興信所の調査とその証拠能力とは?詳しく解説
たとえば、浮気を理由に裁判を行なう場合などには、その浮気事実を証明する必要があります。
その際、探偵・興信所に浮気調査を依頼して、その調査報告書を証拠として提出することができます。
第三者かつ専門家による報告書は、事実を客観的に捉えた説得力のある証拠として、裁判においても重要視される可能性があります。ただし、報告書の内容が曖昧で信憑性に欠けるものであるものは、証拠として機能しないこともあります。
民事の証拠収集
昨今では、「財産保護の為の第三者情報開示」のルールの新設、「個人情報保護法」「プロバイダ責任制限法」の改正など、情報の取り扱いが重要視される時代です。
探偵業の主業務には、浮気調査から、家出人捜索、人事上の素行調査、採用調査、などの業務があります。
刑事裁判では、その事件に関わる捜査を警察が行いますが、民事事件では原告側で立証する必要があります。
そのため、探偵・興信所は不透明な秘密調査活動だけでなく、司法制度を手助けする訴訟資料収集などの業務も行います。
行動調査や内偵調査のみならず、公開情報の精査や情報開示請求の代行、関係者の供述証書の作成など、その業務は多岐にわたります。
民事訴訟の証拠
民事訴訟とは、当事者間の紛争を裁判所が事実認定し、法律に照らし合わせて判決を行うものです。
ここで事実認定に関して、当事者間で事実の存否に争いがある場合、どちらの主張が正しいのかを裁判所が判断しなくてはなりません。
その際、当事者が訴訟に提出した資料に基づき、ある事実の存否について十分な確信を得られた場合に、初めて裁判所はその事実が存在することを認定できます。
この事実の存否について、当事者が訴訟に資料を提出する行為を「立証」といい、用いられる資料のことを「証拠」としています。
証拠は大別すると、「物(モノ)の証拠」と「人(ヒト)の証拠」があります。
裁判所の手続きでは、
- 物(モノ)の証拠を取り調べる「書証および検証」
- 人(ヒト)の証拠を取り調べる「証人尋問、当事者尋問および鑑定」
があります。
証拠能力と証拠価値
その訴訟に提出された資料が、事実認定のために利用し得るかという資格を「証拠能力」といいます。
民事訴訟においての証拠能力は、原則として無制限と言われています。
証拠の形式に関して、書面であれば、基本的にあらゆる書面が証拠となります。
これらが裁判所の審理の対象から外されることはなく、自己に有利な判決に結びつくか否かは、裁判官が個々の事情によって判断します。
そして、その証拠が証明したい事実認定への有効性のことを「証拠価値」といいます。
証拠の内容によっても証拠価値は様々であり、証拠価値は、裁判官の自由な判断に委ねられています(自由心証主義 民事訴訟法247条)。
また、裁判所は、当事者が提出しようとした証拠に証拠価値が低い場合、「必要でないと認めるものは、取り調べることを要しない」とされています(民事訴訟法181条1項)。
その証拠の採否についても、裁判所の自由な判断に委ねられています。
証明責任
証明責任(立証責任)とは、事実の立証が不十分で敗訴になった場合のリスクをいいます。
裁判所は、原告の訴えが訴訟要件を具備している場合、法令を適用して判決を言い渡す義務を負っています。しかし、その事実の真偽が不明な場合は、その事実は無いものとされることもあります。
よって、原告側は証拠を集めるにあたって、「証明責任」というリスクが発生することを考慮する必要があるといえます。
興信所の裁判に関する調査
たとえば、裁判所で離婚を争いたい場合、別居しているなどで相手の現住所が分からないということも珍しくありません。しかし、裁判を起こすためには、裁判所に「訴状」を提出しなければならないため、相手の名前と住所などが必要になります。
訴状には、以下の事項を必ず記載します。
- 当事者および法定代理人
- 請求の趣旨および原因
当事者とは、原告および被告を指し、両者の住所、氏名、また、裁判所からの書類の送付先などを記載します。
裁判開始の手続き
裁判所では、訴状を受け取ると訴状に記載されている住所に「送達」を行います。
送達とは、相手に対して裁判が起こされたことを知らせる通知です。
相手が知らないうちに裁判が始まってしまうような事態を防ぐため、裁判所は送達することで裁判が始まることを知らせます。
裁判相手の調査
裁判相手の名前や住所が分からない場合、以下のような調査方法が考えられます。
【自分で調査する】
裁判の相手が親族であれば、自身で戸籍や住民票を取り寄せ調べることができます。
ただし、戸籍や住民票には個人情報が含まれているため、取り寄せることができるのは親族の一部に限定されています。
次のいずれかに該当する者は、戸籍を取ることが可能です。
- 請求する戸籍に記載されている、またはその配偶者、直系親族(父母、祖父母など)、直系卑属(子、孫など)
- 自分の権利を行使する、または自分の義務を履行するための証明が必要な場合
- 戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある
住民票の場合は、住民票に記載されている同一世帯の人物に限り、取り寄せることができます。
【弁護士に相談する】
弁護士に裁判を依頼すると、弁護士が代理人となり、裁判に関する手続きを行います。
このときに弁護士が行使できる方法が、「職務上請求」や「弁護士会照会」です。
「職務上請求」とは、戸籍法第10条、住民基本台帳法第12条に基づき、弁護士等の国家資格を有する者が、その職務を遂行するために必要な範囲で、第三者の住民票・戸籍謄本等を請求することができる制度です。
そして、「弁護士会照会」とは、弁護士法第23条の2に基づき、弁護士会が、官公庁や企業などの団体に対して、必要事項を調査・照会する制度です。
照会を受けた相手は、原則、回答をする義務があります。
これらの制度は、法律で認められた正当な権利のため、個人情報保護法に反することはありません。
【探偵・興信所に依頼する】
探偵・興信所の身辺調査では、調査対象となる人物の素性(バックグラウンド)と経歴などの確認が可能です。
- 名前(本名・姓名)、生年月日(誕生日)、血液型、身長、体重、プロフィールなど基本情報
- 人柄、性格、趣味、嗜好、資格、特技、健康、性癖などパーソナルな素性
- 交友関係、生活態度、思想など素行
- 出生、出身、学歴、職歴、家系、結婚歴などの経歴
- 口コミ、評判など周りからの評価
このように、対象者やその周辺のあらゆる調査が可能です。
興信所の裁判資料収集
【主な裁判資料】
- 写真・ビデオ撮影による証拠
- 不貞行為立証の為の証拠
- データ調査による証拠
- 聞き込みによる証拠
- 筆跡/指紋/声紋鑑定
そして、これらの情報をもとに報告書を作成します。
裁判の際に証拠として使う報告書は、一定以上の精度が求められます。
【精度の高い報告書のポイント】
- 時間が分単位で記載されている
- 調査対象の行動について、空白の時間がない
- 調査対象が訪れた施設などの名称や住所が正確に記載されている
- 調査対象が、誰とどこで会ったのかを、相手の見た目や服装などを詳細に記載している
- 調査対象の行動についての説明が、分かりやすく、客観的な文章である
まとめ
裁判では、立証責任(証明責任)が問われることが多く、状況を客観的に立証する必要があります。
例えば、浮気における証拠の場合、その証拠自体が「浮気行為を推認するに足る証拠」であることが求められます。
債権問題や不法行為などについても同様に、書面による資料や証言、確実且つ正確な情報が、勝訴への近道となります。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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