怪文書と指紋鑑定について!指紋鑑定との関係を詳しく解説
怪文書の目的は、企業へ送り付けられる場合、
- 会社内での評価についての恨みや妬み
- 人間関係のトラブル
- 辞職した社員からの逆恨み
- ライバル会社からの一方的な怨恨
個人に宛てられる怪文書や誹謗中傷の手紙では、
- 不倫・愛人問題などの男女間のトラブルへの恨み・憎しみ
- 子ども関連、ママ友、近所トラブルでの逆恨み・妬みによる嫌がらせ
などが考えられます。
しかし、警察に相談しても、なかなか捜査をしてもらえないのが現状です。
そこで、嫌がらせの手紙や怪文書のような物的証拠がある場合、犯人を特定するための有効な調査手段として、指紋鑑定があります。
指紋鑑定とは
指紋の4大原則
- (1) 万人不同の原則
指紋は一人一人違い、同じ指紋は存在せず、遺伝もしないものです。
また、私たちは左右合わせて10本の指がありますが、その指すべてが違う指紋になります。 - (2) 終生不変の原則
生まれもった指紋は、一生変わることはありません。
成長と共に指は大きくなり、その影響で指紋の大きさも変わります。
しかし、指紋の模様自体が変わるわけではありません。 - (3) 均等均一の原則
指紋線の間隔は、常に等しくなっています。
線と線の間隔がバラバラだったり、指紋線が急激に細くなったり太くなったりする指紋は存在しません。 - (4) 自然再生の原則
指の皮がむけると再生しますが、指紋も自然に再生します。
しかし、表皮に深い傷を負ったり、やけどなどで破壊されると、元どおりに回復することが不可能になります。
指紋鑑定の歴史
指紋鑑定は、上記の特性を利用した科学的な捜査方法です。
まずは、指紋鑑識の歴史をお話しします。
時は、明治時代にさかのぼります。
エドワード・シルベスター・モース(1838-1925)という動物学者が、1877(明治10)年に来日しました。
そして、大森貝塚を発見し、発掘調査から縄文式土器を発掘します。
この発掘した土器を見たヘンリー・フォールズ(1843-1930)という宣教師・医師が、表面に残されていた指紋に着目し、日本特有である拇印(ぼいん)の習慣に興味を持ったことから、1880年にイギリスの科学雑誌「ネイチャー」に指紋についての論文を発表します。
このフォールズの論文が、最初の科学的指紋法(指紋認証)となりました。
その後、この指紋認証方式は警察に取り入れられ、1911(明治44)年から日本でも指紋法が、警察で採用されることとなりました。
警察の指紋鑑定
警察の鑑識課では、犯行現場で犯人が触ったと思われる場所から指紋を採取します。
採取された指紋は、指紋専用のカメラとスキャナーにより、デジタル保存されます。
データとなった指紋は、これまでに採取された指紋データと照合することができ、信頼性の高い情報となります。
照合によって、一致した指紋データから犯罪者を特定できるというものです。
これらの技術は日々進化しており、現在では、指の指紋から掌紋、足の裏の足紋などにも対応しています。
指紋鑑定の方法
- 汗腺口鑑定
私たちの指は、汗を放出するための汗腺がさまざまな場所にあります。
その汗腺の配置や感覚は、人によって異なるため、その場所などや汗腺口の配置の間隔を対象者と照合・確認することで特定ができます。 - 特徴点鑑定
私たちの指紋には、1本の線が2つに分かれたり、2つの線が1本に合わさったりする部分があります。
こういった箇所の配置を調べ、指紋の一致を確認する方法です。 - 隆線縁鑑定
指紋の太さは、部分的に太い場所や細い場所が存在しており、ばらつきがあります。
この部分を調べて、指紋の一致を見極める方法です。
指紋鑑定の方法は、大きく分けてこれらの3つになります。
これらの鑑定方法のうち、世界中で最も一般的な方法は、「特徴点鑑定」となっています。
指紋鑑定の利用に際して
指紋鑑定の利用ケース
個人間や会社内でのトラブルを解決するため、探偵などに調査を依頼した際、必要に応じて指紋鑑定が行われます。
指紋鑑定によって個人を特定できれば、早期解決につながる可能性が高くなります。
ここでは実際に、指紋鑑定を行うケースを見ていきます。
【嫌がらせや誹謗中傷の手紙】
昨今は、SNSでの嫌がらせや誹謗中傷も増えていますが、手紙のケースがあります。
人によっては、精神的に追い込まれてしまうこともあります。
そんな手紙を、指紋鑑定してもらうことが可能です。
誹謗中傷などが書かれた手紙には、書いた人物の指紋がついているため、特定の人物を割り出すことができます。
【会社に送られてきた怪文書】
企業を送られた悪質な怪文書も、指紋鑑定が可能です。
このような事件は、警察に相談してもなかなか動いてもらえないため、指紋鑑定で犯人の目星をつけることができれば、警察に動いてもらえる可能性が高くなります。
【機密書類の持ち出し人物】
社内で持ち出し禁止の書類があった場合、それが外部に持ち出され、情報が漏洩してしまったケースで指紋鑑定が役立ちます。
このケースでも、警察は確実な証拠がないと動けないため、指紋鑑定をおすすめします。
もし、怪しい人物がいるのであれば、その指紋を採取して鑑定すれば、早期解決の糸口となります。
指紋の検出方法
指紋の検出方法は何百種類とあります。
指紋を検出する方法が沢山ある理由としては、まず1つ目に、物件の種類に合わせているからです。
指紋が付着している物件は、紙、プラスチック、ビニール、ガラスなど、様々です。
これらの素材によって、指紋が検出しやすい最適な方法が異なります。
2つ目の理由は、物件の色です。
例えば、白い物件に対して、黒く指紋が出る薬品を使います。
このように、物件の色と異なる色で指紋を検出するため、薬品が多種になります。
検出方法は、いろんな物件から指紋が出せるよう研究され、何百種類にもおよびます。
警察が指紋検出で使用する方法は、主に以下のものになります。
【粉末法】
専用のブラシに、指紋採取専用の粉を付け、そのブラシで指紋が付いていそうな場所に粉を振りかけます。
指紋は、水分、油分、ダストで構成されているため、指紋採取専用の粉末が振りかけられると、それらの成分に反応して、指紋が浮き出る仕組みになっています。
【ALS】
光で指紋を検出する方法です。
特殊な光を当てることで、指紋がクッキリ浮き出てきます。
物質は、ある一定の波長の光を吸収し、違う波長で発光する性質を持っています。
これを「ルミネッセンス」と呼び、物質が電磁波や熱、摩擦などによりエネルギーを受け取って励起され、その受け取ったエネルギーを特定波長の光として放出する発光現象です。
ALSはこの性質を利用し、特定の波長の光を照射することで、目には見えない証拠を浮き彫りにします。
ALSで検出された指紋は、鑑定専用の特殊カメラで撮影され、特殊シートに転写して証拠として保存します。
その他にも、気化試薬を吹きかけて皮脂に含まれる分泌物と化学反応させる「噴霧法」、皮脂に含まれるアミノ酸と反応する「ニンヒドリン」と呼ばれる薬品を化学反応させる「液体法」があります。
指紋鑑定に適したもの
指紋鑑定を行う上で、指紋の採取がしやすいものと、しにくいものがあります。
それを把握しておくことで、指紋鑑定を依頼するときに役立ちます。
【毎日使う物】
毎日使うもの、例えば、パソコンのマウスや歯ブラシ、ボールペンなどは、指紋を採取しにくいものになります。
これらの物は、指紋が付きすぎているため、指紋線が重なって正確なものが取りにくくなります。
【指紋が残りやすい物】
スマホは、毎日使う物ですが、表面が滑らかで指紋を取る範囲が広いため、指紋を採取しやすいといえます。
また、段ボールや新聞、本といった紙類も指紋を取りやすい物になります。
家のリビングや個人部屋にあり、読書好きの人であれば、本棚に読みかけの本もあるはずです。
【指紋が付きやすいもの】
クリアファイルなども、指紋がつきやすい物になります。
クリアファイルは、指紋をとりやすいく、オフィスで使うことが多いため、疑わしい人物が触れている場合、手袋で扱って保管しておきます。
新しい物であれば、指紋を判別しやすくなります。
クリアファイル以外にも、PC用紙や文房具なども指紋がつきやすい物です。
まとめ
指紋鑑定は日々進化しており、怪文書などの問題が大きな事件に発展することを事前に防げる可能性があります。しかし、事件に発展するかわからない場合、警察では動けない可能性が高く、専門の調査機関へ直接相談することが有効な方法となります。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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