背任行為があったのに税金のペナルティが課せられる?重加算税を理解しよう
会社のお金を持ち逃げされたなどの背任行為があった場合、普通に考えると会社は損害を被る被害者です。しかしこの背任のせいで、会社が重加算税というペナルティを課せられる加害者になってしまうことがあります。なぜこのようなことが起きてしまうのか、余計な税金を支払う羽目にならないように背任行為を防止するにはどうすればいいかについてみていきます。
従業員の背任行為と重加算税の関係
従業員が個人的に横領や着服などの背任行為を行ったのに、会社の重加算税というペナルティの科せられることがあると言われても納得できないという人もいるでしょう。そこでまずは重加算税とはどのような類の税金で背任行為があった場合にどう解釈されるかについてみていきます。
重加算税とは?
重加算税とは隠ぺいや仮装行為を伴うのがただの申告漏れとは異なる点です。つまりより悪質と見られます。重加算税が課税された場合、ニュースでも報道されるかもしれません。企業の評判に大きなマイナスになりかねません。
重加算税の条項では「納税者」が事実の全部もしくは一部を隠蔽もしくは仮装した場合と記載されています。この納税者という言葉は、普段あまり使われないのでピンとこないという人もいるでしょう。納税者に関しては最高裁の判例があるのでこれに基づきます。法人の場合、納税者は企業になります。たとえ企業が隠ぺいや仮想行為を行っていなかったとしても、納税者が従業員の行為について容易に認識することができたと判断できれば、重加算税を課税できるとしています。
加えて是正や過少申告防止の措置が本来できたはずなのにそれを防止しなかった場合、従業員が隠ぺいや仮装行為を独断で行ったとしても納税者がその行為をしたものと同視できると解釈されます。このため従業員が個人的に隠ぺいなどの行為を行った場合、会社がやったこととイコールになってしまいますので注意しましょう。
業務上横領罪と会社の関係
例えば従業員が不正取引で得た利益を着服したと仮定しましょう。これも背任行為の一種で、業務上横領に該当するでしょう。業務上横領とは「業務上」自己の占有する他人の物を横領したことです。業務上とはもっと細かく説明すると、業務として行った行為のことと言います。従業員がその業務として行った横領行為の場合、税務上会社が意図的に隠ぺい行為を行ったと解釈されます。会社として何か不正行為を行ったわけではないけれども、従業員が業務上行ったのであれば、それは会社の望まざる行為であっても会社のやったことになってしまいます。
会社は該当する従業員に対して、着服・横領した金額を返還するように求めます。それは当然の権利です。ただし国税は会社が隠ぺいしたとみなすので、重加算税を請求してきます。少し理不尽な印象があるかもしれませんが、これが税務上のルールなのです。
重加算税が課税されないようにするためには?
従業員が個人的にやった横領は会社からしてみれば、背任行為以外の何物でもありません。しかし税務上は業務の一環で従業員のやった行為は会社の好意と同等とみなされてしまいます。重加算税を課税されないためにもコンプライアンスを徹底して、背任行為をさせないような予防が重要です。
出金に関する承認制度を作る
お金のやり取りを従業員一人でできないような仕組みを作ることが大事です。そのためには出金伝票を作成させ、それを上司に提出・承認を受けて初めて支払いが実行されるようにすることです。これであれば、従業員が一人で会社のお金を自由に動かせません。出金伝票は支払先と金額、内容を記載すれば十分でしょう。出金伝票のテンプレはネットでいろいろと掲載されているので、こちらを参考にするのがおすすめです。
経理担当者一人でお金を引き出せないようにする
横領などの背任行為の問題を起こす企業を見てみると、経理担当者が一人だけだったというパターンは結構あります。そして周りのだれもが気づかない間に経理が着服してしまうわけです。そこで経理担当者を複数つけて、預金からの引き出し時に複数名が関わるようなシステムを構築しましょう。複数経理をつけたら預金通帳と銀行員を管理する担当者を分けましょう。そうすれば、一人だけで預金の引き出しができなくなります。
また近年ではネットバンキングを利用している企業も多いでしょう。ネットバンキングの場合、通帳も印鑑もなしでお金を動かせられます。その場合には送金処理と手続きを行うのに必要なカードを管理する人を分ければいいです。ネットバンキングの場合、セキュリティ対策としてワンタイムパスワードを使っているところもあるでしょう。その場合には送金処理とワンタイムパスワードの管理を別々の人に任せるのも有効な対策です。
小口現金の確認は毎日
着服する人の中には、少額の現金を頻繁に横領する手法をとるケースも少なくありません。少額であればなかなかバレませんが、気が付いたときには多額の損害が生じる可能性もあり得ます。そこで小口の現金でも毎日きちんと確認するように心がけましょう。まずは先ほどの出金伝票がなければ支払いは絶対にしないという社内ルールを徹底しましょう。
また小口現金を普段管理している人とは別の社員が出金と出金伝票が一致しているか確認するのもおすすめです。大きな損害を被る前に、毎日チェックする体制を整えておきましょう。その他にも帳簿上の残高と現金の金額が一致するかも確認してください。こうすることで、少額の着服もやりにくくなります。
まとめ
従業員が横領や着服など背任行為を行っても気づかないという企業は少なくありません。税務調査をして、着服の事実が初めて発覚するというケースも珍しくありません。しかも業務上横領の場合、会社が隠ぺい行為を行ったと解釈される可能性があります。すると被害者であるにもかかわらず、会社が重加算税を請求される事態になりかねません。このような状況を回避するためには、社員へのコンプライアンスの意識を徹底することが重要です。また着服できないように、何重ものチェック体制を構築することも求められます。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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