横領した場合は弁済すればすべて解決できる?実際はどうなの?

横領した場合、そのお金や物品を弁済しなければなりません。もとは会社のお金や物品であるため、当然のことです。また、それらを返せば罪はなくなると思っている人もいるようですが、そのようなことはありません。確かに会社によっては弁済されたため、何事もなかったかのように業務を続けているケースもあります。弁済したことで会社はどのような対応を取るのかは会社によって違うと思っておいた方がいいでしょう。
弁済の意味

「弁済」とはあまり聞きなれない言葉ではないでしょうか。横領では弁済という言葉が使われることがあります。これは、横領したお金をすべて返すことを意味しているものです。基本的には、お金だけに使われるわけではなく、物品や仕事の契約などで使われることもあります。
「弁」という漢字が使われているのは、はっきりさせるという意味があります。そのため、全額返済に使われるのです。また、法律用語として使われます。
これに対し、「返済」という言葉があります。普段の会話のなかでは、弁済よりも返済が使われることが多く、住宅ローン返済などでよく聞くことがあるでしょう。借りたお金を一部返すときにも使えますし、全て返すときにも使える言葉です。
横領したお金を弁済できないときはどうなる?

横領したお金は弁済しなければなりません。会社に謝って済むような問題ではなく、何よりも先に弁済が優先されます。横領したお金の弁済について、さらに弁済できない場合にどのような方法があるのかについてみていきましょう。
会社の目的はお金を返してもらうこと
横領してしまった人にとって、横領がばれてしまったことも怖いと思っていますが、実際はこの先自分の身はどうなるのだろう?という不安に襲われています。横領という罪を犯してしまったのですから、何らかの償いを行わなくてはなりません。
会社としては、真っ先にどうしたいのか、その答えははっきりしています。「横領されたお金を返して欲しい」のです。横領した社員をクビにしたいという気持ちよりも、とにかくお金を返して欲しいのです。
横領をした本人は、このまま裁判となって刑務所に入ることになるのだろうか?家族はどうなる?などさまざまなことを考えると思いますが、まずは会社にお金を返せるように動きましょう。多くの人は自宅の預貯金や家の売却、親兄弟に手助けをしてもらいます。
示談を成立させることができれば、会社から告訴をされる可能性は低くなりますし、告訴されている場合も取り下げてくれる可能性もあります。
分割払いの提案
横領した金額によっては一括で返済できない場合もあります。親兄弟の助けを借りられない場合は手の打ちようがありません。その場合でも返済しなければならない事実は変わらないでしょう。
返済する意志はあるけど、肝心なお金がないという場合、会社に分割払いの提案をするしかありません。現時点では返済できるだけしておき、残りを後日払う方法です。お金を借りられるようなつてがある場合などはお願いしてみるのもありです。
しかし、会社側には、この期日までにどのくらい返済できるというようなはっきりとした提示をしなければなりません。また、それらが守られない場合は告訴される可能性が高いでしょう。
横領は退社やむなし!自主退社をお願いしてみる
会社を辞めるといっても、理由は人それぞれ違います。新たにどこかで働きたいと思ったときに、前職の退社理由は聞かれます。また、横領の場合は「懲戒解雇」となることがほとんどなので、次の仕事を見つけるのに苦労するといわれています。早めに新たな就職先を見つけないと返済はできないでしょう。
この場合、懲戒解雇ではなく、自主退社をお願いする方法もあります。身勝手なお願いですが、自主退社であれば仕事を見つける苦労はかなり軽減されますし、無職の期間を短くすることもできます。
しかし、このお願いは聞き入れてもらえるかどうかは会社によりけりでしょう。これまでどのような勤務態度であったかなどが考慮されて判断されることもなります。
横領についての疑問

横領についての疑問について紹介しましょう。横領は犯罪です。しかし、弁済することで告訴されないケースがあるのも事実ですし、告訴されたケースも当然あります。自分は横領をすることはないとしても、知識として知っておいた方がいいでしょう。
横領後の自己破産で弁済はどうなる?
横領をした後に自己破産をしたとしても、弁済を免れることはありません。横領は犯罪行為であるため、自己破産をしていても返済義務はあります。借金が返せなくて横領をする人がいますが、借金が返せないのであれば自己破産ができる場合もあるので犯罪に走る前に弁護士に相談されるといいでしょう。
示談ができれば逮捕されない?
会社としては、お金を返してもらうことを何よりも優先させたいと思っています。しかし、お金を返せば、示談が成立して逮捕されないと決めつけるのは思い込みといえるでしょう。
確かに多くのケースでは、お金を返すことで示談が成立し、会社にはいられなくなるけれど、逮捕はされないというケースが多く見られます。とはいえ、普段からの勤務態度や横領発覚後の態度によっては、警察に被害申告をすることもあります。警察が刑事事件として立件することで、逮捕される可能性はあるでしょう。
横領後に弁済ができないとき会社はどのような行動を取る?

横領をしてそれが発覚すれば当然弁済を求められます。しかし、横領した金額や経済的な状況によっては弁済ができない場合もあるでしょう。そのようなとき、会社はどう動くのでしょうか。
刑事責任を追及
横領をするくらいなので加害者に資産がない場合も多く、さらに親や兄弟などの親族に借りることができなければ、会社は被害額の回収を諦めざるをえません。この場合は、刑事責任の追及となります。
民事責任の追及
横領された金銭を取り戻すことを優先し、さらに仮差押えを申し立てた上で民事訴訟を行います。仮差押えとなるのは、預貯金や不動産などの資産です。持ち主である加害者には仮差押えについての連絡はいきません。加害者が資産を隠したり、持ち逃げをしたりする可能性があるからです。
刑事でも民事でも責任を追及
加害者に刑事責任を追及するために捜査機関に被害届や告訴状を提出。加えて、民事責任を追及するための方法として、裁判所に仮差押えの申し立てをし、民事訴訟を起こします。
まとめ
横領をする際、多くは借金を抱えていたり、特定の人物に貢いでいたりすることがほとんどです。まずは現状を解決するようにしましょう。横領した金額と迷惑料などを支払うことで示談となるケースが多いのですが、それでも逮捕される可能性はあります。また、資産の差し押さえがされた場合、ある日突然預貯金が引き出さなくなっていることで発覚します。お金を横領することは犯罪です。逮捕されることは仕方ないと思っておいた方がいいでしょう。