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探偵コラム

一億円の横領と一万円の横領での罪の違いとは?詳しくご紹介

横領などで犯した罪の重さは、刑の重さに大きく影響します。
横領した金額の大きさは、被害者である会社等に与えた損害の大きさです。
横領額が大きくなれば、それだけ実刑の可能性は高くなります。
しかし、被害弁償や示談を行った場合や、横領してしまったことに汲むべき事情がある場合などで、執行猶予判決になることもあります。

横領罪とは

横領罪は、「自己の占有する他人の物」を無断で自分の物として使用や処分する犯罪です。
他人の物を取る罪のうち、窃盗罪や強盗罪などでは「他人の占有する物」であるのに対し、横領罪では、「自分が占有する他人の物」という違いがあります。

横領した額が少額の場合

横領の被害額が1万円~10万円単位の比較的少額の場合は、被害額が大きな場合に比べて刑が軽くなる可能性が高いです。
しかし、前科があったり、犯行が悪質であると判断された場合は、被害額以外の要因と併せて判断されることになります。

横領罪の分類

横領罪は

  • A.『単純横領罪』
  • B.『業務上横領罪』
  • C.『遺失物等横領罪』

の3つに分けられ、それぞれ定義や罰則が異なります。

A.「単純横領罪」は、友人から借りた車を別の友人に無断で売却する場合などで、自己の占有する他人の物を不法に領得することです。

B.「業務上横領罪」は、集金業務に従事している人が、新聞購読料金を着服した場合などで、業務上の委託信任関係に基づき占有する他人の物を不法に領得することです。

C.「遺失物等横領罪」は、路上に落としていた財布を拾い着服した場合などで、占有を離れた他人の物を領得することです。

罰則の違い

  • A.単純横領罪(刑法252条):5年以下の懲役
  • B.業務上横領罪(刑法253条):10年以下の懲役
  • C.遺失物等横領罪(刑法254条):1年以下の懲役又は10万円以下の罰金もしくは科料

単純横領罪と業務上横領罪には罰金刑はなく、起訴されると執行猶予が付かない場合は、懲役刑が課せられることになります。
遺失物横領罪の場合は、起訴されても罰金で終わることが多いようです。
業務上横領では、経理担当者などが長期間、繰り返し現金を着服した場合、着服金額が数百万円、数千万円となることもあります。
会社の財産を横領する行為は、会社の存続に対しての脅威です。
被害弁償ができなければ、実刑判決の可能性も高まります。

会社の対応

会社の対応としては、

  • 刑事事件として、警察に被害届・告訴状を提出する
  • 民事事件として、当該従業員から被害弁償を受ける、従業員の処遇を考える
  • 警察に被害届を提出して、さらに民事上での解決も目指す

そして、会社にとって最優先することは、被害の弁償を受けることです。
会社の基盤である資本を第一に考え、行動する必要があるからです。
その際、客観的事実を証拠に基づいて明らかにすることと、当該従業員が横領行為の事実を認めているか否か、返済の意思の有無を考慮し対応していく必要があります。

量刑の判断基準

量刑(りょうけい)とは、裁判所・裁判官が、被告人に下すべき宣告刑を決定する作業のことをいいます。
同じような被害の事件であっても、裁判判決の量刑が必ずしも同じになるとは限りません。
ここからは、量刑を定める場合の要素について見てみます。

量刑の決定要素

刑事裁判の判決では、有罪か無罪かの判断意外にも、有罪の場合では実刑判決か執行猶予付きか、刑期の期間などが決定されます。
そして、その判決に至った理由なども述べられます。

【犯情】

横領の動機が私利私欲である場合は、刑が重くなる可能性があります。
反対に、動機に同情の余地がある場合には、刑を軽くする可能性も出てきます。
また、入念で計画的な犯行は量刑が重くなり、短絡的な犯行は量刑が軽くなるといった見方もあります。

【社会的影響】

横領したことにより、被害者である会社以外の取引先や債権者、株主などが影響を受け不利益を被るなど社会的影響が大きい場合、横領行為の責任は重くなり、刑を重くする事情となります。

【被害者との示談内容】

被害者との示談や被害弁償がなされている場合、行為者を許す、あるいは厳罰を求めない意思の表明、行為者の反省などを示すことで、刑を軽くすることがあります。

示談について

業務上横領事件では、会社は金銭的な損害の回復を最重要事項としていることから、被害弁償によって刑事責任として追及することを控えることも少なくありません。
また、示談成立前に逮捕された場合であっても、起訴前に示談が成立していれば、不起訴となる可能性もあります。

実刑と執行猶予の判断

業務上横領などで起訴された場合、実刑または執行猶予と懲役期間の判断は、被害金額と密接に関連します。
被害の弁償をしていない金額が、300万円以上になる場合は、実刑になる可能性が高まります。
また、300万円未満の場合でも、「被害弁償にむけた努力」の姿勢によっては、実刑になるケースがあります。
被害弁償の金額別に見ると、

  • 1億円程度:懲役5年前後の実刑
  • 1,000万円~3,000万円程度:懲役3年前後の実刑
  • 1,000万円未満:懲役3年以下の実刑もしくは執行猶予

これらは示談が成立していない場合の量刑の傾向です。
示談が成立している場合は、判決時点で被害弁償の金額が300万円以上あっても、執行猶予がつく可能性は十分にあります。

業務上横領の判例

実際にあった業務上横領事件を、以下に掲載いたします。

事例①:不正取引の過大請求(求刑 懲役3年6月)

平成18年5月26日 大阪地方裁判所第4刑事部
被害者(株式会社)から、架空商品売買契約の委託を受けるが、その意に背き、被害者に対して8,001万円の過大請求を行い、利益を不正に確保した。
被害者側も、不明確な取引を持ちかけ不正取引をしようとしたが、被告人は悪質で多額な犯行であるため、実刑判決が下されました。

事例②:勤務会社での横領(求刑 懲役5年)

平成15年1月29日 岡山地方裁判所第1刑事部1係
約5年間、自身が代表取締社長に就任した会社から、複数回にわたって着服を続けた。総額は、1億3,535万5,000円。
横領額は高額でしたが、報道による社会的制裁と多くの人からの嘆願書が寄せられたことにより、懲役3年の実刑判決が下されました。

事例③:顧客からの預かり金横領(求刑 懲役5年)

平成15年1月29日 岡山地方裁判所第1刑事部1係
大阪弁護士会所属の弁護士が、顧客からの預かり金を着服し続けた。総額は、3億7,200万円。
弁護士という立場を利用して多額の着服を繰り返した被告人の責任は重大でしたが、横領の原因が過去の依頼者からの恐喝によるもので、家庭環境の崩壊や弁護士資格の喪失などを考慮して、懲役9年の実刑判決が下されました。

まとめ

量刑を判断する裁判官は、他の同様の被害の事件とのバランスを重視しているところが伺えます。
刑事罰を科すことは、人権侵害にあたる行為でもあります。
同じような事件の加害者に、不公平が生じることは許されません。
結果的に同じ被害の場合、量刑も同じにするべきという考えが働いているように感じられます。
これらのことから、量刑を左右する重要な要素として、犯情と被害の賠償度合いであり、他の要素の量刑に対する影響は少ないと言えます。

投稿者プロフィール

この記事の著者:PIO探偵事務所 調査員 T.K
この記事の著者:PIO探偵事務所 調査員 T.K
10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。

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