リファレンスチェックのアンケート調査とは?詳しく解説
日本の某人材紹介会社の調査では、外資系企業、およびグローバル日系企業の約7割が「リファレンスチェックの回答内容が採用の判断に影響する」と答えています。
また、リファレンスチェックを行っている割合は、外資系企業が高く(外資系企業:58%、日系企業:23%)、採用判断への影響度については、日系企業の方が高い(外資系企業:62%、日系企業:81%)結果になっています。
リファレンスチェックとは
リファレンスチェックは、中途採用の候補者を見極めるため行われます。
企業は、採用ミスマッチ防止や離職率低下の手段として利用します。
リファレンスチェック実施の流れ
リファレンスチェックとは、中途採用を行う過程で、採用予定者や内定候補者の前職での勤務状況や人物像などについて、その関係者に問い合わせる調査です。
主に電話で行うケースが多いのですが、書面や面接、WEBサービスを使ったケースもあります。
チェックを行う際は、採用企業が直接行う場合と外部に委託して行う場合があります。
リファレンス(reference)とは、「参照」を意味します。
リファレンスチェックは、対象者に対して第三者の話を「参照する手続き」をいい、経歴照会、推薦とも呼ばれます。
一般的に外資系企業では行われており、日本企業でも幹部採用などを中心に、導入する企業が増えつつあります。リファレンスチェックの際は、候補者に無断で行うことはなく、候補者の了解を得たうえで実施されます。
リファレンスチェックを行うタイミングとしては、書類選考段階から内定後の範囲で行われ、企業によって幅がありますが、多くの場合は内定直前の最終チェックと考えられています。
リファレンスチェックの目的
リファレンスチェックは、書類からは判断できない候補者の人物像をチェックします。
履歴書や職務経歴書に不審な点がある場合、第三者の証言から検証を行う必要があります。
また、面談で候補者の適性やスキルを見極めることは難しく、ミスマッチを防ぐ目的もあります。
リファレンスチェックの主な目的を、以下にまとめます。
① 経歴・職歴詐称の検証
リファレンスチェックを実施する目的の一つは、候補者本人の経歴や職歴に偽りがないかの確認です。
内定を得たいがために、仕事経験を誇張したり、携わっていない業務を記載する候補者も少なくありません。
リファレンスチェックにより、履歴書や職務経歴書についての事実確認が行えます。
経歴詐称は候補者の信用性が問われるため、採用前の最終判断として重要です。
② ミスマッチを防ぐ
リファレンスチェックは、ミスマッチを防ぐ目的もあります。
面接などの限られた中で、候補者のスキルや適性を把握することは容易ではありません。
厚生労働省「雇用を取り巻く環境と諸課題について(2014年)」によると、候補者の能力・スキル不足がミスマッチの原因として上位に挙げられています。
そのため、書類や面接以外から候補者本人について知る方法として、リファレンスチェックは重宝されます。
仕事に対する姿勢だけでなく、自社との親和性を検証して入社後のミスマッチを防ぐことが可能となります。
③ 客観的な評価
リファレンスチェックは、候補者を客観的に評価することができます。
候補者が提出した書類をベースに面接等を行うため、判断材料が少なく採用担当者の主観に依存せざるを得ません。
リファレンスチェックを行うことでは、候補者をよく知る人物からの情報が得られるため、第三者からの客観的な評価を行えます。
④ 採用活動の効率化
リファレンスチェックによって、採用活動を効率化できます。
一般的な採用選考では、書類で候補者を絞り、複数回の面接を通して採用者の選択を行います。
人材を雇う企業にとっては、失敗できないことから、最終的な採用確定まで時間を要するのが難点です。
リファレンスチェックは、事前に候補者の情報を把握できるため、最終選考までのプロセスを簡素化できます。
リファレンスチェックのアンケート実施について
企業によるリファレンスチェック実施の流れは、次のようになります。
【リファレンスチェック実施の流れ】
- 採用候補者に対して、リファレンスチェックの説明・同意を得る
- 採用候補者が推薦者を指名する
- 企業が推薦者に対して、リファレンスチェックを実施する
また、リファレンスチェック専門サービス利用の場合は、推薦者にサービス登録を依頼して、オンラインサービス上でリファレンスチェックへの回答ができます。
リファレンスチェックの注意点
リファレンスチェックは、企業にとって候補者を知ることのできる良い機会である一方、トラブルにならないため、実施な適切な手順で行う必要があります。
【候補者の同意を得ること】
リファレンスチェックは、必ず候補者に承諾をとってから行わなければなりません。
もし、本人に同意を得ずにリファレンスチェックを実施した場合、「個人情報の保護に関する法律」に抵触する違法行為となります。
リファレンスチェックにより得られる情報は、個人情報保護法の「個人データ」に当たるため、個人情報保護法23条1項で、プライバシーを守る目的で情報の提供に制限があります。
そのため、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課される可能性があります。
そして、責任追及されて損害賠償請求を受ければ、企業としての社会的信用を喪失しかねません。
【要配慮個人情報への配慮】
同意を得た場合であっても、無差別に情報を集めてよいわけでもありません。
個人情報保護法2条と3条に定められている「要配慮個人情報」については、差別や偏見などの不利益を生まないよう、情報の取り扱いに対して特段の配慮が必要です。
<要配慮個人情報の項目>
- 人種
- 信条
- 社会的身分
- 病歴
- 犯罪の経歴
- 犯罪により害を被った事実
- 本人に対する不当な差別、偏見
また、職業安定法などでも、「社会的差別の要因となる個人情報」の収集は認められていません。
「社会的差別の要因となる個人情報」とは、本人に責任のない事項や個人の自由であるべき事項を指します。
<社会的差別の要因となる個人情報>
- 本籍や出生地、人種、民族について
- 家族の職業や病歴、地位、学歴、収入など
- 住宅の間取りや部屋数、種類など
- 生活環境や家庭環境
- 宗教や支持政党に関すること
- 人生観や生活信条、思想に関すること
- 購読新聞や雑誌、愛読書
- 労働組合の加入状況や社会運動に関すること
リファレンスチェックの質問項目と質問例
短時間で採用側が知りたい情報を相手先から多く得るには、質問内容が大きな鍵となります。
リファレンスチェックでの知りたい情報については、以下の項目が挙げられます。
- 勤務実績・経歴について
- 勤務態度や人間関係などの人柄について
- 実績や長所、仕事への姿勢などの職務能力
ここからは、具体的な質問の仕方についての例を見ていきます。
<経歴や実績についての質問>
- 候補者Aの勤務期間は、◯年◯月~◯年◯月までで、間違いありませんか?
- 業務内容や役職は、◯◯◯で間違いありませんか?
- 退職理由は、◯◯◯で間違いありませんか?
- 最も貢献した実績やプロジェクトを教えてください。
- マネジメントしていたチーム人数を教えてください。
- マネジメントスタイルはどのようなタイプでしたか?
<勤務状況・人柄・対人関係についての質問>
- 一言で言うなら、どのような人物でしたか?
- 候補者Aとはどのような関係でしたか?
- 周囲とはうまくコミュニケーションを取れていましたか?
- ハラスメントや人間関係のトラブルはありませんでしたか?
- 遅刻や欠勤の頻度はどの程度でしたか?
- チーム内での報連相はできていましたか?
- 言動の根拠が分からないと感じたことはありますか?
- チーム内で気が合うタイプや苦手そうなタイプの人はいましたか?
- 今後、改善すべき点はあると思いますか?
- また一緒に働きたいですか?また、その理由はなぜですか?
<職務能力についての質問>
- 長所と短所を教えてください。
- 普段から論理的思考はできていましたか?
- 部下の教育時のコーチング力はどうでしたか?
- 仕事の効率は良かったですか?無駄がありましたか?
- 問題が発生したときの報告や対応はスムーズでしたか?
- 問題が発生したときに課題解決能力はありましたか?
- チームワークを保つ協調性はありましたか?
- チームと個人、どちらで働くほうが向いていると思いますか?
- マネジメントの能力は高いと思いますか?
まとめ
リファレンスチェックは、候補者の仕事に対する姿勢や人間性、能力の把握ができます。
そのため、入社後、採用者の活躍できる環境を整えることも可能です。
リファレンスチェックサービスは、オンライン完結型からSNSチェック代行まで、さまざまな種類サービスが登場しています。
手軽に実施できるようになってきた昨今、入社前のリファレンスチェックは、当たり前の時代がやってくることが期待できます。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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