【素行調査は犯罪?】訴えることが可能な場合とそうでない場合の違い
探偵の業務の中に「素行調査」というものがあります。もし、自分が素行調査の対象者になり、探偵に尾行や張り込みをされているということが分かった時、皆さんはどう感じるでしょうか。今回は探偵が行う素行調査とはどのようなものなのか、また素行調査と法律との関連についてまとめました。
素行調査とは
素行調査とは、尾行や張り込み、聞き込みなどを通して、調査対象者の行動や情報を収集する目的で行われる調査のことです。探偵業法に規定されている「探偵業務」に該当するため、違法な行為ではありません。調査の対象となる人は、依頼者とかかわりのある人であれば誰でも可能なため、家族以外でも会社の上司や部下、知人でも対象になります。
素行調査と聞くと、浮気や不倫の調査などといったネガティブなイメージが多いでしょう。しかし、ポジティブな意味で素行調査を依頼する場合もあるようです。例えば、社員の仕事ぶりを調査するために依頼された事例があります。この事例は、成績の良くない部下を心配した上司からの依頼で、営業中にどんな行動をしているのかを調査しました。その結果、外回りをしていることを装って電車にずっと乗り続けていたということが分かったようです。また、仕事の取引相手がそのような人物なのかを知るために依頼した事例では、「これから長い付き合いになるのだから、相手のことをより深く知りたい」という思いのもと、探偵に依頼したということもあったとのことです。依頼者は様々な理由で、素行調査を依頼しているのですね。
素行調査された時に訴えることはできるのか
先述した通り、素行調査は法律で、行って良いことと悪いことがはっきりと定められています。「探偵業の業務の適正化に関する法律(平成十八年六月八日法律第六十号)」の第二条において、「この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。」と記されています。
そのため、この法律の条文に則った調査が行われている場合は、探偵は違法な行為をしていないとみなされ、訴えることはできません。しかし、違法な行動をしていた場合は訴えることが可能です。違法とされる例を紹介します。
行き過ぎた調査によって違法となる事例
居住者の許可を得ずに住宅に入り、カメラや盗聴器などを仕掛けた場合は、刑法第130条の住居侵入罪にあたるため、違法となります。3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。また、盗聴器を設置して会話の盗聴を行った場合は、有線電気通信法第9条、第14条違反により、2年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
プライバシーの侵害や名誉棄損によって違法となる事例
尾行や張り込み、聞き取り調査などから得た調査対象者の情報を、依頼者を含む関係者以外の人物に公開した場合は、刑法第230条の名誉棄損罪に該当し、3年以下の懲役若しくは禁固または50万円以下の罰金です。また、この事例では、個人情報保護法違反に該当する場合もあります。
素行調査をした人物を訴えたい場合はどうしたら良いのか
素行調査をされ、違法な事例にあたる行為をされた場合、その人物を訴えようと考えるでしょう。その場合は、「①警察に被害届を提出する」「②弁護士に相談する」の2つの方法があります。
警察に被害届を提出する場合
警察に被害届を提出することによって事件が発生したことを知らせ、自分がその被害者であることを伝えることができます。被害届は、警察署や交番に出向いて所定の用紙に記入するか、自分で必要事項を書いた書面を警察に持っていくことで提出することができます。被害届の必要事項は、「被害者の住所、氏名、年齢。職業」「被害のあった日時、場所」」「被害の詳細」「犯人の住所、氏名、特徴(判明している場合」の4点です。その他、盗聴器を付けられた際に壊されたものがあるなど、被害を受けた現物がある場合は持参すると良いです。
ただし、警察に被害届を出す際に注意点があります。それは、捜査の開始は警察の判断によるということです。いくらこちら側が違法性を主張しても、警察が動かない限り事件にはなりません。被害届の内容が曖昧なことにより立証が難しいと判断されてしまった場合は、被害届自体受理されない場合もあります。警察に話せば必ず訴えられるというわけではないということを承知の上で被害届を出しましょう。
弁護士に依頼する場合
弁護士に直接相談し、依頼をすることによってアドバイスを受けながら訴えを起こすことができます。まず、法律事務所を探し、法律相談をしましょう。相談をする前に行っておくと良いことがあります。1つ目は、「事の経緯を時系列に沿ってまとめること」です。日時や場所などの情報をできるだけ詳細にまとめておくと、話をスムーズかつ具体的に進めることができます。手書きでもパソコンでも構わないので、文章や図を使って記したものを持参しましょう。2つ目は、「聞きたい事や話したい事をまとめること」です。法律相談は初回無料の場合もありますが、30分5000円など料金が定められている場合がほとんどです。できるだけ費用を抑えようと思うのであれば、短時間で端的に話すことができるよう、準備しておくことが望ましいでしょう。また、聞き忘れや話し忘れを防止することにもつながります。相談した結果、契約を締結することになれば、その後は交渉や調停、訴訟などといった流れで物事が進んでいきます。
弁護士に依頼する場合での注意点は、費用がかかるということです。具体的には、相談料や着手金、報酬金などといった弁護士費用がかかります。契約を結ぶ前に見積もりを取ることをおすすめします。
まとめ
この記事では、探偵が行う素行調査は違法な行為として訴えることができるのかについてまとめました。素行調査は法律によって定められたことに則って行われているため、違法性はなく、訴えることは難しい場合がほとんどです。もし何か不安なことがあれば、警察や弁護士に相談してみることをおすすめします。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
最新の投稿
- 採用調査3月 6, 2023リファレンスチェックで質問して良い内容・質問してはいけない内容とは
- 採用調査3月 6, 2023リファレンスチェックを受けて 内定取り消しになる具体例や対策を解説
- 採用調査3月 6, 2023採用試験でリファレンスチェックを求められた場合断ることは可能?
- 採用調査3月 6, 2023リファレンスチェック|上司への頼み方と注意点を解説!