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探偵コラム

バックグラウンドチェックで「嘘」がバレる?詳しくご紹介

バックグラウンドチェック

バックグラウンドチェックは、外資系企業では一般的に行われています。
入社前に企業側が、調査会社に委託して内定して対象者など対して、問題がない人材かを判断する調査になります。バックグラウンドチェックは、内定者のスクリーニングに広く利用されます。
調査の内容は企業によって様々ですが、経歴の確認や前の会社から評判聞くなどの調査をします。

採用選考での「嘘」

バックグラウンドチェック

日本で行われている多くの採用活動(雇用する側)では、書類選考と面接による候補者の自己申告に基づいて、選考や見極めが行われています。
その候補者の内容に「嘘」があれば、企業側の判断精度は大きく狂ってしまいます。

経歴詐称について

経歴詐称のうち「職歴詐称」とは、職歴に関する申告を事実と異なる内容にするものです。
採用の場面で、自身が採用されやすくする、あるいは年収交渉を有利にする目的で、応募条件を満たす経験やスキルを偽る行為です。
また、学歴に関する嘘を「学歴詐称」といい、職歴詐称を含めて「経歴詐称」と一般に呼ばれます。
一般的には、経歴詐称で罪に問われることはありませんが、
詐称内容が、不当に利益を得ているケースや企業側に損害が発生するケースで、「詐欺罪」「軽犯罪法違反」「私文書偽造罪」などの罪に問われることもあります。
経歴詐称が発覚した場合、会社の就業規則に従った処分になりますが、詐称で懲戒解雇に至る事例も少なくありません。
よって、経歴詐称は、詐称した本人にとってのリスクも大きい行為であることに違いありません。

経歴詐称の項目

具体的にどのような内容が、「詐称」にあたるのかを見ていきます。

【学歴の詐称・詐欺】

  • 事実よりも上位の学校に入学・卒業したと偽る
  • 実際に卒業した学校の以外の学校を卒業したと偽る
  • 卒業していないのに、卒業したと偽る
  • 除籍・放校されたのに退学したと偽る

【職歴の詐称・詐欺】

  • 在籍の有無/期間
  • 業務内容
  • 職位
  • 雇用形態
  • 年収

【その他の詐称・詐欺】

  • 免許・資格
  • 実績・スキル
  • 犯罪・訴訟歴
  • 病歴

候補者のスクリーニング

候補者はネガティブな要素を秘匿することが多く、応募書類や面接で秘匿している事実を確認することは困難です。企業は、採用失敗のリスクを排除するため、以下のようなバックグラウンドチェックによるスクリーニングを行います。

  • リファレンスチェックの実施
  • 卒業証明書の提出
  • 雇用保険被保険者証の職歴を確認
  • 退職証明書の確認
  • 源泉徴収票の確認
  • 年金手帳の加入歴の確認
  • 採用面接で経歴を確認

「嘘」が発覚した場合

バックグラウンドチェック

その詐称による企業側リスクの度合いによって、処分も異なります。
経歴詐称による「内定取り消し」の可能性もあります。

解雇・内定取り消しの要件

解雇や内定取り消しの処分は、「重要な経歴の詐称」に該当する場合となります。
企業が「内定」を通知した場合、雇用する企業と雇用される人との間には労働契約が成立します。
「内定取り消し」とは、労働契約の解約、つまり「解雇」に当たります。

【労働契約法16条】
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」

この規定により、経歴詐称が業務や社内秩序に影響を及ぼさない場合は、企業側の解雇・内定取り消し処分は難しいともいえます。
そして、解雇が成立する場合は、「普通解雇」と「懲戒解雇」の二つのケースがあります。
普通解雇とは、従業員の「能力不足」や「協調性の欠如」、「就業規則違反」、「余剰人員の整理」等の理由で行われる解雇をいいます。
就業規則違反などの規律違反行為を理由とする解雇では、懲戒解雇の対象になることもあります。
普通解雇は、従業員の同意を得ることなく、企業側の一方的な通知により、解雇させるものです。
懲戒解雇は、企業が、従業員の「就業規則違反」や「企業秩序違反行為」に対して、正式に制裁を科す「懲戒処分」のことをいいます。
多くの企業では、戒告、譴責、訓告、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇などの処分が制度化されています。

経歴詐称での判例

経歴詐称は、軽いものから重大なものまで様々です。
懲戒解雇は、非常に重い処分になります。
懲戒解雇という記録が残ることで、次の求職が困難になる可能性が高いからです。
そのため、非違行為がすべて懲戒解雇になるわけではありません。
重大な経歴詐称についてのみ、懲戒解雇を有効としています。
解雇の要件としては、

  • 信頼関係の崩壊性
  • 職務の遂行性
  • 企業秩序の維持

といった観点で判断されます。

参考判例

【KPIソリューションズ事件 東京地裁 平成27.6.2】

雇用契約の締結に先立って提出された履歴書および職務経歴書や面接での言動において、労働者による経歴等の詐称があったとして、解雇が有効とされました。
また、採用時の面接において労働者が賃金増額を求めた際の言動が不法行為(詐欺)を構成するとして、損害賠償請求が認められた事例です。

【三愛作業事件 名古屋高裁 昭和55.12.4 名古屋地裁 昭和55.8.6】

試用期間3カ月を付して採用された港湾荷役作業員が、大学を中退しているのに高校卒業とのみ履歴書に記載し、その詐称の発覚でなされた普通解雇は無効となりました。

【グラバス事件 東京地裁 平成16.12.7】

原告は、JAVA言語のプログラミング能力がほとんどなかったにもかかわらず、本件経歴書にはJAVA言語のプログラミング能力があるかのよう記載をし、また、採用時の面接においても同趣旨の説明をしました。
原告は、本件開発に必要なJAVA言語のプログラマーとして、採用されたのであるから、「重要な経歴を偽り採用された」というべきであり、解雇予告手当を支払う義務はないとした会社側の懲戒解雇を有効としました。

【炭研精工事件 東京高裁平成3.2.20 東京地裁平成2.2.27】

2回にわたり懲役刑を受けたことおよび経歴詐称をしたことが就業規則所定の懲戒解雇事由に該当する上、その他の言動を考慮して、懲戒解雇を有効とした高裁判決を支持した事例です。

【山口観光事件 最高裁平成8.9.26 大阪高裁平成7.12.13 大阪地裁平成7.6.28】

懲戒当時に、使用者が認識していなかった非違行為は、当該懲戒の理由とされなかったのであるから、その存在をもって当該懲戒の有効性を根拠づけることはできないとしました。

会社側が解雇できないケースとしては、

  • 業務との関係が、直接ない詐称の場合
  • 採用時に学歴・経歴を重視しない場合
  • 求人情報に明記していない場合
  • 「重要な経歴詐称」に該当しない場合
  • 応募者に対して経歴や資格などの確認をしていない場合

まとめ

バックグラウンドチェックによって、採用者の「嘘」(経歴詐称)が発覚すれば、内定取り消しや解雇処分の対応が取られます。軽度の間違いなどであれば、事情を説明して穏便に済まされますが、故意的な「嘘」であれば民事的な問題にもなりかねません。

投稿者プロフィール

この記事の著者:PIO探偵事務所 調査員 T.K
この記事の著者:PIO探偵事務所 調査員 T.K
10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。

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