アメリカで95%の企業が実施する「採用調査」とは?詳しく解説

アメリカ企業が実施する採用調査(バックグラウンドチェック)。
主な実施の理由は、以下の通りです。
- 従業員、顧客などを守るため
- 雇用の質を上げるため
- 法律や規則で義務付けられているため
- 自社の評判を守るため
- 盗難や横領、その他の犯罪行為を防止するため
アメリカでは、逮捕歴や犯罪歴が公開情報とされています。
全て各州や郡の裁判所が、データを保持していおり、照会可能です。
採用調査の実施は、煩雑さやチェック項目の多さ、その他専門知識が必要となります。
そのため、外部の調査会社に依頼して行うのが一般的です。
アメリカでは採用調査(バックグラウンドチェック)が一般的

アメリカで採用を行う際、「バックグラウンドチェック(Background Check)」はごく当たり前に行われています。
アメリカでは、「95%」の企業が採用時のバックグラウンドチェックを実施している
NAPBS(世界的採用調査協会)HR.comのレポートによると、2018年時点でアメリカ企業の約95%が、採用時のバックグラウンドチェックを行っています。
バックグラウンドチェックは、SNSや新聞などのメディアを中心としたオンライン調査、及び前職や自宅周辺への聞き込み調査を通じて、学歴職歴・自己破産歴・事故歴等を調べるものです。
アメリカでは十分な調査をせずに雇用し、その従業員が事故や損害を出した場合、企業の責任が問われることもあり、このような調査が常識となっています。
採用調査(バックグラウンドチェック)の目的
雇用者が労働者を雇い入れる際、必要とされる調査を怠ることを「ネグリジェント・ハイヤリング」と呼びます。ネグリジェント・ハイヤリング(Negligent Hiring)は、過失採用や怠慢雇用という意味です。
例えば、ネグリジェント・ハイヤリングで雇った人間が過去に犯罪を犯していた場合、採用後に再び同様の犯罪を犯せば、過失採用として企業が訴えられることになります。
その結果、企業は信用を失い、訴訟により多額の賠償金の支払いが発生することもあります。
アメリカでは、このようなバックグラウンドチェックを怠った企業が、損害を被る事例は多くあります。
採用調査(バックグラウンドチェック)を行うメリット
採用調査(バックグラウンドチェック)は、ネグリジェント・ハイヤリングなどの法的請求から会社を守るために非常に有効です。雇用主は採用活動においても、十分な注意を払った証拠になります。
学歴や資格、前職での在職期間などの求職者から提供される情報、およびその他のデータを照会することは、求職者の能力を確認するだけでなく、求職者の信頼性と志望動機についての判断材料にもなります。
採用おいてバックグラウンドチェックを行っていない企業は、従業員の安全やセキュリティに関心が低いと思われ、求人が集まらないケースもあるようです。
国内でも高まる採用調査(バックグラウンドチェック)

ある人材紹介会社の中途採用における「リファレンスチェックの実施状況調査【2021年】」では、外資系企業 58%、日系企業23%という結果でした。
この数字は、3年前のアメリカの状況と比べても、低い割合です。
日本は採用調査において、圧倒的な遅れを取っているのが現状です。
採用調査(バックグラウンドチェック)が注目される背景
しかし昨今、日本で採用調査(バックグラウンドチェック)が注目されつつあります。
その理由として、「企業コンプライアンスの強化」と「採用の強化」が挙げられます。
【企業コンプライアンスの強化】
近年は、企業のブランド力やイメージが重要視されるようになりました。
一部の「問題社員」「モンスター社員」が問題を引き起こせば、会社に与えるダメージは以前よりも大きくなっています。
そして、SNS等の普及で、その問題が公に広まるスピードも格段に上がっています。
また、政府は反社会的勢力との繋がり取り締まる指針や法律を定め、「反社チェック」の重要性も示唆しています。
このように、企業コンプライアンスの観点からも、バックグラウンドチェックへの関心が高まっています。
【採用の強化】
急激に加速するDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が、日本企業に押し寄せています。
そのため、ITエンジニアなどのデジタル人材が、多くの企業で必要となっています。
企業間では、即戦力となるデジタル人材の争奪戦が繰り広げられ、結果的に慢性的な人手不足となっている企業も少なくありません。
同時に、転職が日本でも一般化しつつあり、企業は、継続的に良い人材を採用する仕組みが必要となっています。
近年の採用活動では、「見極め精度の向上」「採用の効率化・スピードアップ」が求められます。
採用調査(バックグラウンドチェック)の調査項目
- 経歴相違
履歴書や面接時の情報に誤りや虚偽・経歴詐称の情報がないか、本人に卒業証明書や資格証明書、源泉徴収票を提出してもらい、確認をします。 - 前職状況
本人の提出資料以外にも、前職企業への聞き込みをもとに調査することがあります。
前職での勤務態度や申告している実績について、前職の上司や同僚などに聞き込みを行います。 - 登記情報
法務局で一般公開されている登記簿で、不動産の所有状況、所有している場合は差し押さえの有無などを調べます。 - インターネット・SNS調査
インターネット・SNSで過去に大きなトラブルがないか調査します。
SNS調査では、プライベートで見せる性格上の問題や生活態度、交友関係のリスクが分かることもあります。 - 近隣調査
本人の自宅周辺で、居住の実態や普段の生活態度の確認、近隣住民に聞き込み調査を行います。 - 犯罪・軽犯罪歴・民事訴訟歴
日本では犯罪歴が公開されないため、インターネットやSNS、新聞などのメディアの情報をもとに調査します。民事訴訟については、一般公開されている裁判所の判決記録や、新聞・メディアの情報、調査会社独自のデータベースをもとに調査します。 - 破産履歴
官報に自己破産の情報がないか調査します。 - 反社チェック
反社会的勢力と関係を持っていないか、メディアや反社チェックサービスの独自データベースで調査します。
上記の他にも調査項目は多岐に渡り、調査範囲は採用企業によって異なります。
採用調査(バックグラウンドチェック)を利用する際は、企業ごとで採用に必要な情報をまとめ、調査会社に依頼することになります。
「バックグラウンドチェック」と「リファレンスチェック」
書類選考や面接は、採用候補者からの一方的な発信内容になります。
そのため、書類選考や面接の内容に加え、採用の評価軸が必要です。
「バックグランドチェック」や「リファレンスチェック」を利用することで、第三者目線で採用候補者を評価することができます。
「リファレンスチェック」は、採用候補者が第三者(情報取得元)を指定し情報を取得。
「バックグラウンドチェック」は、不特定多数の第三者方から情報を取得。
まとめ【日本の多様化社会で、「採用調査」は重要事項に。】
バックグラウンドチェックなどの採用調査は、年々増加傾向にあります。
企業のあり方がグローバルスタンダードに近づき、バックグラウンドチェックに対するハードルも下がっています。中には取引先企業からの要望により、バックグラウンドチェックの依頼に至ったというケースもあります。
終身雇用の衰退に伴う非正規雇用や、フリーランスの増加とジョブ型雇用による人材の流動性の高まりから、属性がわからない個人も増えています。
そのようなリスク回避の観点から、企業はバックグラウンドチェックが必須の時代となってきています。
投稿者プロフィール

- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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