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バックグラウンドチェックで内定取り消しされる?詳しく解説

企業は、採用活動においてバックグラウンドチェックを実施するケースがありますが、バックグラウンドチェックの結果によっては、内定を取り消すこともあります。

アメリカのバックグラウンドチェック

日本では、個人情報保護の観点から厳しい規制がありますが、アメリカでは、国家や会社セキュリティの観点からも、一般的に行われています。
反対にバックグラウンドチェックを行わない会社は、従業員の安全やセキュリティに関心のない会社だと判断され、良い人材が集まらなかったり、問題のある人材を雇ってしまうリスクもあります。
以下では、アメリカで利用されているバックグラウンドチェックの内容について解説いたします。

採用の為の調査

アメリカでは、履歴書に記載された会社の勤務期間やタイトルが、実際と異なることが多々あります。
履歴書を良く見せ、採用されるように意図的に書き換えるケースが少なくありません。
調査会社は、過去の職場に連絡して、在籍期間やタイトルの確認をとります。
また、アメリカの人口当たりの犯罪数は、日本の約五倍です。
犯罪の内容も、日本は軽犯罪が多いですが、アメリカでは殺人や傷害などの重犯罪が突出していることからもこのような調査が必要になります。
安全な職場を確保するために、バックグラウンドチェックは必要不可欠なプロセスであると考えられています。一般的な就職経歴調査は、1人あたり30ドル~100ドルほどです。
価格は、検索項目や依頼内容によっても変わります。

訴訟の為の調査

訴訟に関与したバックグラウンドチェックもあります。
裁判では、当事者の信頼性が大きく影響します。
すべての当事者(原告、被告、証人および専門家)について、できる限りのことを理解しておく必要があるからです。
このケースでは、相手からの同意や事前予告なしに、バックグラウンドチェックを実施できます。
犯罪歴からソーシャルメディアまで、様々な情報を調査します。
典型的な項目としては、以下のようなものがあります。

  • 身元情報の検証(名前/別名、SSN、DOB)
  • 住所履歴
  • 犯歴(刑事訴訟歴)(州および連邦)-郡/居住地
  • 訴訟歴(民事訴訟歴)(州および連邦)-郡/居住地
  • 指名手配リスト検索(全州犯リスト確認)
  • 反社リスト(Patriot Actウォッチリスト)
  • 性犯罪者の検索
  • 国家安全保障とテロの監視リスト
  • OFAC(外国資産管理局)リスト
  • インターポールの指名手配リスト
  • OIG (行政処分歴)
  • 各種ブラックリスト
  • 職歴役員歴
  • 支払い滞納記録
  • 破産歴
  • 判決記録
  • 先取特権
  • ライセンス
  • ニュース/メディア検索
  • ソーシャルメディア検索

バックグラウンドチェックで得た情報は、法定での立場を有利なものにします。
訴訟目的で必要な情報に焦点を当て、バックグラウンドチェックの範囲を調整します。
この調査では、通常300ドル~1,000ドルの価格範囲で、完了まで数日から数週間かかります。

デューデリジェンスの為の調査

会社買収やM&A活動などでは、デューデリジェンスのバックグラウンドチェックを有効に活用することもできます。個人や企業に対して、秘密裏に行われます。
内容・項目には、訴訟の為の調査と併せて、以下の内容が含まれます。

  • 資産
  • 関連会社/子会社
  • ライセンス/規制チェック
  • 業界誌/メディアリサーチ
  • 法人データレビュー
  • 処分・規制・制裁記録
  • 情報取材
  • ビジネス/プロフェッショナルライセンス(レビュー/確認)
  • ドメイン名

バックグラウンドチェックの情報は、買収企業が後継事業を適切に運営できるかを判断する貴重な情報となります。また、運営に必要な資金確保ができるかどうかの判断材料にもなります。
そのほかにも、

  • 民事訴訟歴や刑事訴訟歴
  • 取引先の情報や関係性
  • ビジネスの所有者
  • 幹部
  • 主要な従業員のプロファイル

などの調査も行われます。
これらの情報を基にして、取引の進捗や交渉を有利にすすめることができます。

採用におけるバックグラウンドチェック

採用でミスマッチが起こる一番の要因は、客観的な採用基準が定められていないために、履歴書と面接のみで採用判断してしまうことです。
合否の決定を属人的、感覚的な判断で進めている日本の企業は多くあります。
また、複数人で面接対応する場合に、面接官によって判断基準が異なるため、採用の質にバラつきが出てしまう場合もあります。
採用のミスマッチでの入社は、入社後に活躍できずに離職や社内メンバー、またはクライアントとの問題が発生するケースもあります。
そのような事態を防止するためには、客観的な判断基準に沿っての選考を進めることが重要となります。

バックグラウンドチェックによる客観的評価

採用のミスマッチを防ぐために、まずは、その要因となっている採用基準の明確化がポイントとなります。
バックグラウンドチェックでは、面接だけでは判断できない情報を、客観的に把握することができます。
調査機関は、応募者の調査をもとに評価レポートを作成します。
これにより、応募者が自社にマッチする人物かどうかを客観的に判断できるようになります。
人材のマッチは、教育負荷の削減や組織力強化の面においても重要になります。

調査内容

ここでは、バックグラウンドチェックの具体的な内容を解説します。

【学校や職業などの経歴チェック】

  • 経歴相違
    候補者に卒業証明書や源泉徴収票などを提出してもらい、履歴書に記載された経歴との相違を確認します。
  • 前職状況
    前職の企業に、当時の勤務態度や実績、退職理由などを確認します。

【企業リスクに関するチェック】

  • 登記情報
    一般公開されている登記簿を法務局で住所から確認し、不動産の所有状況や差し押さえ等の有無を調べます。
  • 犯罪歴、軽犯罪歴
    日本では犯罪歴は非公開ですので、新聞などのメディアやインターネット、SNSなどをもとに調べます。
  • 民事訴訟歴
    最高裁判所の判決記録や、新聞などのメディア情報、調査会社独自のデータベースをもとに調べます。
  • 破産履歴
    自己破産の情報を「官報破産者情報」から調べます。
  • 反社チェック
    メディアの情報や反社チェックサービスなどで調べ、反社会的勢力との関わりの有無を確認します。

【プライベートのチェック】

  • インターネット・SNS調査
    インターネット上での情報やSNSの投稿から、過去に大きなトラブルがないかを調査します。
  • 近隣調査
    本人の自宅近辺から居住の実態や普段の生活状況について、聞き込み調査などを行います。

内定取り消しが発生するケース

内定は判例上、「就労始期付解約権留保付労働契約」という労働契約が成立するとの考え方が確立されています。労働契約である「内定」は、取り消しの場合、解雇扱いとなります。
そのため、客観的・合理的、かつ社会通念上相当であると認められない場合は、労働契約法第16条により、その権利を濫用したとして、内定取り消しは無効となることもあります。
内定取り消しが認められるには、「客観的・合理的、かつ社会通念上相当である場合」が要件になります。

採用候補者の経歴詐称

バックグラウンドチェックによって、採用候補者の経歴詐称が発覚した場合、企業はすぐに内定の取り消しを行いたいところです。
しかしこの場合も、労働契約法に定められた要件への該当が認められない限り、取り消しは行えません。
過去の判例によると、内定当時に知ることができない場合で、これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨や目的に照らしても、解雇権濫用に当たらない場合にのみ認められています。

採用候補者が犯歴や反社関係がある

バックグラウンドチェックによって、犯罪歴や反社会的勢力との繋がりが発覚した場合、問題因子となり得る可能性が高まります。
しかし、候補者に内定通知を実施した後では、内定を取り消すことは容易ではありません。
内定取り消しを行うには、「内定通知書や誓約書などに記載されている内定取り消し事由が生じたとき」、または「採用を差し控えざるを得ない犯罪を犯し、有罪判決を受けたとき」というような要件に該当する必要があります。

まとめ

企業はバックグラウンドチェックによって、問題因子となり得る者をスクリーニングします。
しかし、日本の法律では、内定後に問題が発覚した場合、内定取り消しは困難であるともいえます。

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