雇用調査に違法性はあるのか?調査内容と対処法

雇用調査は、問題のある人材の排除や、優秀な人材を獲得するために行う調査方法です。しかし、厚生労働省の指針では、雇用調査(採用調査、前職調査、身辺調査)は推奨されておらず、企業側の都合で行っているという現状があります。
今回の記事では、雇用調査の違法性と調査方法、調査を受ける際の対処法などについて解説したいと思います。
雇用調査に違法性はあるのか

企業側には「採用の自由」が認められており、どのような方法で人を雇用するのか、明確な規定はありません。また、採用調査を取り締まる法律や条例などがあるわけではないので、調査事態は違法になりません。ただし、調査方法によっては違法行為となる可能性もあるので、ここで詳しく解説したいと思います。
法律に違反していなければ違法性はない
雇用調査は、自社で行う、探偵や興信所へ依頼する、Webサービスで依頼するといった方法がありますが、いずれの場合も違法行為を行わなければ大きな問題はありません。違法となる可能性を以下にまとめてみました。
- 行き過ぎた尾行、張り込みによる「つきまとい行為(ストーカー行為)」を行った場合
- 調査対象者に許可を取らずに個人情報の取得、プライバシーの侵害を行った場合
- 調査で得た情報を第三者に漏洩、または不特定多数の人に漏洩した場合
- 本人の許可無く信用情報を取得、その情報を悪用した場合
上記の通り、一般生活において違法行為になるようなことを、調査中、調査後に行うと違法調査となる可能性があります。調査中のトラブルによって違法行為となる場合もあるため、どの方法で調査を行うのか、吟味する必要があると言えるでしょう。
厚生労働省では公正な採用選考のため配慮事項を定めている
厚生労働省では、採用にあたって以下の点に配慮するよう呼びかけています。
- 本籍、出生地、家系に対して偏見を持たない
- 生活環境、家庭環境への配慮
- 宗教、政治、人生観、思想、心情を尊重し、採用基準としない
- 適正、能力に関係のない事項を採用選考に含まない
採用に当たり、適性や能力と関係のない分野で判断してしまう企業もあるため、そういったことが無いようにこうした配慮事項が定められています。採用の自由は認められているものの、雇用調査の結果、家庭、宗教、政治など、業務とは関係ない問題で雇用しないといった問題があってはならないと言うことです。
企業によっては違法行為を行うこともある
探偵や興信所といった調査のプロに依頼している場合は、違法行為になるリスクは少ないですが、自社で独自の調査を行っている場合や、悪徳な探偵業者に依頼しているというケースでは、違法調査を行っていることもあります。就職活動をする際には、違法調査を行っていない企業を選ぶようにするのも大切です。
雇用調査に違法性があるか確認するためのポイント
雇用調査が違法にならないためには、いくつかのポイントに注意する必要があります。企業が調査を行う場合、法律に従い、応募者の権利を侵害しないことが求められます。ここでは、違法性があるかどうかを確認するためのポイントを解説します。
違法調査となるケースとは?
違法性が生じるケースは、個人情報保護法やプライバシー権の侵害に関するものです。例えば、応募者の同意なしに信用情報やプライベートな内容を調べたり、不正に取得した情報を第三者に漏洩することは違法行為に該当します。企業は、適切な調査方法を守る必要があります。
公正な採用選考に配慮する必要性
雇用調査を行う際には、応募者のプライバシーや人権を尊重し、適性や能力のみを判断材料とすることが重要です。厚生労働省の指針にも示されているように、個人の宗教や政治思想など、業務に関係のない情報を調査の対象にすることは避けなければなりません。
雇用調査とはどんな調査なのか

違法性については理解していただけたかと思います。ここでは、雇用調査とはどんなものなのか、その内容について解説したいと思います。
雇用調査を行う理由
企業が雇用調査を行う理由は2つあります。一つは採用リスクの回避、2つ目は優秀な人材の獲得です。
採用リスクとは、雇用した人材が原因で会社に損害が出てしまうことです。たとえば、経歴を詐称して、実際は持っていない資格やスキルが原因で、会社や取引先に損害(資格がないために業務違反になるなど)を与えてしまう場合などが該当します。その他にも、採用した人の人格に問題があり、職場の雰囲気が悪くなる、チームワークの乱れで業績が悪化するなどが採用リスクと言えます。
2つ目の優秀な人材の獲得については、調査することで虚偽の報告がないか、人物に問題がないか(素行、対人関係、各種トラブルなど)ということがわかるため、確実な人材を採用することが可能になるということです。
雇用調査でわかること
雇用調査を行うことによって、以下のことがわかります。
- 経歴、前職での勤務態度
- 人物像、対人関係
- 各種トラブル(対人、金銭)
- 反社会勢力とのつながり
- 普段の素行
このように、調査を行うことで様々なことがわかります。調査する範囲は企業や調査機関によってことなるため、これらすべての内容を調査するわけではありません。業種や職種によっても調査する範囲は異なります。
採用候補者が調査について気をつけるべきこと

ここでは、採用候補者が調査を受ける際に心がけるべきこと、気をつけるべきことをご紹介したいと思います。
雇用調査がある業種、職種を調べておく
近年では、業種や職種に関係なく雇用調査(採用調査、前職調査)を行う傾向にありますが、その業界によって調査する範囲は異なります。例えば、金融関係の職場であれば、借金や資産状況などについて調査されることがあると思います。警察などの公安系であれば、本人だけでなく、家族や家系に関しても調査が入る場合もあります。
このように、業種や職種によって調査内容や調査のうむなどがことなるので、事前に調べておくといいでしょう。
雇用調査には出来るだけ協力する
雇用調査は強制ではないため、候補者が拒否することも可能です(拒否したからといって、採用取り消しになるようなことはありません)。しかし、理由もなく調査を拒否してしまうと、隠し事があるのかという疑念を持たれてしまう場合もあります。やましいことがなく、調査を受けても問題ないということであれば、できる限り調査を受けるようにしましょう。
万が一、調査に協力できないということであれば、その旨を説明して理解してもらうようにしましょう。
まとめ
今回は、雇用調査の違法性と調査内容、採用候補者が心がけるべきことについて解説させていただきました。記事をまとめると以下のようになります。
- 法律に違反しなければ(違法行為)調査は違法にならない
- 厚生労働省では雇用調査(採用調査)を推奨していない
- 調査内容は業種、職種、企業によって異なる(調査しないケースもあり)
- 採用候補者は調査に協力的な方がいい
いかがだったでしょうか。調査事態は違法ではなく、近年は調査を行う企業がふえているので、雇用調査はあるものだと考えたほうが良いかも知れません。ただし、中には悪質な調査を行う企業もあるため、調査を受ける際にはその内容などをしっかりと確認しておきましょう。
投稿者プロフィール

- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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