収賄による背任行為が行われていた場合どうなるのか解説
背任行為は単体での犯行もありますが、複数人で綿密に計画されているケースも考えられます。そこにはかなりの確率で賄賂が絡んできているのです。今回は背任罪と収賄に焦点を置いて解説していきます。
背任行為、収賄とは
普通に生活しているとなかなか背任罪についての知識を得る機会はないでしょう。テレビのニュースで聞いたことがある程度かもしれません。しかし意外と身の回りで起こっている事件だったりするのです。まずは背任罪と収賄について、横領との違いについてまとめていきます。
背任罪について
背任罪とは、利益を得るために地位を悪用して周りに損害を与えることをいいます。社員や公務員などが役所や会社に対して行うことが多いです。
他には特別法としての特別背任罪もあります。その事例として一番有名なのは、日産前会長のカルロス・ゴーン氏の事件です。個人の損失を日産で生まれたと偽装した可能性があると逮捕されたのです。さらに日産の子会社からも信用保証を付けてもらったと言い、お金を入金させていたのです。それも少額ではなく億単位での動きがありました。これは特別背任罪が成立するだろうと当時は話題になりました。
横領との違い
背任と似たような犯罪行為に横領があります。これら二つは行為と目的が大きく異なります。横領は他の人から頼まれたり預かっている物を私物化しようとしたり、勝手に譲渡、処分したりすることを指します。意外と罪状は限定されているのです。それに対して背任罪は会社などから与えられた任務を達成せずに損害を与えることを言います。そのため横領に比べて範囲が広くなるのです。これによって横領罪にはならなくても背任罪になる事件があったりします。
そしてもう一つの違いは犯行をする目的です。誰が利益を得るかが違います。横領は自らが得をする行為のことで、背任は第三者が利益を得ることも成立要件とされているのです。自分の家族にメリットがあるだけで本人には関係なくても罰せられるのです。
収賄とは
収賄とは賄賂を受け取る行為のことを指します。また賄賂は、昔は着物の袖の下に盗んだ物を隠していたのが由来して袖の下と呼ばれることもあります。金銭的な物だけでなく名誉や地位など不正な目的で贈るものは全て賄賂に含まれます。ちなみに贈賄は収賄の真逆で、賄賂を送ることを言います。
背任行為が起こった場合の罰則は?
背任罪を犯した場合は基本的に5年以下の懲役、または50万以下の罰金が言い渡されます。ただ背任の程度によって内容は変わってきます。10円の損失が出た事件と数万の損失が出た事件を同じように取り扱うことはまずありません。被害が小さくて初めての犯行だと執行猶予が付いたり、不起訴処分で終わる事例もあるのです。そのため在宅のまま捜査を受けることもあり、警察や検察に逮捕されることは少ないそうです。逆にとても悪質で手の込んだ背任行為ならば、実刑判決が下される可能性も高くなります。
ちなみに背任罪には未遂という概念はありません。盗めたかどうかという結果がどうであれ行動した時点で既遂となります。やってないから大丈夫ではなく、同じように罰が下るのです。
横領罪と比較した罰則
背任罪と横領罪は対象の行為と目的が違うので罰則の内容ももちろん変わります。横領罪の刑罰が5年以下の懲役に対し、背任罪は5年以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられます。必ず懲役を受けなければならないので横領の方が罪は重いと捉えられます。さらに業務をしている時に盗んだりした場合は、業務用横領罪が適用されます。これは10年以下の懲役が刑罰になるため、2つと比べてさらに重い罪になります。
特別背任罪でも少し内容が変わる
先ほども少し触れた特別背任罪の罰則は、実は懲役10年以下だけではありません。罰金1000万円以下も言い渡されることがあり、かなり重く設定されています。株式会社の役員など上の立場の人が容疑者になるので、個人での犯行よりも被害が大きくなると考えられているからでしょう。特別という名前の通り、かなり限定されたシチュエーションで適用されます。役員に登り詰めるにはかなりの努力が必要です。その人の性格や仕事の能力などがかなり関係してきます。そんな人が犯罪に手を染めていると考えると、重くなるのも当然かもしれません。
背任罪が認められた事例
横領罪と比べて背任罪はあまり聞き慣れない単語なので、いまいちどのようなものなのかイメージしにくいかもしれません。そんな人のためによくある事例を紹介していきます。把握することによっていち早く犯罪に気付くことが出来るというメリットもあります。
背任罪としてよくある事例
背任罪は基本的に会社が関わってきます。例えば、お金が欲しいから架空の取引先を作り出してやり取りをしたりするのも立派な背任罪です。中にはグルになって行うケースもあります。そして上の役職の人が動く特別背任罪では、こういった不正をしやすくなってしまいます。親会社と子会社間で計画を立てる事例もあります。
金銭の動きがない物事で例を挙げると、学校が分かりやすいかと思います。幼稚園から中学校まではそれぞれの地域で振り分けられて段階的に進むのがほとんどです。しかし中学を卒業すると、仕事をしたり高校へ進学したりと選択肢が増えます。そこで受験というつながりが出来るのです。高校を卒業した後どうするかによって、人生が決まるといっても過言ではありません。県外の大学へ行き一人暮らしをする人も多いでしょう。そうなるとあの高校を卒業すると大学に受かりやすいなどの噂が立ちます。良い話が広まるほど高校、大学ともに生徒が興味を持ってくれるというメリットが生まれるのです。学校を存続させたい、そんな思いから不正を行い生徒を入学させたりします。もちろんこれも犯罪にあたります。
まとめ
横領罪とは異なり背任罪は複数人での犯行が多く起こっています。なぜなら利益があるのが第三者の場合も適用されるからです。リスクを背負いながらも手を組むのは、やはりお金が絡んでいるからでしょう。そこで賄賂が関係してくるのです。もし不審な動きをしている人が周りにいる場合は、迷わずに専門家に相談するのをおすすめします。自分でなんとかしようとすると解決から遠ざかってしまう可能性があります。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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