名探偵コナンなどで見られる布を押し当てて相手を眠らせるのは本当にできる?
名探偵コナンは老若男女、広い層で人気があります。名探偵コナンの中で、しばしば後ろからターゲットの口から目にかけて布を押し付けて意識を奪うシーンがあります。あれは現実世界でも本当にできるものなのか気になったことはありませんか?ここではどうして布を当てると相手が眠ってしまうのか、現実世界では理論上可能なのかについてみていきます。
布を当てると意識を失う理由
布を当てると意識がなくなってしまう、アニメやドラマでしばしば見られる演出です。しかしあれは布そのものに何か意識を奪う効果があるわけではありません。布に薬品を含ませて、その力によって意識を奪わせます。
意識を奪う正体はクロロホルム
布に何を含ませているのか、その正体はクロロホルムである場合がほとんどです。クロロホルムは無色透明な液体で、甘い香りや味がするといわれています。有機化合物を溶解する効果があるといわれています。一般的に販売される場合にはクロロホルム100%のものは少なく、エタノールやアミレンなど添加物の使われているものが多いです。
クロロホルムが発見されたのは1831年のことです。1847年には臨床応用が開始されます。そしてクロロホルムが広く普及するようになったターニングポイントは1853年のことでした。当時のヴィクトリア女王が無痛分娩を行いました。この時麻酔としてクロロホルムが用いられました。これをきっかけにしてヨーロッパでは外科手術の時に麻酔薬として、クロロホルムを使用するようになっていったといわれています。
全身麻酔手術にも活用
クロロホルムの使用方法ですが、吸入麻酔薬が挙げられます。19世紀にはヨーロッパを中心として、全身麻酔手術をする際に用いられるようになりました。全身麻酔をかけると、患者さんは眠ったような状態になるでしょう。そこから応用して、クロロホルムをかがせることで相手を麻酔にかかったような状態にして誘拐したり拉致したりするというアニメやドラマの演出に使われるようになったと考えられています。
クロロホルムを全身麻酔手術に使ったイギリスの医師に、ジェームス・シンプソンという人がいました。この人はイギリスのエディンバラ大学の教授を務めていたことがありました。この時彼の講義を受講していた学生の中に、のちにあの「シャーロックホームズ」シリーズの著者となるコナン・ドイルがいたといわれています。もしかするとシンプソン教授がクロロホルムのことを大学の講義で紹介していて、コナン・ドイルがそれに着想を得て、「シャーロックホームズ」の悪役が相手を眠らせるツールとして用いるようになったといった想像もつきます。
クロロホルムの布で実際に相手の意識は奪える?
布に数滴のクロロホルムをしみこませて、相手に嗅がせて意識を奪う、これはドラマやアニメの演出上の話です。実際の人間にクロロホルムをかがせることで、眠らせることは果たして可能でしょうか?結論から言うと実際には難しいですし、下手すると相手に深刻なダメージを与えかねません。
大量に吸引させる必要がある
クロロホルムをしみこませた布をかがせることで意識を奪う、というのはフィクションの世界の話と思ってください。確かにクロロホルムには麻酔作用はあります。しかし麻酔をかけるためには、かなり吸い込んでもらわないといけません。数分深呼吸をさせないと意識を奪うのは難しいです。もしそうなれば、数分間ずっと布を相手の口元に押し当てないといけません。ちなみに少し吸入した程度では咳や吐き気、頭痛は伴うかもしれません。しかし意識がもうろうとなるような状態には至らないでしょう。このため、おそらくやられている方はおとなしくはしていないでしょう。力の限りで暴れるはずです。それを押さえつけて、正確にクロロホルムをかがせるためには相当な腕力と忍耐力が必要です。ドラマやアニメのようにスッと布を当てて数秒でぐったり、なんてことはありません。
下手な使い方をすれば重大な結果になりかねない
実はクロロホルムですが、毒性のあることがのちに判明しています。ですから麻酔薬などの医薬品として利用されることはありません。それくらい危険性の高い薬です。クロロホルムをかがせてなかなか眠ってくれないのであれば、少し量を増やせばいいのではないかと思う人もいるでしょう。しかし一度に大量のクロロホルムを吸引させると呼吸抑制効果が強く表れてしまいます。その結果、自立呼吸がシャットアウトされてしまい息ができなくなります。最悪そのまま窒息死することもあり得ます。
またクロロホルムには中枢神経に作用する薬でもあります。大量に吸引させると、血圧や心拍数の低下を招くこともあり得ます。こちらが原因で死に至る可能性もあります。
さらにクロロホルムですが、肝臓や腎臓に悪影響を及ぼすともみられています。さらに発がん性も疑われています。命を奪うような結果に至らなくても、嗅がされた方が何らかの後遺症に悩まされる可能性は残ります。ですから日本ではクロロホルムは毒物及び劇物取締法の医薬外劇物に指定されています。労働安全衛生法の第二類物質特別有機溶剤等に指定されています。厳重に管理する必要があるので、そもそも素人がクロロホルムをどこか外に持ち出すのは困難です。このような背景からも、クロロホルムを含ませた布をかがせて意識を奪うというのは現実世界ではまず難しいと考えましょう。
まとめ
名探偵コナンなどでよく見られる布をかがせて相手を眠らせるという方法は、あくまでもドラマやアニメの演出の一環と考えましょう。クロロホルムで相手を眠らせるためには、相当吸引させる必要があります。おそらく相手が暴れるでしょうから、眠らせるところまではいかないはずです。またクロロホルムは毒性があることもわかっています。加減を間違えると、窒息したり血圧や心拍数が低下したりすることで深刻な状態を招きかねません。そもそも一般の人がクロロホルムを持ち出すのは難しいでしょう。あくまでもフィクションの世界での話と思って、演出の一環として楽しんでください。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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