探偵になるために必要な届出、条件とは?

今や探偵業は浮気調査だけではなく、嫌がらせトラブルに関する調査や転職時の採用調査など多岐に渡っており、需要の広がりと共に探偵を開業したいと考える人も増えています。そのために必要な書類や開業できる条件について解説します。
そもそも探偵業とは?

探偵と聞いて、ペット調査や浮気調査、結婚相手の身元調査など、思い浮かぶイメージは様々ですが、「何かを調べる人」という点は共通しているでしょう。
では、全ての調査が探偵業に該当するかというと、そうではありません。探偵の定義は法律で定められています。
依頼、調査、報告がセット
探偵業や興信所業と依頼者とのトラブル増加を受けて制定された「探偵業の業務の適正化に関する法律(以下、探偵業法)」の第2条において、探偵業務は「他人の依頼を受けて、特定人の所在や行動についての情報を、依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他実地の調査を行い、その結果を当該依頼者に報告する業務」と定められています。
探偵業務のポイントは以下の4つです。
- 依頼を受けて行う
- 依頼に関する対象者の所在、行動の情報収集
- 聞き込みや張り込みなど実地調査
- 結果を依頼者に報告
例えば、報道機関や研究機関などが自身の業務のために調べることは、探偵業務には該当しません。また、依頼者に報告するまでが業務となっているので、市場調査なども当てはまりません。
探偵の10の義務
探偵には届出書の提出をはじめ様々な義務についても、探偵業法によって定められています。届出に関しては後述しますが、それ以外では、名義貸しの禁止(同法第4条)や書面の交付を受ける義務(第7条)、重要事項の説明(第8条)、秘密の保持(第10条)などがあり、全て合わせると10項目に渡ります。
所在や行動の調査を業務として行うことに、もし悪用されたら、不安を抱く人も少なくないでしょう。
しかし、「書面の交付を受ける義務」において「依頼者から、当該探偵業務に係る調査の結果を犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いない旨を示す書面の交付を受けなければならない」とあるだけでなく、第9条「探偵業務の実施に関する規制」によって「調査の結果が犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いられることを知ったときは、当該探偵業務を行ってはならない」とも定められており、調査目的については徹底した確認が求められます。
探偵開業には届出が必要

探偵業を営むときに、まず必要なのは届出書の提出です。探偵業法第4条の探偵業の届出にて、「探偵業を営もうとする者は営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会(所轄警察署経由)に、次に掲げる事項を記載した届出書を提出しなければならない」とあり、期日については警視庁の探偵業の届出要領に「探偵業を開始する前日まで」と明記されています。
届出をしないと懲役か罰金
届出をしないまま探偵業を行っているところもあるのでは?と思うかもしれませんが、きちんと罰則が定められています。
同法第18条において「届出をしないで探偵業を営んだ者は6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」とあるだけでなく、第19条により、虚偽の記載や必要な添付書類を行わなかった場合など5項目において、30万円以下の罰金が課せられます。
届出をした場合、公安委員会から交付された探偵業届出証明書を営業所の見やすい場所に貼るよう警視庁から通達されています。あえて証明書を隠す必要もないので、掲示されていない探偵業者は避けるべきです。
個人と法人で必要な書類
探偵業届出に必要な書類について解説します。
探偵業法第4条探偵業の届出には商号、名称、氏名または住所をはじめとする4項目が定められていますが、具体的な書類までは書かれていません。警視庁サイトの「探偵業の届出要領」ページに詳細が載っており、探偵業開始届出書と手数料3,600円(収入印紙不可)で、添付書類として個人の場合、一般的には下記が必要です。法人の場合には、役員の上記添付書類に加えて、定款の謄本と法務局発行の登記事項証明書も必須です。
- 履歴書
- 住民票の写し。本籍地(外国人の場合は国籍)が記載されており、マイナンバーは記載されていないもの
- 欠格事由に該当していない誓約書
- 身分証明書
身分証明書とは運転免許証などの本人確認とは異なり、破産宣告などの民事処分の有無について証明するもので、本籍地のある区市町村で発行しています。
また、届出をした後で商号や営業所の住所、法人の場合は役員の氏名、住所などを変更する際には、変更日から10日以内に管轄の公安委員会に変更届出書を提出しなければなりません。
探偵開業できないケース

探偵業は弁護士や看護師など国家資格を必要とするわけではありません。しかし、探偵業届出の添付書類に誓約書があるように、探偵業法第3条によって探偵業を営むことができない条件が定められています。これは犯罪に関わらないという絶対条件があるとはいえ、特定の人を調査する業務をトラブルなく行うために不可欠です。
6つの欠格要件
探偵業を営むことができない条件には、社会的信用と健全性、心身の安定がポイントとなっていると想定されます。
具体的な要件は以下の6つです。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 懲役刑や探偵業法の規定に違反して罰金刑に処され、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 最近5年間に営業停止命令・営業廃止命令に違反した者
- 暴力団員、暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- 心身の故障により探偵業務を適正に行うことができないと内閣府令で定める者
- 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者で、その法定代理人が1~5に該当する者
1の「復権を得ない」について、一般的には免責許可が確定される4~8カ月だといわれていますが、免責を認められないケースでは、当然、期間は長くなります。また、何らかの懲役や探偵業法違反、脱暴力団員を行った場合5年が経過していることがポイントといえます。
法人の場合は、役員に1~5のいずれかに該当している者も追加されます。
まとめ
探偵を開業するための資格はありませんが、欠格事由や必要な書類、手続きはあります。開業したい場合はしっかりと準備をすること、また、依頼したい場合にも、きちんと届出をしている事務所なのか確認しましょう。探偵業法や他の法律に違反し、探偵業の運営が害されると判断された場合、営業停止もあり得ます。
投稿者プロフィール

- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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