採用調査で借金が発覚することはある?そんな疑問を解説!

採用する側は入社後のトラブルを防ぐためにも詳しく調べたいものですが、応募者としては、履歴書に書いていないローンやクレジット利用などについても調べられるのか不安になるものです。そもそも採用調査は何をするのか?借金のチェックをされることはあるのかなどの疑問を解説します。
採用調査は大きく2種類

採用調査という言葉を耳にしたことはあっても、実際にどういう調査をするのかよくわからない人も少なくないでしょう。具体的な調査項目や深さは会社によって異なりますが、一般的に行われるのは以下の2つだといわれています。
身辺調査(バッググランドチェック)
履歴書に書かれていることの真偽などを調べるバッググランドチェックとも呼ばれている身辺調査を行うところが多くなっています。真偽以外にも面接の時間だけでは把握できない人となりやトラブルの有無などを調査するものですが、自社で行う場合には本人に目的を伝え、許諾を得る必要があります。また、厚生労働省の採用選考ガイドラインに「応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しない」とあり、出生や家族、生活環境、思想などに関しては特に配慮すべき事項として挙げられています。
前職調査(リファレンスチェック)
身辺調査が経歴やその人の背景などを調査を目的にしているのに対して、リファレンスチェック、前職調査はスキルや特性など、より仕事に特化した部分を目的としており外資系会社では一般的な調査だとされています。どこの部署に配属すればスキルを発揮できるのか、どういう働き方が合っているのかといった採用後の能力と職場の不一致を防ぐための、前向きな調査だといえます。
もちろん、この場合も自社で調査を行う際には本人の許諾が必要です。中途採用ではすでに退職している場合だけではなく、まだ勤務しているといった状況も考えられるため、上司や先輩ではなく、恩師、元同僚に確認するなどの配慮が求められます。
では、探偵などの調査機関はどうかというと、個人情報の扱いについて、本人に通知をすることは原則同じですが、2004年に警視庁から通達された「興信所が講ずべき個人情報保護のための措置の特例」に利用目的の通知をしなくてもいい項目として、「対象者が依頼者の法律行為の相手方となろうとしている者である場合であって、当該法律行為をするかどうかの判断に必要な事項について調査を行うとき」と記されています。採用は労働契約という法律行為なので、適正な取得方法であれば通知せずに調査をしても問題ないと考えられています。
借金は信用情報でわかる?

借金というとマイナスに捉えがちですが、例えば車のローンやクレジットカードの分割払いなども含まれるため、そんなに特異なことではありません。そうしたクレジットの利用やローンに関する情報は信用情報で確認が可能です。
信用情報機関は3つ
日本国内には消費者のクレジット、ローンに関する契約内容や残高などの信用情報を収集・管理している信用情報機関が3つ存在しています。機関の違いなどについて紹介します。
まずは割賦販売法および貸金業法に基づいた指定を受けている信用情報機関「株式会社シー・アイ・シー CREDIT INFORMATION CENTER(CIC)」です。消費者金融、クレジットカードや携帯会社、保険会社などが加盟しています。
次に貸金業法に基づいた指定を受けている信用情報機関「株式会社日本信用情報機構 Japan Credit Information Reference Center Corp.(JICC)」です。消費者金融、クレジットカード、一部の銀行、保証会社、リース会社などが加盟しています。
3つめは一般社団法人全国銀行協会が設置している個人信用情報機関「全国銀行個人信用情報センター(センター)」です。その名の通り、銀行や銀行と同視される金融機関、信用保証協会などが加盟しています。
それぞれ加盟している会社や情報の保持期間などが異なっており、FINE(Financial Information Network)でCICとJICC、CRIN(Credit Information Network)では3つの機関が情報交流を行うことで、情報の把握をしています。
開示される情報
信用情報機関では、基本的にクレジットやローン、キャッシングの申し込みや契約、残高、返済状況など取引情報についての開示ができます。機関によっては加盟会員による利用情報、貸付自粛情報などの開示も可能です。情報交流しているのなら、どの機関でも申し込みできるのかと思うかもしれませんが、該当の会社が加盟している機関に申し込まなければいけません。
CICとJICCは郵送以外にもインターネットでの情報開示が可能ですが、センターは郵送のみとなっています。
採用調査に信用情報は使えない

借入金額から返済延滞、破産についてまで確認できる究極の個人情報ともいえる信用情報。これを採用調査に利用したら、ローンやクレジットカードの利用状況について丸わかりですが、それはできません。
返済能力調査以外の利用はできない
元々、信用情報機関は分割払いやローン提携をする与信事業者が申し込み者の支払い能力を確かめるために設置されています。これは貸金業法第13条の2「過剰貸し付け等の禁止」により借入残高が年収の3分の1を超えてはいけないという総量規制が定められているためです。さらに個人情報保護法第15条により、個人情報を扱うには利用目的が特定されており、目的以外での利用は禁止されています。
信用情報の開示はあくまでも返済能力の有無を確認するためと限定されているため、採用選考を目的とした利用はできません。
利用できるのは本人か会員のみ
信用情報の照会ができるのは、本人か加盟している会員に限られます。また、会員が利用した際には、会員名や日付、利用目的などが記録されるため、本人が開示申し込みを行えば判明します。
ローンやクレジット、金融に関係のない一般会社はそもそも開示できない仕組みになっており、会員であっても前述した通り利用目的は返済能力の調査に限られています。
まとめ

採用調査で借金の有無や返済状況などが具体的に判明することは、まずありません。
簡単な確認程度の調査ならば、本人に許諾を取ったうえで自社で行えますが、ある程度、きちんと調べたい場合は、届け出をしている探偵や興信所などの調査機関に依頼するのもおすすめです。自社で行うよりも人となりなどがより深くわかるため、収入と金銭感覚のズレに気がつく可能性は高いといえます。