社員が横領した場合クビにできる?注意点についても解説
本記事では社員が横領した場合クビにできるのかを解説していきます。結論から言って業務上横領の場合でもクビにすることは可能です。しかし、その判断は慎重にしないといけません。次項で詳しく解説していきます。横領について詳しく知りたい方や、横領でお困りの方はぜひ最後までご覧ください。
業務上横領とは?業務上横領の定義について

刑法235条に業務上横領罪に「業務上自己の占有する他人の物を横領したものは、10年以下の懲役に処する。」と規定してあります。簡単に業務上横領についていうと、仕事で使用している会社の設備や備品を自分のもののように使用することや扱うことを表します。具体例を挙げると、会社の経費で個人的な買い物をすることや、会社から業務の為に貸与されたPCを会社に許可なく個人的な使用目的に利用するなどが挙げられます。もし、社員に業務上横領が見つかった場合に会社としてはその社員に対してどの様な罰則を設けることができるのでしょうか?次項で詳しく見ていきましょう。
業務上横領に対する懲戒処分

懲戒処分とは、不正行為が行われた際に、その行為に課される罰則のことです。懲戒処分には、7つの種類があり一番軽い罰則が戒告、一番重い罰則が懲戒解雇になります。7種類の懲戒処分について順番に見ていきましょう。
戒告(かいこく)
戒告とは、過失や不正行為を行った社員に対して、厳しく注意することを言います。懲役処分の中では一番軽い刑罰に位置づけされます。
譴責(けんせき)
譴責とは、過失や不正行為を行った社員に対して、始末書を書かせて反省を促すことです。始末書を書かせることによって、以降は過失や不正行為を行わないように本人の文字で制約させます。
減給
減給とは、過失や不正行為を行った社員に対して、一定期間の給料を一定の割合で減額することです。しかし、減給に対して合理的な理由があった場合にのみだけ減給が認められるため、むやみやたらな減給は認められません。あくまでも業務上横領などの減給に値する合理的な理由があった場合のみです。
出勤停止
出勤停止とは、過失や不正行為を行った社員に対して、一定期間の間会社に出勤し、働くことを禁止することです。出勤停止期間については、5日、10日、15日くらいが平均的です。出勤停止期間はもちろん給料は支給されません。
降格
降格とは、過失や不正行為を行った社員に対して、役職等を引き下げることを表します。降格によって役職が下がるだけでなく、給料も下がることが多いです。
諭旨解雇(ゆしかいこ)
諭旨解雇とは、過失や不正行為を行った社員に対して、企業側が社員を一方的に解雇するのではなく、企業と社員両者が話し合いを行い、両者合意の上で解雇処分を進めることです。次に説明する懲役解雇とは、企業側と社員両者の合意という面で異なります。
懲戒解雇
懲役解雇とは、過失や不正行為を行った社員に対して、企業側が社員との労働契約を社員の合意なく一方的に社員との契約を解消すること、つまり横領した社員をクビにすることです。懲役解雇は、懲戒処分の中でも最も重い処分に当たります。
このように業務上横領に対する懲戒処分は7つあります。ではどのような場合に懲戒解雇が有効とされるのでしょうか?事項では詳しく説明します。
業務上横領によって懲戒解雇が有効になる場合

業務上横領によっての懲戒解雇が有効になるのかを判断するには原則がいくつかあります。詳しく見ていきましょう。
平等の原則
平等の原則とは、役職などに関係なく全ての社員を平等に扱わなければならないということです。当然ながら、役職が高い社員は横領しても注意で済むのに、役職が低い社員は横領したらクビにするのでは不公平です。過去に横領が起きた際に会社がその社員に対してどのような懲戒処分をあたえたかが、次に業務上横領などの不正行為が起きた際に懲戒処分を与える基準となります。懲戒処分が人によって偏ることがないように注意しなくてはいけません。
適正手続きの原則
適正手続きの原則とは、不正行為を行ってしまった社員に対して処分を下す際には、本人にしっかりと弁解の機会を与えたうえで、適切に手続きを進める必要があるということです。しかし、適性手続きの原則に関しては、絶対というわけではない為、弁解の余地がないくらい事実が明白な場合には横領した社員に弁解の機会を与えないという選択肢を取ることも可能です。
罪刑法定主義の原則
在廷法定主義の原則とは、懲戒処分の対象となる行為や懲戒処分の内容についてあらかじめ決めて置き、会社の就業規則に記載しておかなくてはいけないということです。横領が理由で懲戒解雇にする際は、一般的には就業規則に横領をした際の懲戒処分の内容を記載しておかなければいけません。しかし、普通解雇の場合はこの限りではありません。
相当性の原則
相当性の原則とは、懲戒処分を下す際には、横領が起きた原因や背景をしっかりと考慮したうえで、懲戒処分の重さが適切か判断しなければいけないということです。例を挙げると、業務上横領が起きた際に、なぜ起きてしまったのか、どのくらいの期間や回数横領していたのか、その人のこれまでの勤務態度はどうだったかを総合的に判断して懲戒処分を決めないといけないということです。
二重処分禁止の原則
二重処分禁止の原則とは、1回の不正行為で2回以上処分を下してはいけないという原則です。例えば業務上横領が起きた際に、懲戒処分として降格を言い渡してから、一か月後にやっぱりクビにするといった判断はできないということです。
効果不遡及の原則
効果不遡及の原則とは、不正行為が起こった後に会社側の都合で新しい規則やルールを作成して適応してはいけないというものです。業務上横領であれば、横領が起きる前に会社の就業規則やルールをあらかじめ決めておかなければいけません。
業務上横領によって懲戒解雇が有効になるかを検討する際は、上記に挙げた6つの原則に当てはまるかどうかを検討したうえで判断を下すようにしましょう。
まとめ
本記事では横領、クビといったテーマで話を進めてきました。社員が横領をした際には、7種類の懲戒処分のどれかを与えることが可能と考えられますが、懲戒処分を与える際の6種類の原則もあわせて考えるようにしましょう。
投稿者プロフィール

- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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