浮気調査の費用は、相手に請求可能なの?詳しく解説

浮気の証拠を掴むために探偵や興信所に依頼した場合、通常数十万円の調査費用がかかります。
これは、決して安い金額ではありません。
パートナーの浮気がなければかからなかった費用だからこそ、パートナーや浮気相手に請求したいと思う人も多いと思います。
しかし、浮気調査の費用を必ずしも相手に請求できるとは限りません。
どのようなケースであれば、相手に請求できるのかを解説していきます。
浮気と慰謝料請求

浮気・不倫の慰謝料請求には、不貞行為の事実と証拠が必要です。
配偶者以外の者と肉体関係を結ぶことを、民法上の「不貞行為」と言います。
不貞行為は、夫婦・婚約・内縁関係にある男女のどちらかが、配偶者以外の異性と自由意志で肉体関係を持つ「貞操義務違反」とされており、法律上は民法第770条第1項に規定された、法定離婚事由として認められるものひとつです。
この不貞行為を証明するには、肉体関係があったと認められるための証拠を集める必要があります。
肉体関係があったことを示す証拠がない場合、浮気の当事者が不貞行為を否定すれば、基本的には慰謝料請求が認められません。
慰謝料請求の条件
(1)相手の故意・過失
不貞行為の故意とは、相手が既婚者であると知りながら肉体関係を持つことをいいます。
また、既婚者と気づくことができたにもかかわらず、未婚と軽信した場合や、婚姻関係が破綻していると軽信した場合にも、不貞行為に対する過失があるとされます。
一方、浮気相手が強姦や脅迫などの自由意志で肉体関係を持っていなかった場合は、故意と過失があることは認められません。
出会い系サイトなどで知り合った関係などでも、お互いの素性を知らず肉体関係を持った場合も、故意・過失がないとされ、慰謝料請求が認められないことになります。
(2)浮気・不倫での権利侵害
浮気・不倫相手の不貞行為により、それ以前は円満だった夫婦関係が破綻したり、離婚してしまった場合には、「平穏な婚姻生活を送る権利」を侵害されたことになります。
また、夫婦関係が修復不可能なほどに破綻した場合でなくても、浮気相手の不法行為によって「平穏な夫婦生活を送る権利」が侵害され、精神的苦痛を受けたことには変わりありません。
そのため、夫婦関係が悪化した場合や配偶者と離婚しない場合でも、浮気相手に対する慰謝料請求が認められます。
ただし、夫婦関係が破綻して離婚する場合に比べ、精神的苦痛の程度が軽いと考えられるため、慰謝料額は低くなる傾向にあります。
離婚原因として民法に定められている「不貞行為」は性交渉を意味します。
しかし、肉体関係がなくても他の異性と通常の友人関係を超えた親密な交際をすることによって、配偶者の「平穏な夫婦生活を送る権利」が侵害される場合はあり得ます。
そのため、肉体関係がなくても浮気相手に対する慰謝料請求が認められる可能性があります。
実際の裁判例でも、離婚に至ったケースの中には、肉体関係がなく慰謝料請求が認められた事案があります。
(3)本人との婚姻関係または内縁関係の有無
浮気・不倫相手に慰謝料を請求することは、離婚の有無にかかわらず可能です。
慰謝料請求は、不貞行為による精神的損害を受けたことに対する賠償となるためです。
しかし、不貞行為の時点で慰謝料請求する側が、不貞行為の本人と婚姻関係または内縁関係になく、同棲中や恋人関係であるというだけでは、慰謝料の請求はできません。
浮気調査の費用請求

探偵に支払った浮気調査の費用は、損害賠償として配偶者や浮気相手に請求することが可能です。
ただし、裁判で認められるか否かはケースによります。
損害賠償とは、相手の不法行為によって損害を受けたときに、その損害についての補償です。
浮気による不法行為では、浮気調査費用との因果関係によって、損害賠償が認められることになります。
しかし、因果関係が認められたとしても、浮気調査費用の全額を請求できるとは限りません。
実際、損賠賠償として認められるケースでは、浮気調査費用の一部という場合が多いです。
具体的に、浮気調査費用の請求が認められるための条件について、詳しく解説していきます。
裁判で認められるための条件
裁判で浮気調査費用の請求が認められるには、「必要性」と「相当性」の観点から考える必要があります。
【浮気調査の必要性】
浮気事実を証明するために、探偵による調査の必要性が高かったと裁判が判断した場合、その費用の請求は認められやすい傾向にあります。
具体的には、以下のようなケースがあります。
- 配偶者や浮気相手が、浮気の事実を否定していた
- 自分で調査できない理由があった(単身赴任中、子育て中など)
- 浮気の事実が、探偵の調査で初めて明らかになった
- 探偵の調査結果が、重要な証拠になった
探偵の調査が、不貞行為の事実証明に大きく寄与していれば、損害賠償請求が認められる可能性が高いといえます。
反対に、浮気調査の必要性が低い場合には、損害賠償としては認められません。
- 浮気の事実が、調査を行う前から明らかだった
- 配偶者が不貞行為の事実を認めている
- 探偵による調査が、証拠として決定打になっていない
配偶者が浮気を認めている場合で、裁判の争点が「婚姻関係が破綻していたか」になっているケースでは、不貞行為の証明をするための調査が必要であったとはいえないため、損害賠償請求は認められません。
【浮気調査費用の相当性】
損害賠償請求が認められた場合であっても、裁判所が相当であると認める額に限られます。
調査費用の相当性は、その探偵が行った調査内容とそれに対する調査費用が釣り合っているかという観点で判断されます。
例えば、探偵の調査が不必要に長引き費用が高額になった場合は、一部の費用しか認められないこともあります。
実際の判例では、調査費用の請求が全額認められるケースは、あまり多くはありません。
費用を請求するその他の方法
慰謝料とは、不貞行為によって受けた精神的なダメージを金銭によって賠償するものです。
調査費用は、不貞行為の証拠取得、浮気を立証するために必要だった費用と考えられます。
調査費用は経費と考え、慰謝料とは別物です。
浮気調査の費用を、他の方法で請求することもできます。
- 請求する慰謝料の金額に、調査費用を組み込む
- 示談書に「調査費用負担」を記載した上で、示談の合意を求める
慰謝料請求の大半は、訴訟に至ることなく示談で決められることが大多数です。
そのため、弁護士に依頼して不倫慰謝料を請求をする際には、弁護士費用や調査費用を含めるのが一般的です。
まとめ
浮気調査にかかった費用が、損害賠償として認められた場合であっても、全額を請求できるとは限りません。
実際には、かかった費用の一部しか認められないケースが多いようです。
個々のケースにもよりますが、一般的には費用の6割~1割程度が損害賠償として払われる金額になります。
投稿者プロフィール

- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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