内定者の素行調査 について!詳しくご紹介
現在、企業のみならず金融関係などのさまざまな業種で素行調査が行われています。
大手の企業や金融会社では、他人の大切な情報を取り扱っているため、身元がきちんとした人物を採用しやすい傾向にあります。
特に他人のお金を扱う金融機関の場合、横領などの犯罪に関わってしまうことがないかを、事前に見極めなければいけません。
大手の企業や金融会社が行う調査では、住所や学歴などの他にも近隣での評判や家族に関する聞き込みを行うこともあります。
転職者の場合は、前職の勤め先に連絡を入れて、調査することも少なくありません。
内定者と素行調査の目的
内定者調査とは、企業が内定を出した人物に対して行う素行調査を指します。
また、内定者の選考段階で、入社に適している人物かを見極める目的として実施されることもあります。
実施する内定者調査の内容は、多岐に渡ります。
一般的なものでは、履歴書に記載の学歴、職歴、年齢、保持資格などの応募書類に偽りはないかを確認する真偽調査です。
転職者については、前職における働きぶり、担当した業務や任されていたポジション、退職理由なども調査対象となります。
万が一、経歴・学歴詐称や人物像に問題があった場合には、内定が見送られることもあります。
企業は、入社後のトラブルを防ぐために、内定者の素行調査が行われます。
素行調査の内容
調査の内容は、企業の風土や慣習をはじめ、業種や職種によっても異なります。
たとえば、銀行や証券会社、保険会社などでは多額の金銭を扱うため、マネーロンダリングなど犯罪の防止を図らなくてはなりません。
多額の借金を抱えていないか、暴力団関係者とのつながりがないかなどの調査があります。
そのほか、経歴や性格、過去の勤怠や退職理由、生活状況などの調査もあります。
- 前職を辞めた理由
- 経歴詐称の有無
- 素行の良し悪し、悪い噂
今の時代は、面接時にタブー視されている質問もあります。
また、尋ねたところで本音が返ってくるとは言い切れない質問もあります。
面接時、本人のマイナスになることを正直に話す人は稀です。
マイナス面は隠して、前向きでプラスの印象を与える回答をするのが通常です。
そこで、その話の真偽を確かめるべくため、前職の勤務先に職務能力や勤怠、評価や風評、辞めた理由などをリサーチします。
また、履歴書の学歴や経歴、資格などに詐称がないかをチェックすることも可能です。
そのほかにも、業務に影響を与えるような素行の乱れがないかなども確認することができます。
近年は、プライバシーの保護意識が高まっているため、可能な範囲で生活の乱れや悪い噂などを限定的に調査します。
内定者の調査方法
採用時の調査において、最も実施する頻度が多く、有効性が高いのは前職調査です。
「リファレンスチェック」とも言われます。
採用時の調査を行うにあたり、企業は職業安定法や厚生労働大臣の指針などの制約が存在します。
基本的に、企業は採用候補者から調査の同意書を取得する必要があります。
特に、「職歴照会」においては、採用候補者が調査に同意していることを示す「調査同意書」が不可欠となります。
更に、入念な照会においては、情報開示の為の「委任状」を提出させることもあります。
リファレンスチェック
厳密には、リファレンスチェックと前職調査には違いがあります。
前職調査は、書類に記載された学歴や職歴などの経歴詐称、金銭的なトラブルなどの調査が主となります。
一方、リファレンスチェックは、実績や人柄、コミュニケーション能力などのスキルに関する調査になります。近年は、個人情報保護法が厳格化したことにより、前職企業への個人情報の入手が難しくなりました。
そのため、前職調査を実施する企業も少なくなっています。
企業が行うリファレンスチェック
リファレンスチェックは、採用担当者または、外部委託による第三者機関によっておこなわれます。
一般的には、求職者の前職の上司2人ほどに、書面もしくは面談でヒアリングを実施します。
近年は、ビデオチャット形式(Zoom、スカイプ、Google Meet、Microsoft Teamsなど)でおこなわれるケースも増えています。
リファレンスチェックのやり方は、求職者がリファレンス先を紹介する場合と、採用側がリファレンス先を探す場合があります。
一般的には、次のような流れでおこなわれます。
1.リファレンスチェック実施の説明をする
採用担当者が採用候補者に、説明して承諾をとります。
【承諾してもらう内容】
- リファレンスチェックの実施
- 現職や前職の方から採用候補者の情報を提供してもらう旨
- 採用候補者から、現職や前職の上司・同僚に対して、リファレンスチェックについて説明し回答の同意を得ること
2.リファレンス回答者の連絡先提供
採用候補者に、リファレンスチェックに協力してもらう方を探してもらい、リファレンスチェックについての説明をしていただきます。
協力への同意が得られたら、企業にリファレンス回答者の連絡先を共有してもらいます。
3.リファレンス回答者と日程調整をする
リファレンスに回答者してもらう方と日程調整をし、リファレンスチェックの実施日を決めます。
4.質問を決める
リファレンスチェック実施までに、質問内容を決めます。
5.リファレンスチェックを実施する
日程になったらリファレンス回答者に連絡をし、事前に決めた質問内容を聞き、リファレンスチェックを実施します。
6.レポートにまとめる
最後に、リファレンスチェックで実施した内容をテキストにまとめます。
ここでは、誰に実施したのか・質問内容・回答結果・総評をまとめます。
レポートは採用に関係する人のみに共有し、採用判断に役立てます。
素行調査で内定取り消し
内定取り消しが法的に認められるかどうかの判断は、解雇理由に該当するかどうかになります。
応募者側に原因のあるケースとして、
- 採用の過程で企業が知り得なかった事実が内定後に分かり、その事実があることで従業員として業務ができないと判断できる場合
- その事実により会社との信頼関係を続けられないと判断できる場合
これらは、解雇する妥当な理由と考えられ、企業の内定取り消しが認められる可能性が高いケースです。
一方、経営難や配属ポストの廃止といった企業側の理由による内定取り消しの場合、
- 人員を削減する必要性
- 適切な配慮を尽くしたこと
などの手続の妥当性を踏まえ、有効かが判断されます。
内定取り消しに関する法律
企業側が内定取り消しを行う際は、法律・社会的通念の観点から判断することになります。
【労働契約法第16条】
労働契約法の第16条にて、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定められています。
つまり、企業側に客観的に合理的な理由があり、かつ社会通念上相当な理由がない場合、無闇に解雇、内定を取り消すことを禁じています。
【労働省発職第134号】
「事業主は、やむを得ない事情により、どうしても採用内定取消し又は入職時期繰下げを検討しなければならない場合には、あらかじめ公共職業安定所に通知するとともに、公共職業安定所の指導を尊重するものとする」
「この場合、解雇予告について定めた労働基準法第20条及び休業手当について定めた同法第26条等関係法令に抵触することのないよう十分留意するものとする」
と定められています。
【採用内定に適用される解雇権濫用の法理】
解雇権濫用の法理とは、解雇による裁判で培われた判例理論のことです。
- 会社が、気に入らない社員をいつでも自由に解雇できるわけではない
- 解雇をするためには、「その社員を企業から排除するのはやむを得ない」といえるような、よほどの合理的理由がなければならない
このように、企業側は解雇権を濫用することはできません。
【整理解雇の4要件】
企業側の都合で内定取り消しを行う場合、「整理解雇」として以下の4要件を満たす必要があります。
- 人員を整理する必要がある
- 解雇せずに済むよう努力する
- 対象者を選ぶ際、公平かつ合理的に
- 説明や協議を十分に行う
内定後に起こりうるトラブル
内定後のトラブルとして、採用活動終了後に問題が発覚するケースや、入社後のトラブル発生も考えらます。
【出社しない】
入社日以降出社しなくなる、入社した翌週から出社しなくなるというパターンも稀にあります。
承諾したにも関わらず入社日に姿を現さず、連絡もつかないというケースです。
志望度が低かった人物や、企業に対して実態とかけ離れたイメージを抱いて入社した人物に起こるケースです。
【経歴詐称】
入社後に、学歴・経歴の詐称、解雇歴や犯罪歴が明るみに出るケースがあります。
経歴の詐称や、申告するべき内容の隠匿は、採用の可否や入社後の待遇に大きな影響を与えるものです。
詐称・隠匿の内容によっては、懲戒解雇に至ることもあります。
【メンタルヘルスの問題】
フィジカルの健康は、入社前の健康診断で確認できますが、メンタルの健康についてはそうはいきません。
精神疾患の有無などを面接で聞くことは難しいものです。
業務上の判断材料として聞く必要があれば、断りを入れた上で聞くことは良しとされています。
しかし、採用面接で正直に精神疾患があると答える人は少なく、問題を抱えていても偽りをいい、入社後に悪化して業務が遂行できなくなるケースがあります。
【業務内容・労働条件の相違】
採用後に、求人情報と実態の相違に関するトラブルが起こる可能性もあります。
求人票が古かったり、分かりにくい表現などに加え、面接官の説明不足や誤解を招く表現などが原因と考えられます。
まとめ
素行調査の結果が、内定に影響することは事実です。
素行調査は、企業が選考段階で問題がないかを見極める手段として利用されるもので、内定を出す前におこな
われるケースが一般的です。
しかし、内定後の素行調査によって、内定が取り消されることも状況によっては認められます。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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