日本にはびこる中抜きは背任行為?防止するための対策とは?
日本の企業風土の中で中抜きという慣習がいまだにはびこっています。業務を受注しても一定の利益を上乗せして、別の組織に再発注することです。この中抜きは余計な出費を強いられることになり、日本の生産性を引き下げる要因のひとつともいわれています。また中抜きの性格によっては、背任行為と認定される恐れもあります。中抜きをしないためにはどう対処すればいいかについても詳しく見ていきます。
中抜きが刑事事件に発展することも
中抜き行為が時として刑事事件に発展してしまうこともあります。過去の事例などを見て、どのような問題が起こるのかについてまずは紹介します。
岡山コンベンションセンターの問題
岡山コンベンションセンターとは岡山市が出資している第三セクターのことです。ここの統括部長をしていた人が中抜きをして、3,000万円超の利益を得ていたということで特別背任の罪に問われました。その方法はペーパーカンパニーを設立して、こちらに業務を委託します。その上で別の業者に丸投げしました。この時別の業者に半額くらいの値で差額を中抜きしたということです。実際に立件されたのですが、起訴状の中で岡山コンベンションセンターの被った損害は約6,100万円に上るといいます。
日本漢字能力検定協会の問題
日本漢字能力検定協会という財団法人があるのですが、こちらも中抜きが問題で背任罪に問われた事例がありました。理事長の関連会社と協会が巨額取引を長年にわたって行われていました。協会内に設置された調査委員会の報告によると関連会社は委託業務の97%を半額以下の価格で別の会社に丸投げし、中抜きを行っていたとのことです。2006年度から2008年度の3年間にかけて、中抜きされた金額は約34億円に上ったとされます。その結果、背任罪でこの理事長親子が逮捕されました。
産業硬直化の要因に
中抜きが実施されると、発注側は無駄な代金を支払うことになります。しかし発注者側が直接的な損害を受けるだけでなく、間接的には日本の産業前提にも影響を及ぼします。日本の労働生産性は先進国の中でも最下位と言われています。このことが日本の低賃金や低成長など、現在抱えている問題の大きな原因と考えられています。中抜きが横行するということは、中間マージンを取るだけの無駄な事業者が多く存在しているとも言えるわけです。
中抜き防止の現状について
中抜きがニュースなどでしばしば問題になります。そこでいろいろな業界でも中抜きの発生しないような防止策を進めています。どのような対策が試みられているのか、以下で詳しく見ていきます。
国の対策
国が事業を民間に委託する場合があります。この時丸投げや中抜きが横行される恐れがあります。しかし国で統一のルールは設けていません。その代わりに各省庁が独自のルールで運用しています。例えば財務省では2006年に委託契約の一括再委託を禁止する通知を各省庁に出しました。これに受けて経済産業省は受託企業が別に再委託する場合、その金額は50%を上限とするとしていました。しかし今では100%近い再委託も可能になっているようです。
しかし中には再委託する場合50%以内にするというルールを運用しているところもあります。環境省や農林水産省、法務省、厚生労働省ではこのルールを運用しています。こうすることで大きな中抜きが発生せずに税金の無駄遣いをなくそうとする試みは見られます。
ネットの普及が変化をもたらす?
中抜きが横行するのは仲介業者が入る構造が関係しています。しかし特に流通面では仲介業者を介さない、中間マージンの発生しない仕組みに徐々に移行しつつあります。それはネットの普及が関係しています。ネットの普及によって、オンラインショッピングが可能になりました。仲介業者を間に入れずに、直接自社サイトを使って消費者にオーダーを出してもらって、自宅に商品を届ける仕組みが定着しつつあります。この場合、少なくても流通面では仲介業者の介在がなくなります。流通で仲介業者が中抜きするような行為は少なくなるでしょう。
この中抜きがなくなることで、メーカーは直接消費者とつながれるというメリットが生まれます。仲介業者が間に入ってしまうと、消費者がメーカーからなかなか見づらかったのが問題でした。それがオンラインショッピングの普及で解消されつつあります。直接消費者とつながることで、顧客のニーズを把握しやすくなります。つまり顧客の求める商品やサービスが提供しやすくなり、消費者にとっても利便性に優れた商品の恩恵に恵まれます。
それでも中抜きはなくならない事情
中抜きが近い将来一切なくなるというのは難しいかもしれません。それは中抜きで生活している人もいるからです。仲介業者は多様な業界にあって、そこで働く人たちもたくさんいます。もし中抜きを完全禁止にしてしまうと、この人たちの生活はどうするのかという問題が出てきます。仲介を専業にしている業者の場合、仕事がなくなって倒産リスクも高まるでしょう。会社が倒産すれば、その社員や家族は路頭に迷うことになってしまいます。中抜きをどうにかするとなると、このように倒産や失業対策を一方でどう行うかが課題になるでしょう。
まとめ
中抜きそのものは違法行為ではありません。ただしその中抜きをやった人が自らの利益を得る目的で、発注者に損害を与えた場合には背任罪に問われる可能性があります。ここでも紹介したように、中抜き行為で背任罪で立件された事例はいくつかあります。
中抜きは中抜きした人もしくは企業が利益を上乗せするので、無駄なコストがかかってしまいます。この中抜きが日本の経済成長の足を引っ張っているといわれています。象徴でも中抜きを防止するための対策を講じていますが、なかなか効果を発揮できないでいます。また仲介業者をすべて排除するとなると、会社の倒産が続き、失業者が増える可能性もあるので二の足を踏んでいるのもまた事実です。しかし労働効率を上げるためには、再委託の観衆を最大限排除していかなければならないでしょう。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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