外国人労働者の雇用調査について、実態と注意点
働き手不足によって、外国人を雇用する企業は増えています。しかし、それと同時に外国人ならではの問題点も浮き彫りになってきており、雇用前に調査を行う企業が増えている状況です。
昨今の日本では、業種に関わらず雇用調査(採用調査)を行うケースが増えており、採用前に調査されるのは当たり前とも言えるのかも知れません。
今回の記事では、外国人に対して行う雇用調査の内容と、雇用調査を受ける上で候補者が気をつけるべき点を解説していきたいと思います。
雇用調査とは
外国人に対する雇用調査について説明する前に、雇用調査とはどんなものなのか、詳しく解説したいと思います。
雇用調査方法
雇用調査は、自社で行う方法と、探偵、興信所に依頼する方法、その他専門の調査機関(Webサービスなど)に依頼する方法があります。各調査の違いについて見てみましょう。
自社で行う方法
企業の人事部門などが行う調査方法で、主に前職場関係者へのコンタクト、ヒアリング、データの参照などを行います。前職の担当者に直接話しを聞くため、有力な情報を得られる一方で、担当者が協力してくれない場合は情報が得られないというデメリットもあります。
その他専門調査機関
調査機関の一として、あらゆるデータから対象者の経歴や、これまでの情報を調査するWebサービスなどがあります。調査機関が独自に集めたデータベースを参照することで、手軽に調査ができるため、簡易的な調査を行う場合などに利用されます。
詳細な調査は難しいため、簡易的な調査や、費用を抑えたい場合に利用される傾向があります。
探偵、興信所で行う方法
尾行、張り込み、聞き込みを使った調査方法で、あらゆる角度から対象者の情報を取得します。経験豊富な調査員が調査するので、経歴に関する情報はもちろん、普段の素行やトラブル関連などを調べることが可能です。
3つの方法の中で、もっとも詳細な情報が得られる方法と言えるのではないでしょうか。
雇用調査でわかること
雇用調査を行うことで以下のことがわかります。
- 経歴
学歴やこれまでの職歴、場合によっては、出生や過去に住んでいた場所などについても確認を取る場合があります。 - 人格、人柄、素行
前職での勤務態度や対応、生活習慣や、対人関係など、対象者の人格に関わる部分を調査します。 - 財務状況、借金
お金を扱う業種、公安に関わるような業種では、対象者の財務状況を確認することがあります。また、コンプライアンスの厳しい企業では、借金やギャンブルの有無を調査することもあります。 - 健康状態
持病、大病の有無、タバコやお酒などの過剰摂取、肥満状況などを調査します。 - 資格、趣味、特技等
これは業種によりますが、資格の有無、趣味や特技などを調査することもあります。経歴に怪しい点がある場合などにも該当するのではないでしょうか。
この他にも、外国人の場合は、母国や家庭環境、住居環境などを調査することがあります。
外国人に雇用調査を行う理由
ここでは、外国人に対して採用調査を行う理由を解説したいと思います。
不法滞在(不法残留)の確認
外国人労働者の中には、不法滞在や不法残留している人が一定数存在します。こうした人を雇ってしまうと、企業側は「不法就労助長罪」という犯罪行為を行ったとして処罰されることとなります。
※不法就労助長罪の場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金
「不法就労助長罪になる要項」
- 事業活動に関し、外国人を雇用するなどして不法就労活動をさせた
- 外国人に不法就労活動をするために、自己の支配下に置く行為
- 業務として、外国人に不法就労活動をさせる行為、または斡旋する行為
このように、不法滞在している外国人を雇用してしまうと、法律に違反することになります。また、雇用することで企業イメージが低下を招き、業績が悪化してしまうという問題も発生します。
身元の確認、経歴詐称のチェック
企業の中には、調査を行わずに身元の分からない外国人労働者を雇用するケースがあります。しかし、この場合、トラブルがあった場合に対処できず、最悪の場合企業に多くの損失を与えてしまう問題に発展することもあります。
そうしたリスクを回避するため、身元の確認と、経歴詐称のチェックを行います。近年は、外国人に対する雇用形態や調査が確立されてきているため、日本人と同じように働く外国人も増えています。しかし、今でも身元の分からない外国人労働者が多くいるため、採用リスクを減らすためには重要な調査と言えます。
外国人候補者が調査を受ける際に気をつけること
ここでは、対象者が調査を受ける際に気をつけるべきことを解説したいと思います。
不法滞在(その他違法行為)で労働をしない
業種によっては、不法滞在のまま働いている外国人労働者がまだまだ存在します。しかし、日本では外国人労働者の雇用方法について、大きな見直しが行われてきています。今後、違法行為を行っている労働者や企業に対しては、更に厳しい措置が取られることになるでしょう。
そうした現状を考えると、日本で働くのであれば、不法滞在になるような状況は作るべきではありません。隠しても調査ですぐにバレてしまうので気をつけるようにしてください。
雇用調査にはできる限り協力する
雇用調査は、企業の雇用リスク回避のために行われますが、調査によって外国人労働者を守ることにも繋がります。身元がしっかりしており、スキルや経験があれば、日本人労働者と同じように賃金、雇用環境を待遇してくれると思います。
また、業績に関しても正当な評価を受けることが可能になるでしょう。日本の企業で働くのであれば、調査に協力的な方が今後の活動が行いやすくなるのではないでしょうか。
まとめ
今回は、外国人労働者の雇用調査について、様々な角度から解説させて頂きました。記事をまとめると以下のようになります。
- 外国人に行う雇用調査は採用リスクの他に「犯罪リスク」の回避も含まれている
- 雇用調査を行うことで、外国人労働者に対して正当な評価ができる
- 採用候補者は、採用調査をうけた方が良い
- 嘘をつかず、真摯な態度で調査を受けること
近年の日本では、労働力の低下により外国人を採用する企業が増えています。それと同時に採用リスクが高まっているという状況もあります。外国人に対する雇用調査は、今後の雇用事情に必要なものであると言えるでしょう。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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