浮気調査をして同棲解消するとき、慰謝料請求できるケースとは?
結婚している夫や妻が浮気をしたら、配偶者と不倫相手に慰謝料請求できますが、法的な結婚をしていない同棲や事実婚の場合はどうなのでしょうか。慰謝料請求は可能? そもそも同棲と事実婚の違いは? そんな疑問について解説します。
同棲、事実婚、内縁関係について
最近は、一緒に暮らしてはいても婚姻届を提出する法律婚という形にこだわらないスタイルを選択する人たちも増えています。
恋愛関係にあるカップルが一緒に暮らしていることを、同棲、事実婚、内縁関係と様々な呼び方をしますが、共通しているのは婚姻届を出した法律婚ではないことです。しかし、それ以外では大きく異なる点があります。
同棲は恋愛、事実婚は婚姻に準ずる関係
一緒に住みはじめたばかり、家計も別にしているという同棲は、あくまで「恋愛関係」と見られるため法的な義務は生じません。自由な反面、慰謝料請求などの権利は認められないことがほとんどです。
事実婚はどうかというと、名前の通り「事実上、婚姻関係にある」と認められています。法的にも責任や義務が生じる代わりに、年金分割や慰謝料請求なども認められています。内縁関係も事実婚と同義ですが、昔の「結婚できない事情がある」というイメージが強いのに対して、事実婚は「結婚をしない選択をした」場合に使われることが多いようです。
一緒に暮らしているのは同じなのに、差があるのはおかしいと思う方もいるかもしれませんが、交際の延長で同棲を始めたばかりのカップルと家計をひとつにして数年、少なくとも3年以上、共に生活を送っている家族とでは違いがあるのも頷けます。
事実婚は慰謝料請求可能
浮気をされたとき苦しむ気持ちは同棲であろうと事実婚であろうと同じです。スムーズに別れるために浮気調査で証拠を得るのであれば、同棲でも効果はあります。しかし、慰謝料請求となると話は別。この場合、民法の不貞行為に該当するかどうかが問題になります。貞操義務が生じるのは婚姻関係のみなので、法的な義務がない恋愛と見なされる同棲は不貞行為にあたらないと考えられます。
事実婚は法的権利と責任が適用される
事実婚は婚姻届は提出していないものの、婚姻に準ずる関係と認められています。昭和33年、最高裁判所で「内縁関係を不当に破棄された者は損害賠償を請求できる」という判決とともに、「法律上の婚姻ではなくても、男女が共に暮らし生活を営んでいるという点は同じであり、婚姻関係に準ずる関係だといえる」との見解を示し、法律婚ではなくとも民法における不貞行為の責任を認めています。
こうした判決を元に事実婚、内縁関係は法律婚と同等の権利と責任として、不貞行為に対する慰謝料請求や財産分与、年金分割などが認められています。一方で、子どもができた場合は父親が認知をしないと親子関係が認められない、配偶者控除など税制上の優遇を受けられないという、法律婚との違いも存在します。
2種類の証拠が必要
法律婚と同等の権利が認められているとはいえ、事実婚による浮気で慰謝料請求する場合には、通常よりも多くの証拠が必要となります。それは事実婚と浮気の証拠です。
事実婚の証拠
同棲解消し慰謝料請求するには恋愛関係の同棲ではなく、婚姻関係に準ずる事実婚と認められることが先決です。そのためには、双方に「婚姻」の意思があるうえで生活を送っている証拠が必要になります。
最も証明しやすいのは、すでに婚約をしており婚姻届を出す前に一緒に暮らし始めたケースです。法的な書面は存在しなくとも、両家の顔合わせや結婚式の招待状、婚約指輪、周囲への報告など第三者に「結婚する意思」を示していることが多いため、証拠も集めやすいでしょう。
結婚のための準備としてではなく、あえて婚姻届を提出しない事実婚を選んでいる場合、証明するためには下記が考えられます。
- 住民票
- 健康保険証
- 賃貸契約書
- 子どもの認知
- 家計簿
- メールや手紙、写真など
住民票の続柄には種類があり、その中に「夫(未届)」「妻(未届)」という事実婚を示すものもあります。賃貸契約書も同様に事実婚を示す続柄が記載していれば、大きな証拠といえます。また、子どもがいて認知していれば戸籍謄本に父親の氏名、認知した日などが記載されます。
明確に事実婚と記された書面がなかったとしても、家計をひとつにしていたことを示す家計簿や家事に関するやり取り、長年同棲していることがわかる書面や写真、親との食事会の様子、周囲から「夫婦同然」と認知されていたことがわかる手紙など、一緒に生活を営んでいたと示す証拠を複数あげることで事実婚の証明につながります。
不貞の証拠
パートナーに対する浮気証拠に関しては、法律婚と変わりません。
原則として肉体関係を持っていること、継続的であればなお慰謝料請求が認められやすくなります。単なる疑いではなく、写真や音声、メールなどで不貞行為があったことを証明していきます。
もし、浮気相手に対しても慰謝料請求を考えるのならば、「相手が単なる恋愛関係ではなく、事実婚だと知っていた」という証拠も必要です。実際、内縁関係での不倫の慰謝料請求において「不倫相手は他に交際している女性がいるという認識しかなかったため、不貞行為には当たらない」という判例もあり、戸籍など公的書類に明記されない事実婚を周知させることの難しさがわかります。
関係を解消する方法
いくら法律婚ではないとはいえ、一緒に暮らしている以上、別居するには新しい住居を確保しなければならないため、即、解消は現実には難しいものです。特に事実婚の場合は慰謝料請求の有無は別としても、家具や貯金など財産分与について話し合う必要があります。恋愛のように、別れ話をしたらすぐ終わりというわけにはいきません。
浮気の証拠を元に話し合うのが先決ですが、可能ならば、2人きりではなく第三者に立ち会ってもらい、後で揉めることがないよう書面に残しておきましょう。弁護士などの専門家にお願いすると安心です。
内縁解消調停という方法も
話し合いは決裂したけれど、裁判までするのは躊躇してしまう人も少なくありません。家裁の「内縁解消調停」という制度を利用するのもひとつの方法です。
その名の通り、事実婚、内縁関係を解消するための話し合いや金銭的な条件を調えるための場所で、あくまで関係の解消を前提としていますが迷っている際の利用も可能です。調停と聞くと成立しても効力が弱いように思うかもしれません。しかし、実は判決と同様の拘束力があります。心配な場合は条件の中に支払いが遅れたり、滞った際には強制執行を行う旨を明記しておきます。
まとめ
浮気による同棲解消だけでなく慰謝料請求を行うには、浮気以外にも事実婚そのものを示す証拠が必要です。自分自身で有効な証拠を集めるには限界があるため、探偵や興信所といった調査機関に相談してみましょう。状況を整理し冷静に向き合うことで、どういう証拠を集めればいいかなど今後の対策も立てやすくなります。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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