口約束のリスク、素行調査の有効性とは?詳しく解説
会社や個人が契約行為をする際、一般的には契約書を交わします。
しかし、日常生活での口約束による契約トラブルが多いことも事実です。
そこで、契約行為と契約書について、深掘りして見ていきます。
口約束と契約について
契約は口約束でも成立する
法律上の「契約」とは、当事者の合意によって法的効果を発生させる約束をいいます。
契約が成立するのは、一方的な意思表示では足りず「当事者の合意」が必要です。
当事者の合意は、口約束であっても成立します。
売買契約の上では、売買契約書の必要性は存在せず、金銭の貸付契約の場合であっても、借用書や金銭消費貸借契約書の必要性はありません。
「保証契約」においては例外的に、安易に保証人になって多額の債務を負うことを防止するために、書面での契約を定めています。(民法446条2項)
契約書の意義
契約の成立について争いになった場合、口約束だけでは事実が確認できませんので、契約の成立を証明する「契約書」が重要になります。また、「合意書」「覚書」などは、契約書と同様の法的拘束力をもちます。
契約書を交わした場合であっても、契約書内容以外の口約束が認められることもあります。
例えば、契約書に書かれている条項の解釈で争いになった場合は、契約を締結までのやり取り、カタログやパンフレットなどの資料を参考にすることもあります。
契約書は重要な効力を持ちますが、口約束でも契約成立の可能性があることを知っておく必要はあります。
契約の種類
民法の債権法では、比較的よく交わされる契約の類型として13種類が規定されています。これら民法で規定された契約を「典型約」、それ以外の契約を「非典型契約」といいます。
ここでは、典型契約を大きく4つに分類して解説します。
財産権譲渡の契約
- (1)売買契約
売買契約は、売る、買う、という合意により、所有権を移転する契約です。
売買契約の特徴は、売主はその買い手への「契約不適合責任」をもちます。 - (2)贈与契約
贈与とは、財産を無償で第三者に譲り渡す契約です。
贈与では、贈与者に売買契約のような責任は発生しません。 - (3)交換契約
交換の契約とは、物々交換のことです。
実務では、あまり使われる契約ではありませんが、土地の売買において、節税効果のために土地の交換契約を使う場合があります。
貸し借り契約
- (1)消費貸借契約
消費貸借契約とは、借りた金銭や物を消費した場合などに、それ同額や同等の物で返す契約のことです。
キャッシングやローンで使うことが一般的です。
2020年4月の民法改正で、金銭の引き渡し契約は書面ですることが成立要件となりました。 - (2)賃貸借契約
賃貸貸借契約は、住宅、倉庫、衣装、DVDなどを有料で貸し借りする契約です。
住宅についての賃貸借は、借地借家法の適用もあります。 - (3)使用貸借契約
使用貸借契約とは、無償で貸し借りをする契約です。
民法改正で、契約成立には物の引き渡しは不要とされました。(諾成契約)
その他にも、以下の点が改正されています。
目的物を引き渡す前であれば、貸主からいつでも解除ができる。(書面による契約をした場合を除く。改正民法593条の2)
目的物引き渡し後も、貸主は解除しやすくなった。(改正民法598条1項、2項)
借主はいつでも解除できる。(改正民法598条3項)
借主は契約終了時に、原則、原状回復義務を負うとされた。(改正民法599条)
労務に関する契約
- (1)雇用契約
雇用契約とは、労働者を賃金を支払って雇う契約です。
雇用契約は、労働基準法や労働契約法でその詳細が記載されています。 - (2)請負契約
請負契約とは、仕事の成果物に対して対価を支払う契約のことです。
売買契約と同様に、契約不適合責任があります。 - (3)委任契約・準委任契約
委任契約とは、 当事者の一方が法律行為を相手方に委託し、相手方がこれを承諾する契約です。
委任契約は、法律行為を委任しますが、準委任契約は、法律行為以外のことを委任する契約です。
例えば、弁護士に解決を依頼する場合は、委任契約になり、医者に治療を依頼する場合は、準委任契約となります。
その他の契約
その他にも典型契約として、以下の4種類があります。
- (1)寄託契約
寄託契約とは、物を預かり保管する契約です。 - (2)組合契約
組合契約とは、各当事者が出資をして、共同の事業を営むことを約束する契約です。 - (3)終身定期金契約
終身定期金契約とは、年金制度などの当事者の一方が、自己や相手方または第三者の死亡に至るまで、定期的に金銭や物を給付することを約束する契約です。 - (4)和解契約
和解契約とは、紛争の当事者が互いに譲歩して和解する契約です。
非典型契約
以下に、民法に規定のない「非典型契約」の例をあげます。
- リース契約
- フランチャイズ契約
- 秘密保持契約
- 労働者派遣契約
- 共同研究開発契約
- ライセンス契約 など
これらは主に、新しいビジネスモデルで取り交わされる契約です。
ビジネスにおける契約書の意義
ここからは、企業間取引において、契約書を作成する意義を考えていきます。
企業間取引について
企業間取引では、製品に必要な機能・性能、取引金額について一定期間の協議・変遷を経て初めて合意に至ります。
企業間取引では、契約書をもって、あらかじめ取引条件やトラブルが生じた場合の救済方法等を明確化しておくことが重要です。
契約書の作成によって、当事者間の認識違いの防止、自社に不利益な条項の調整等によるリスクの減少、取引過程の各場面でのリスクの把握、リスク内容に応じた行動指針の検討、実行、トラブル発生時の責任分担、紛争解決・救済方法の基本的事項の明確化、トラブル対応のフレームワークの把握等が可能になります。
【ビジネスで多く交わされる「契約類型」】
- 秘密保持契約書
- 売買契約書
- 請負・業務委託契約書
- 販売店・代理店契約書
- ライセンス契約書
- 派遣契約書
- 保証契約書
- 雇用等契約書
- 賃貸借契約
- 派遣契約書
契約書の主な記載事項
契約書に記載する事項は、契約類型や契約を締結する背景事情に応じて様々ですが、一般的には以下のような事項の記載があります。
- 契約の締結日
- 当事者名
- 契約の目的
- 目的物
- 代金
- 代金の支払い方法
- 目的物の納期・納品方法
- 秘密保持(当事者が開示する情報などについて秘密保持義務を定める)
- 契約の解除・解約
- 地位の譲渡禁止(契約上の地位、契約から生じる権利・義務の譲渡禁止を定める)
- 損害賠償
- 契約期間
- 反社会的勢力の排除
- 存続条項(契約終了後も、効力を継続させる条項を定める)
- 準拠法(契約についてどこの国の法律が適用されるか)
- 合意管轄(契約に関して紛争が起こった場合に、どこの裁判所に訴訟を提起できるか)
まとめ
私たちは、日常生活において様々な契約行為を行なっています。
軽はずみな口約束からでも、トラブルを招いてしまうことがあります。
特に企業などの法人格では、慎重な契約判断が必要不可欠です。
素行調査を利用することで、様々なリスクを回避できる可能性があります。
会社や個人が契約行為をする際、一般的には契約書を交わします。
しかし、日常生活において、口約束でのトラブルが多いことも事実です。
そこで、契約行為について解説いたします。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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