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探偵コラム

横領と窃盗、罪状や構成要件の違いを解説!

横領は大企業を舞台にした犯罪なので、自分とは無関係だと思っている人がほとんどではないでしょうか。しかし、横領、窃盗といった犯罪は身近でも起こります。自分が加害者にならないのはもちろん、被害に遭ったときに備えるためにも、それぞれの犯罪の違いについて解説します。

横領について

横領という言葉を知ってはいても、該当する行為や刑罰など具体的なことはわからない人も多いでしょう。まずは、横領について解説します。

横領はひとつじゃない

横領には3種類あります。
まず、刑法第252条に「自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する」と定められており、単純横領とも言われています。

次に業務上横領です。同法第253条「業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する」と定められています。

最後は、同法第254条「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金もしくは科料に処する」と定められている遺失物等横領です。

最も軽い刑は遺失物等横領で1年以下の懲役、または10万円以下の罰金、1000円以上1万円未満の科料で、重い刑は業務上横領で10年以下の懲役です。1年以下と10年以下という懲役の長さだけでなく、前者は罰金刑もあるのに対し、後者は懲役刑のみとなっています。横領も同じく懲役刑ですが、業務上横領よりは短期間です。

時効は刑事訴訟法第250条2の5「長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については5年」、4「長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については7年」、6「長期5年未満の懲役もしくは禁錮又は罰金に当たる罪については3年」とあり、単純横領5年、業務上横領7年、遺失物等横領3年が該当します。

単純横領の構成要件

どの横領に該当するかは、業務上の行為か、自分が占有していたかなどによって変わりますが、まずは横領そのものの構成要件を把握しておきます。

ポイントは「自己が占有」「他人の物」「横領」の3つだと言われています。
この中でイメージしにくいのは「占有」でしょう。所有、所持とも言えますが、「預かっている」という表現が1番わかりやすいです。つまり、構成要件は「自分が預かった、他人の物を、不法に自分の物として扱うこと」となります。

窃盗について

横領と混同しがちなのが窃盗です。
他人の物を不法に自分の物とする行為は共通しており財産犯に分類されていますが、別の犯罪です。ここでは窃盗について解説します。

窃盗の罪状と構成要件

窃盗は刑法第235条「他人の財物を窃取した者は窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と定められています。横領とは異なり、懲役刑と罰金刑がありますが、その重さは業務上横領と同等です。

窃盗の構成要件は「他人の財物」「窃取」「不法領得の意思」の3つだと言われています。この中でわかりにくいのは、「不法領得の意思」でしょう。他人の権利を排除して、不法に自分の物として扱い利益を得る意思のことで、横領にも共通しています。

不法領得の意思がない窃盗なんてあり得ないと思うかもしれませんが、一時的に借りることが目的の使用窃盗や他人の財物の破壊・効用を減少させる毀棄隠匿罪が該当します。これらの行為と区別するために、窃盗の構成要件には不法領得の意思が含まれています。ちなみに、使用窃盗そのものを罰する条文が定められていないため、罪に問われません。

では、電気の無断使用は窃盗と使用窃盗、どちらが成立するのでしょうか。電気は現金や貴金属のように有形ではなく、使用するものだから使用窃盗だと思われるかもしれません。しかし、刑法第245条に「電気は、財物とみなす」と記されていることから、窃盗が成立する可能性が高いです。
時効は刑事訴訟法第250条2の4「長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については7年」
が該当します。

横領と窃盗、成立のポイント

横領=会社のお金に手を付ける、窃盗=他人のバッグから財布を抜き取るイメージが強くあると、違いは一目瞭然のように思えますがそうとは限りません。不法領得の意思による行為という共通点がある以上、見極めが難しいケースが存在します。

占有を侵害している

横領と窃盗を分けるポイントは、横領の構成要件にもなっている「占有」です。3種類の横領と窃盗、どちらが成立するか具体的に解説します。

まずは単純横領のケースで、一番わかりやすいでしょう。
友達から「〇〇に渡してほしい」と預かった商品券を、渡さず自分の物として使用、もしくは換金した場合、自分が占有していても、商品券は友達の物であるため横領が成立します。これに対して友達の部屋で見つけた商品券を持ち出し、使用もしくは換金した場合は窃盗が成立します。

業務上横領は、混同しやすいケースです。
店長が店のレジからお金を抜き取っていた場合、責任者である店長がお金を管理(業務上占有)していることから、店の物であるため業務上横領が成立します。

アルバイトがレジのお金を抜き取った場合は、窃盗が成立すると考えられます。単純なレジ作業ではなく、お金の管理まで任されていなければ自分が占有しているとはいえず、店長の占有を侵害したことになるため、業務上横領ではなく窃盗の構成要件を満たしています。

占有が離れた時間と距離

最後の遺失物等横領が最も見極めが難しいとされるケースです。
公園のベンチに落ちていた財布を拾って自分の物にした場合、誰の占有かわからない他人の物であるため、遺失物等横領が成立します。

すべての遺失物が該当するように思えますが、窃盗となり得るケースもあります。それは、財布を落とした直後に拾い、自分の物にした場合です。占有の有無は、落としてからの時間や距離、場所などによって判断がわかれますが、明らかに落とした場面を目撃しているにも関わらず盗んだ場合には、遺失物等横領ではなく、窃盗が成立する可能性が高くなります。

まとめ

横領と窃盗は同じ財産犯であり、似て非なる犯罪です。
一見すると横領のようでも窃盗だったということもあり得ます。その見極めは難しく、損害賠償請求や告訴をするにしても、まずは証拠を得て実態を把握することが不可欠です。感情のまま自分で調査するよりも、探偵などの調査機関に依頼をした方が客観的な物証が得られます。

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