全世界の普遍的かつ総体的改革

17世紀初頭、「薔薇十字団」と呼ばれる秘密結社が、ドイツで話題になりました。
1614年、神聖ローマ帝国(ドイツ)のカッセルで刊行された著者不明の怪文書『全世界の普遍的かつ総体的改革』とその付録『友愛団の名声』で初めてその存在が語られ、一気に全ヨーロッパに知れ渡りました。
そこには、人類を死や病といった苦しみから永遠に解放する、つまり不老不死の実現のために、120年の間、世界各地で活動を続けてきた「薔薇十字団」という秘密結社の存在や、それを組織した創始者「R・C」あるいは「C・R・C」、「クリスチャン・ローゼンクロイツ」と呼ばれる人物の生涯が克明に記されています。
1615年、同じくカッセルで、『友愛団の信条』が出版されました。
それは、ラテン語によって書かれ、『友愛団の名声』によって宣言された「教皇制の打破による世界改革」を強調する内容のものでした。
1616年、小説『化学の結婚』がシュトラースブルクで出版されました。
著者は、ヨハン・ヴァレンティン・アンドレーエだといわれています。
そこには、深遠な錬金術思想が書かれており、この文書に登場するクリスチャン・ローゼンクロイツこそ、先の2つの文書に書かれていた創始者「C・R・C」であると考えられました。
彼は、1378年にドイツの貧しい貴族の家に生まれ、幼児期を修道院で過ごすと、16歳で東方へ叡智を求める旅に出ます。
旅の途中で、賢者たちと交流し古代アトランティス以来、密かに伝えられてきたあらゆる叡智を身につけ、ローゼンクロイツはヨーロッパに戻ってきます。
しかし、彼が語る叡智は先進国で、だれにも理解されず、彼は7人の同胞を呼び寄せ、「精霊の家」 なる拠点でその知識を伝えます。
これが、「薔薇十字団」なる秘密結社の始まりです。
この薔薇十字団は、フリーメーソンの母体になったと言われています。
薔薇十字団は、錬金術や魔術などの古代の英知を駆使して、人知れず世の人々を救うとされています。
薔薇十字団の存在はやがて伝説化し、薔薇十字団への入団を希望する者だけでなく、薔薇十字団員に会ったという者や、薔薇十字団員を自称する人物も現れました。
哲学者デカルトは、薔薇十字団に入団する為に苦心しました。
また、ヘーゲルの「法哲学」に十字架中にある薔薇という表現が出てくるように哲学者を始め、医者や科学者や大学教授など当時の知識階級の人々は、数々の謎めいた伝説に彩られた「薔薇十字団」の存在に強く惹かれました。

シオン賢者の議定書

『シオン賢者の議定書』(英: The Protocols of the Elders of Zion)は、「秘密権力の世界征服計画書」という触れ込みで広まった会話形式の文書です。
この文書は、1897年8月29日から31日にかけてスイスのバーゼルで開かれた第一回シオニスト会議で発表された「シオン二十四人の長老」による決議文という体裁をとっています。
文書には、ユダヤ人が世界を支配して、すべての民をモーセの宗旨、つまりユダヤ教の前に平伏させるという内容です。
シオンの賢者は、シオン血統の専制君主のために、「自由、博愛、平等」のスローガンを考案し、フランス革命を起こして、シオンの専制君主が全世界の法王となることを画策したとされています。
そして、ヘンリー・フォードやヒトラーなど世界中の反ユダヤ主義者に影響を与えました。
第一次世界大戦中にロシア革命が起きると、国際的に反ユダヤ主義が強まります。
そして、議定書も多くの国で翻訳され、流布されました。
ロシア内戦(1917-1922)中、ロシア白軍総司令官のコルチャークは、1918年7月のロマノフ家処刑直後に議定書に没頭し、ロシアの大地は反ユダヤ十字軍を必要としていると宣言しています。
また、議定書の普及には、近代神智学の信奉者などのオカルティストが積極的に動きました。
議定書を最初にフランスからロシアに持ち込んだといわれるユスティニア・グリンカは、神智学徒で、近代神智学の創始者ヘレナ・P・ブラヴァツキーとも親交がありました。
神智学やルドルフ・シュタイナーの人智学では、しばしば闇の勢力の暗躍が語られており、そうした土壌の上に議定書は普及し、多くのオカルト結社やその周辺で「ユダヤ陰謀論」が盛んになりました。
結果的に、国民社会主義ドイツ労働者党政権のドイツにおいて、ユダヤ人の大量虐殺(ホロコースト)を引き起こしたともいえることから、「史上最悪の偽書」、「史上最低の偽造文書」とも言われています。

日本の怪文書犯罪

日本での怪文書の一般的な定義は、個人や団体の機密を暴露、中傷したりした、出所の分からない文書をいいます。
怪文書を送る目的は、様々ありますが、主に相手への嫌がらせ目的です。
その背景には、恨みや妬みといった感情や、社会的地位を貶めるといったものもあります。
そんな怪文書は、次のような法律に抵触する可能性があります。

名誉毀損罪・侮辱罪

刑法230条では名誉毀損罪について、次のように定義されています。
「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する」
従って、不特定多数が知るような状態で怪文書を配布し、何らかの事実を提示して、人の名誉を傷つける内容が含まれていれば、名誉毀損罪に該当します。
また、事実が提示されている場合でも、侮辱罪に該当します。

【名誉棄損罪の構成要件】

名誉棄損罪となるには、以下の構成要件を全て満たしていることが必要です。

  • 公然と
  • 事実を摘示して
  • 人の名誉を毀損することで
  • 違法性阻却事由がないこと

【侮辱罪の構成要件】

「公然」とは、多数に対して、または少数に対してでも、他に広まる可能性がある場合、もしくは不特定に対して知らせることであり、インターネット上の書き込みなども、実際の閲覧数にかかわらず「公然」に該当します。
「事実を摘示しない」とは具体的事実を伴わないということであり、「馬鹿野郎」「このハゲ」「チビ」「デブ」「ブラック企業」などの誹謗中傷が該当します。
対象は、「法人」も含まめた「人」になります。(最高裁 昭和58年11月1日 判決)

脅迫罪

刑法222条では、脅迫罪について次のように定義されています。
「生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金に処する。」
従って、怪文書の内容として、相手の生命や名誉などに害を加える旨が記載されていれば、脅迫罪に該当します。

信用毀損罪・業務妨害罪

刑法233条では、信用毀損罪・業務妨害罪について次の様ように定義されています。
「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」
従って、名誉毀損罪と同じように相手の信用を貶めるような嘘の内容の怪文書は、信用毀損罪・業務妨害罪に該当します。

怪文書の立件・書類送検

怪文書を多くの人に配布したことで、実際に書類送検された例も多くあります。
例えば、2017年の都議会議員選挙時に候補者のデマを広く流布した犯人は、2年後に名誉毀損罪として書類送検されています。
その他にも、ある会社の取引先すべてに会社の誹謗中傷を書いた怪文書を送った犯人も業務妨害罪として逮捕されています。

まとめ

怪文書の歴史は長く、時に世界に大きな影響を与えてきました。
現代社会においてもその存在は、私たちの生活を脅かすものになりかねません。
インターネットの普及により、その伝染スピードも格段に上がっています。
そのため、怪文書に関する法的知識をつけておくことで、迅速に、落ち着いて対処していく必要があります。

投稿者プロフィール

この記事の著者:PIO探偵事務所 調査員 T.K
この記事の著者:PIO探偵事務所 調査員 T.K
10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。

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