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探偵コラム

海外でのバックグラウンドチェック事情とは?詳しく解説

バックグラウンドチェック海外

日本では人権保護の観点から採用時のバックグラウンドチェックに消極的な国策があります。
しかし、アメリカでは、役員や重要なポストの社員を採用する際には、バックグラウンドチェックが義務付けられています。
日本企業でも、アメリカ人やその他海外人材の雇用の際や、アメリカ子会社での役員就任予定者のバックグラウンド調査のニーズが増加しています。
海外の取引先法人からは、日本で雇用された人材に対し、日本企業がバックグラウンドチェックを行っているか不安視する声も聞かれています。

アメリカのバックグラウンドチェック

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アメリカの企業では、採用の際のバックグラウンドチェック(Background Check)は一般的です。
バックグラウンドチェックは、身元調査を含まれた「個人に関する情報」をまとめたものになります。
National Association of Professional Background Screeners(2019年)の調査では、アメリカ国内96%の雇用主が、バックグラウンドチェックを実施していることが示されています。
リモートでの採用やグローバル人材の採用などといった、多様化する労働力雇用から、安心した人材を確保するには重要なプロセスと考えられています。

バックグラウンドチェックの概要

バックグラウンドチェックとは、職歴や学歴、犯罪歴などを専門の調査会社に依頼し調査するものです。
多くの場合、選考過程で用いられます。その際は、コンプライアンスを遵守する必要があります。
まず、公正信用報告法(FCRA)では、企業側はバックグラウンドチェックの前に、その旨を採用候補者に通知し、書面での同意を得る必要があります。
そして、雇用機会均等委員会(EEOC)では、「前科のある場合、一律に採用禁止のような選別をすることなく、業務の内容と照らし合わせて不適格だと合理的に判断されるものに限定し、採用選別をすべきである。」などといった、バックグラウンドチェックについての具体的ルールが定められています。

バックグラウンドチェックのスクリーニング項目

バックグラウンドチェックは、サービスの提供企業によっても調査項目が異なります。
採用前のスクリーニング項目として、一般的に下記のものが挙げられます。

  • 社会保障番号
  • 住所履歴
  • 犯罪歴
  • 市民記録
  • 性犯罪者登録検索
  • 国内ウォッチリスト検索
  • グローバルウォッチリスト検索
  • 雇用確認
  • 教育履歴の検証
  • プロフェッショナルライセンスの検証
  • ソーシャルメディア検索
  • 自動車レポート
  • 信用報告書
  • 労働者災害補償履歴検索
  • 薬物検査
  • 本人確認

企業にとっての採用候補者に対するバックグラウンドチェックの実施のメリットは、経営上のリスク回避です。
従業員や顧客の安全と会社の損失や名誉毀損を、事前に防ぐためには欠かせないものとなっています。
医療系などの専門的な知識や資格の業種では、不適切な人材の採用は、後々のトラブルとなやすく、顧客を危険に晒してしまう可能性があります。
また、昨今ではバックグラウンドチェックの過程で、23%の学歴・資格に不正確な申告が見つるなど、経歴詐称も問題となっています。

諸外国でのバックグラウンドチェック事情

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欧米では一般的に実施されている採用調査ですが、アジア諸国では調査の導入が遅れていると言われています。しかし、民族対立や宗教対立、国境対立などの理由から想定されるリスクを軽減するため、今後、必要とされています。

国別での採用時のバックグラウンドチェックについて

国別でのバックグラウンドチェックの調査基準、Standard(標準)・Unusual(条件付きで許可)・Prohibited(原則禁止)に分けて見ていきます。

【米国】

  • Standard:学歴・職歴確認、ソーシャルメディア・インターネットチェック
  • Unusual:犯罪歴、クレジット・ファイナンシャルチェック、指紋、筆跡、組合加入、政治思想、薬物・アルコール検査
  • Prohibited:ヘルスチェック

【カナダ】

  • Standard:学歴・職歴確認
  • Unusual:犯罪歴、クレジット・ファイナンシャルチェック、ヘルスチェック、ソーシャルメディア・インターネットチェック、指紋、筆跡
  • Prohibited:労組加入、政治思想、薬物・アルコール検査

【ブラジル】

  • Standard:学歴・職歴確認、犯罪歴、ソーシャルメディア・インターネットチェック、指紋、筆跡
  • Prohibited:犯罪歴、ヘルスチェック、労組加入、政治思想、薬物・アルコール検査

【イギリス】

  • Standard:学歴・職歴確認、クレジット・ファイナンシャルチェック、ヘルスチェック
  • Unusual:犯罪歴、ソーシャルメディア・インターネットチェック、指紋、筆跡、薬物・アルコール検査
  • Prohibited :労組加入、政治思想

【ドイツ】

  • Unusual :学歴・職歴確認、犯罪歴、クレジット・ファイナンシャルチェック、ヘルスチェック、ソーシャルメディア・インターネットチェック、筆跡
  • Prohibited:指紋、労組加入、政治思想、薬物・アルコール検査

【フランス】

  • Standard:学歴・職歴確認、ソーシャルメディア・インターネットチェック
  • Unusual:犯罪歴、ヘルスチェック、筆跡、薬物・アルコール検査
  • Prohibited:クレジット・ファイナンシャルチェック、指紋、労組加入、政治思想

【ロシア】

  • Standard:学歴・職歴確認、ソーシャルメディア・インターネットチェック
  • Unusual:犯罪歴、クレジット・ファイナンシャルチェック、指紋、筆跡、組合加入、政治思想、薬物・アルコール検査
  • Prohibited:ヘルスチェック

【トルコ】

  • Standard:学歴・職歴確認、犯罪歴、ヘルスチェック
  • Unusual:クレジット・ファイナンシャルチェック、ソーシャルメディア・インターネットチェック、指紋、筆跡、薬物・アルコール検査
  • Prohibited:労組加入、政治思想

【イスラエル】

  • Standard:学歴・職歴確認、ソーシャルメディア・インターネットチェック
  • Unusual:ヘルスチェック、指紋、筆跡、薬物・アルコール検査
  • Prohibited:犯罪歴、クレジット・ファイナンシャルチェック、労組加入、政治思想

【南アフリカ】

  • Standard:学歴・職歴確認、ソーシャルメディア・インターネットチェック
  • Unusual:クレジット・ファイナンシャルチェック、ヘルスチェック、指紋、筆跡、薬物・アルコール検査
  • Prohibited:犯罪歴、労組加入、政治思想

【韓国】

  • Standard:学歴・職歴確認
  • Unusual:クレジット・ファイナンシャルチェック、ヘルスチェック、ソーシャルメディア・インターネットチェック、指紋、筆跡、政治思想、薬物・アルコール検査
  • Prohibited:犯罪歴、労組加入

【オーストラリア】

  • Standard:学歴・職歴確認、犯罪歴、クレジット・ファイナンシャルチェック、ヘルスチェック、ソーシャルメディア・インターネットチェック
  • Unusual:指紋、筆跡、薬物・アルコール検査
  • Prohibited:組合加入、政治思想

【インドネシア】

  • Standard:学歴・職歴確認、犯罪歴、ヘルスチェック、ソーシャルメディア・インターネットチェック、薬物・アルコール検査
  • Unusual:指紋、筆跡、組合加入、政治思想
  • Prohibited:クレジット・ファイナンシャルチェック

【フィリピン】

  • Standard:学歴・職歴確認、犯罪歴、ヘルスチェック、ソーシャルメディア・インターネットチェック
  • Unusual:クレジット・ファイナンシャルチェック、指紋、筆跡、組合加入、政治思想、薬物・アルコール検査

【ベトナム】

  • Standard:学歴・職歴確認、ヘルスチェック、指紋、筆跡、労組加入、薬物・アルコール検査
  • Unusual:犯罪歴、クレジット・ファイナンシャルチェック、ヘルスチェック、政治思想

採用時のバックグラウンドチェックは、雇用促進や雇用維持政策、人権への配慮に影響する恐れがあり、センシティブな運用が必要です。
採用時のバックグラウンドチェックの実施が義務化されている国から、その採用ポジションに必要な範囲での調査、バックグラウンドチェック自体を全面的に禁止する国もあります。
また、バックグラウンドチェックには雇用者の品質管理を目的とするもの、職場の安全とリスク管理を目的とするもの、法律や行政ルールに則り義務化され行うケースなどがあります。

まとめ

バックグラウンドチェックは、職場環境の安全性を確保するための調査が広く運用されており、義務化さ
れて慣習となっている国が世界の主流になります。
しかし、犯歴のある人間が再就職の機会を失うことは、失業者の増加や治安の悪化を恐れあります。
政府の方針として、日本などの犯歴の確認を採用調査の目的としていない国もあります。
また、訴訟歴が公開情報され、確認する慣習の国も多数あり、その国の法体系に依存しています。

投稿者プロフィール

この記事の著者:PIO探偵事務所 調査員 T.K
この記事の著者:PIO探偵事務所 調査員 T.K
10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。

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