警察官の採用試験で行われる「採用調査」とは?詳しく解説
警察官になるための試験には、「警察庁」と「各都道府県の県警」の2つがあります。
警察庁に採用された場合は「国家公務員」となり、各都道府県県警に採用された場合は、「地方公務員」になります。まず、警察官になるためには、公務員試験に合格する必要があります。
そして、試験で合格基準に達したのち、最後の合否判定で行われるのが「採用(身元)調査」です。
「採用調査」とは、警察官になる人物として、経歴に問題がないかを確認するものです。
「警察官になるためには、採用調査は必須なの?」
「採用調査の具体的内容とは?」
「前科があると警察官にはなれないの?」
ここでは、警察官試験の全体像と採用調査について詳しく解説します。
警察官採用試験の概要
警察官採用試験では、まず第1次試験で、それぞれの区分(学歴)に応じた教養試験と論文試験が行われます。
第2次試験では、第1次試験合格者に対しての体力検査、及び人物試験(集団面接)が行われます。
そして、第3次試験として人物試験(個別面接・適性検査)、及び身体検査が行われ、最終合格者が決定されます。
警察官の採用試験は、区分を大学卒業者とそれ以外の者とに分けて、年2回程度行われています。
試験内容は、国家公務員である「警察庁」と地方公務員の「都道府県警察」で大きく異なります。
「警察庁」の警察官試験
警察庁の警察官は、全国約30万人の警察職員をまとめ上げる存在です。
政策を立てたり、地方機関や都道府県警察に出向して指揮をとったりします。
警察庁の警察官になるためには、「国家公務員試験」に合格する必要があります。
国家公務員試験(総合職/一般職)は、非常に難易度が高い試験です。
また、国家公務員試験に合格しても、必ず志望する省庁に採用されるとは限りません。
試験合格後、さらに省庁ごとに開かれる採用選考をくぐり抜ければ、警察庁に採用となります。
警察庁の警察官は、非常に狭き門といえます。
<試験フロー>
- 国家公務員試験(総合職or一般職)を受ける
- 最終合格者発表
- 官庁訪問(採用面接)で警察庁へ
※一般職の場合は、官庁訪問後に二次試験が実施されます。 - 最終合格者発表
- 採用
「都道府県警察」の警察官試験
各都道府県の警察本部に所属する警察官の採用は、それぞれの都道府県で独自に行っています。
- 大学卒業程度を対象とする【I類】
- 短大・専門学校卒業程度を対象とする【Ⅱ類】
- 高校卒業程度を対象とする【Ⅲ種】
それぞれの区分に分かれて、採用試験が実施されます。
どの区分の試験も、一次試験と二次試験の2段階で選考が行われます。
二次試験が最終試験となり、合格すれば採用候補者名簿に登載されます。
<試験内容>
1.一次試験:教養試験、論文試験、適性検査
- 教養試験は、警察官として必要な知能や大学卒業程度(または短大・高校卒業程度)の知識に関する選択式の試験です。
- 論文試験は、思考力、表現力についての試験です。
- 適性検査は、警察官の職務上必要な素質や適性について検査されます。
2.二次試験:一次試験合格者に対して、心身のチェックを行います。
- 口述試験:個別の面接で、警察官に適した人格かを問われます。
- 体力検査:体力テストです。
- 身体検査:警察官の職務遂行に適した身体かをチェックします。
- 健康診断:医師による健康調査です。
試験の倍率は、各都道府県によっても大きく異なります。
試験概要
【試験区分】
- A区分:大学卒業者あるいは卒業見込者(高度専門士を含む)
- B区分:A区分以外の者(短大・高校卒業あるいは卒業見込者など)
【年齢基準】
- A区分:令和5年4月1日に「33歳以下」であること。
- B区分:令和5年4月1日に「18歳以上33歳以下」であること。
【身体合格基準】
検査項目 | 合格基準 |
視力 | 両目とも裸眼視力が0.6以上又は矯正視力が1.0以上 |
色覚 | 職務遂行に支障のないこと |
聴力 | 職務遂行に支障のないこと |
五指腕関節その他 | 職務遂行に支障のないこと |
※身体外形検査の検査項目のうち、身長及び体重の合格基準は撤廃されています。
欠格事由
次の項目のいずれかに該当する人は、警察官試験を受験できません。
- ア 日本の国籍を有しない者
- イ 「地方公務員法第16条」に規定する次の欠格条項に該当する者
- 禁錮以上の刑(有期禁錮・有期懲役・無期禁錮・無期懲役・死刑)に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
- 県職員として懲戒免職の処分を受け、その処分の日から2年を経過しない者
- 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
警察官の採用調査と合否判定について
各都道府県県警の合格率は、例年7倍~10倍ほどだと言われています。
都道府県によって大きく差があり、警視庁のように10倍以上の倍率もあれば、地方では2~3倍というケースもあります。
そして、採用試験で合格基準をクリアしたあと、「採用調査」が行われます。
調査範囲は、両親、兄弟、家族や祖父母まで(3親等)と言われています。
採用のための身辺調査は、「直接の合否を決めるというわけではない」とされています。
しかし、本人や家族が宗教的な思想を持っていたり、反政府支持側の思想を持っている場合は、危険視されてしまうこともあります。
採用調査の範囲
調査の範囲は、各都道府県によっても異なります。
本人のみの場合もありますし、警視庁では六等親まで調べられることもあるようです。
なお、公的にどこまで調査されるかは、明らかになっていません。
調べられる内容としては、犯罪歴がないか、宗教的な思想、その団体との関わり、暴力団関係者との関係などが挙げられます。
親族の犯罪歴なども、どの程度採用に影響するのかは不明です。
また、受験者と付き合っている彼女や配偶者についても調べられることがあります。
採用調査の判断基準
判断基準の詳細は非公開のため、WEB上の情報を総合して次の点から不適格者とします。
- 【極左、極右団体、過激派への加入、活動】
政府に対抗する団体や思想を持つ人物。 - 【犯罪歴の有無】
過去に犯罪を犯した人物。 - 【反社会勢力との関係性】
暴力団、ヤクザとのつながりがある人物。
警察官採用での身上調査は、表向きに公表されていません。
そのため、身上調査の結果が原因で落ちたとしてもわかりません。
また、前科がある人や身内に犯罪者がいる人でも警察官になった人はいます。
しかし、前科等は不利な状況にはなるため、試験合格の難易度は上がります。
前科は、内容に応じて数年で消えますが、警察がもつ情報データは永久に消えません。
そのため、過去の犯罪歴等は隠しても、すぐにわかってしまいます。
まとめ【警察官採用調査の結果は、未公開!】
警察官を目指す場合、身辺調査は実際に行われています。
本人だけでなく、親や兄弟、親戚、配偶者とその家族など、対象範囲は各都道府県によっても異なります。
この身辺調査は、合否に直接影響するとは必ずしも言い切れません。
本人や身内に犯罪歴がある場合でも、すでに罪を償い更正しているのであれば、法律上、これを判断材料として合否を決定することは認められていないからです。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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