【探偵事務所】契約書の重要性!トラブル回避のために

「探偵に調査を依頼した」と考えたときに、重要になるのが契約書です。契約内容が詳しく書かれていない簡易契約書や、そもそも契約書を渡さない探偵事務所などもあり、契約書にまつわるトラブルは多く存在します。探偵に調査してもらうと思ったのに「お金だけ騙し取られた」なんていう状況は避けたいものです。
そこで、今回の記事では探偵事務所で発行される契約書とその重要性について、詳しく解説していきたいと思います。
探偵事務所が発行する契約書とは

契約書は法的にも有効な書面で、署名、捺印のあるものは「理不尽な内容」であっても、当人が納得したものとして、契約書を守る義務があります。(違法な契約書は除く)そのため、契約書を交わす際には、その内容を熟知し、「どんな契約を交わすのか」しっかり理解しておく必要があります。
探偵業者の契約書
探偵業法では、依頼者と探偵業者が調査を目的とした契約を行う際には、契約書を作成する必要があるとして、契約書の交付を義務付けています。探偵業法第8条2項では、契約書に下記の内容を記載するよう定めています。
- 商号、名称、指名及び住所、法人の場合は代表者の氏名
- 調査内容、期間及び方法
- 結果報告の方法と期限
- 探偵業務痛くに関する定めと内容(必要に応じて)
- 対価、依頼者が支払う金銭の額と支払い時期、方法
- 契約解除に関する定め(必要に応じて)
- 探偵業務に関して作成、習得した資料の処分方法など
これらの内容を記載していない、もしくは詳細が書かれていない契約書は無効になる可能性があります。また、探偵業法第7条で、契約書は書面で交付すると定めています。
「探偵業法第7条」
探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結しようとするときは、当該依頼者から、当該探偵業務に係る調査の結果を犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いない旨を示す書面の交付を受けなければならない。
探偵からの契約関連書類は三種類存在する
探偵業者では、三種類の書類を用意しており、用途に応じてそれらの書類を使い分けます。
- 重要事項説明書(契約前交付書面)
正式な調査契約を交わす前に扱われる契約書の一つで、個人情報の取扱方法や探偵の業務内容、料金や支払い時期などの説明、契約解除に関する注意事項などが記載されています。特にトラブルの原因になりやすい「支払い」と「契約解除」の部分に関しての詳細が書かれており、この書面を受け取った時点で本契約をするかどうか、しっかりと精査しておく必要があります。探偵業務の取扱説明書という感覚で覚えておきましょう。 - 調査に関する確認同意書
これは、調査結果を「犯罪や違法行為に使わない」ことを約束する書面で、探偵業者から受け取った調査結果を、依頼者が悪用しないように約束する契約書になります。ストーカー行為を行なっている人物が、探偵業者に調査を依頼し、入手した個人情報を使って犯罪行為を行うなどのトラブルが存在したため、こういった約束がなされるようになりました。 - 調査契約書
調査に関する本契約書で、「調査方法や調査結果について」の詳細が書かれています。実質的にこの契約書が「調査の中身」を知ることができる書面なので、依頼した内容と違いはないか?依頼していない内容が含まれていないか?などをしっかりと確認しましょう。また、この書面に記載されている内容が「法的に有効な内容」なので、金額や追加料金、契約解除方法に間違いがないかなど、確実にチェックしておきましょう。
三つの書類は全て必要
探偵業法では三種類の書類全てが必要となります。そのため、契約を取り交わす段階で、契約書が少なかった場合は探偵行法に違反しているということになります。悪徳業者を見極める一つの方法でもあるので、契約を交わす際に上記3つの書類があるか、しっかりと確認してください。
契約書に関するトラブル事例

探偵業法では、契約書に関する取り決めが厳しくされています。しかし、悪徳業者はそうした取り決めを守らず、依頼者を苦しめています。そこで、ここでは契約に関するトラブルの事例をいくつかご紹介致します。
調査見積書が契約書になっていた
探偵事務所で調査見積もりをお願いして、そのまま調査を依頼することになった。調査見積書には大体の調査費用と期間が記載されており、必要事項(氏名、住所、電話番号)の記入を求められたので記入して調査開始となった。
しかし、調査終了時の費用は見積もりを大幅にオーバーし、調査期間も一週間以上遅れていた。不満を持った依頼者は探偵事務所に問い合わせたが「費用や期間が変動することもある」という解答のみで、納得のいく説明は無かった。
この事例では、探偵業者が見積書を契約書代わりにしており、探偵業法違反となります。また、正式な契約書が無かったことで、料金の変動に対して「法的手段」が使えないというのもポイントの一つでしょう。見積書や簡易契約書での契約を行う探偵業者には注意してください。
しっかりした契約書に騙された
探偵に調査見積もりをお願いしたところ、契約書はしっかりしており、対応も良かったため、そのまま本契約を結んだ。しかし、調査期間を過ぎても結果が出てこないため、調査失敗と判断して契約解除と調査費用の返金を求めた。探偵事務所からは「契約違反なので、違約金を支払ってもらう」という趣旨の解答が返ってきたため、弁護士を雇い訴訟を起こすことにした。
弁護士による調査の結果、契約書には違約金に関する内容と、調査期間を超えた場合の対応について、しっかり記載されており、訴えることはできないと言われてしまう。
このケースでは、依頼者に不利な内容を「見にくい文字や小さな文字」で記載していたため、依頼者も確認することができませんでした。一見ちゃんとしている契約書でも、こういった悪質な方法を使っている探偵業者が存在するので注意してください。
探偵事務所と契約する際に注意すること

契約トラブルを回避するには、依頼者側でしっかりとした予備知識をつけ、対応する必要があります。そこで、ここでは契約トラブルを回避するための対処法をご紹介します。
契約内容を熟読する
契約書は「法的に有効な書面」です。そのため、契約書に書かれていることは、小さなことでも間違いがあってはいけません。たとえ相手を待たせたとしても、内容を確認するまではサインをしないでください。もし、契約のサインを迫ってくるようであれば、それは悪徳業者です。すぐにでも調査依頼を中断してください。
三つの契約書があるかチェックする
先ほどもお伝えした通り、探偵業法では三つの書類が必要となります。これらのどれかが不足していても、契約は成立しません。万が一、探偵業者が契約書の発行を省略したり、数が少ない場合には依頼を中断してください。悪徳業者の可能性があります。
まとめ
今回の記事では、探偵事務所の契約書について解説させて頂きました。悪徳な業者に捕まらないためにも、契約書の手続きには十分に注意を払って、契約を行なってください。