採用調査とは、どういう目的で、何を調べるもの?2つの目的と方法を解説!
今はひとつの会社で定年まで働き続けるだけでなく、スキルアップに合わせて転職する、開業するなど、多様な働き方ができます。それに伴い、採用に関するミスマッチを減らすため、採用調査を実施する企業が増えています。
採用調査とは
終身雇用の崩壊、AI、コロナ禍と日本を取り巻く労働環境は、目まぐるしく変化しています。ひと昔前は「まずは3年勤務」が当たり前でしたが、転職が珍しくない今は、より自分に合う職場やスキルアップを求めるため、早期退職することも少なくありません。
スキルアップやライフサイクルの変化による転職は自然な流れとはいえ、採用時のミスマッチを減らすことで、雇用する会社側、応募者側ともに負担を軽くできます。
ミスマッチを防ぐ、採用調査
そのために行うのが、採用調査と呼ばれるものです。
方法としては卒業証書や資格証明書などの書類による確認と聞き込み、張り込みによる行動調査などがあります。昔は自社調査が多かったようですが、2005年に施行された個人情報保護法や厚生労働省のガイドライン「公正な採用選考の基本」を遵守する必要があり、本人に利用目的を通知、許諾なく個人情報を取得することは法令に抵触、もしくはグレーゾーンな行為になりかねません。
しかし、2004年、警視庁から探偵、興信所業者向けに通達された「興信所が講ずべき個人情報保護のための措置の特例に関する指針」において、利用目的を通知しなくてもいい特例項目「(ウ) 対象者が依頼者の法律行為の相手方となろうとしている者である場合であって、当該法律行為をするかどうかの判断に必要な事項について調査を行うとき」と記されています。採用は労働契約という法律行為なので、その判断をするために必要な項目であれば、探偵に調査依頼ができます。
採用調査の目的~リファレンスチェック
採用調査の目的は大きく2つあります。
そのひとつがリファレンスチェックです。前職調査とも言われており、ここ数年で日本でも知られるようになっているため、聞いたことある人も少なくないでしょう。
特性、スキルのミスマッチを防ぐ
リファレンスチェックの目的は、その人の特性やスキルのミスマッチを防ぐことです。ひとりでコツコツ行う業務が得意な人を営業職やチームプロジェクトで採用しても、その特性を最大限に生かすことは難しく、本人もストレスをため込みやすくなります。
こうしたミスマッチを経歴書や面接でのやり取りだけで防ぐのは、人事の負担が大きいため、リファレンスチェックとして前職の上司や同僚にスキルや業務態度などをインタビューします。方法は様々ですが、本人が指定した上司、先輩などの推薦者に電話をして聞いたり、メールやインターネットのアンケートフォームを利用する場合もあります。落とすためというよりは採用を視野に入れた前向きな調査といえるでしょう。
リファレンスチェックではスキルのミスマッチだけでなく、経歴に虚偽がないかを確かめることも目的のひとつです。面接時の受け答えに違和感がある場合は、メールだけではなく探偵に依頼して、さらに詳しく調べてもらうなど使い分けるのもひとつの方法です。
採用調査の目的~バッググラウンドチェック
採用調査の2つめの目的は、バッググラウンドチェック、素性調査とも言われているものです。リファレンスチェックが業務や会社に関するミスマッチの確認を目的としているのに対して、バッググラウンドチェックは共に仕事をする人物として信頼できるかを目的としています。
必然的に対象者の生活や人間性に関連する情報が増えるため、調査項目は慎重に決める必要があります。職業安定法第5条4「求職者等の個人情報の取扱い」などによって、人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想及び信条、労働組合への加入状況などの情報収集は禁じられています。
学歴や経歴の虚偽、問題行動の有無を確認
バッググラウンドチェックでは仕事関係だけでなく、学生時代の先生や友人などに普段の行動や人となりを聞き込み、官報など公開されている情報を元に金銭的な問題を抱えていないかを確認します。
しかし、すべての応募者を詳細に調べるのはコストがかかりすぎます。探偵などの調査機関にバッググラウンドチェックを依頼するのは、面接時の言動に引っかかるものがあったり、履歴書に疑問点がある場合が多いようです。
例えば、学生時代のPRとして精力的なボランティア活動を挙げていたが、調べてみたら実際に参加したのは1回だけだったこともあり得ます。虚偽とは言えないかもしれませんが、こうしたことを「プレゼン力がありそう」と取るか「信頼できない」と取るのかは、会社や募集している仕事内容にもよります。その判断をするためにも、必要なチェックだといえます。
素行調査との違い
対象者の人となりを調べて信頼できるかを確認するバッググラウンドチェックと類似している調査に、素行調査があります。仕事やスキルではなく、対象者自体を調べることは共通していますが、調査の目的など違いについて解説します。
素行調査は行動調査
バッググラウンドチェックが経歴の虚偽やトラブルの有無という、広範囲の調査であるのに対して、素行調査は行動調査とも呼ばれており、対象者の行動について調べます。
素行調査としてわかりやすいのは、浮気調査や横領などの疑いある社員の不正調査です。この場合、経歴虚偽の確認などではなく、対象者を特定期間、尾行、張り込みを行い、どこに行き、誰と会っていたかを克明に資料に残していきます。
どちらの調査も、目的は対象者に不審なところがないかを調べることには変わりありません。素行調査のほうがより具体的な疑惑があり、素性ではなく「行動」を調べるため、細かい情報が不可欠です。
素性調査であるバッググラウンドチェックは採用調査だけでなく、子どもの結婚相手の素性を調べるときにも行われます。
まとめ
採用時に行われる採用調査は、応募者と会社、業務内容との相性を確認するリファレンスチェックと、従業員として仕事をすることでトラブルが発生するリスクを抑えるバッググラウンドチェックの2つがあります。
簡単な確認程度のリファレンスチェックは、本人に目的を通知し許諾を得たうえで自社で行っても問題ありませんが、しっかり調査したいときは法令に抵触することを避けるため、探偵や興信所などに依頼したほうが安心です。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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