筆跡鑑定の落とし穴!証拠能力に問題ありの可能性も

人物特定の証拠として利用されることの多い筆跡鑑定ですが、筆跡鑑定にはいくつかの問題点が隠されていることをご存知ですか?そこで、今回の記事では、筆跡鑑定の落とし穴とその問題点について解説していきたいと思います。
筆跡鑑定は信憑性の高い証拠

誤解の無いようにお伝えしておきますが、筆跡鑑定は「裁判所で採用するほど、信憑性の高い証拠」であるということです。では、なぜ落とし穴になってしまうのか、筆跡鑑定の性質と共にご説明します。
筆跡鑑定とは
筆跡鑑定とは、複数の筆跡を解析して、その筆跡から同一人物であるか、別人であるかを識別するための鑑定方法です。筆跡鑑定を行う人のことを「筆跡鑑定人」と呼び、筆跡の専門家として活動しています。
筆跡には人物の個性が現れやすく、筆跡から人物の性格、人格などをある程度予測することが可能で、場合によっては、その時の感情まで予測することもあります。
筆跡鑑定の方法
筆跡鑑定は、複数の筆跡を照らし合わせて人物を特定する方法とご説明しましたが、実際には少し違います。筆跡鑑定では筆跡の類似はもちろん、そこから個人差、希少性、恒常性も加味しており、物的証拠となる筆跡は「その時の行動の一部」としてしか判断されていないのです。
すなわち、筆跡の文字は人が行動した一部でしかないということです。それだけで人物を特定するのは非常に困難であるため、筆跡から科学的に総合的な判断をして行かなければならないのです。
筆跡鑑定人になるには
筆跡鑑定人になるために、特別な資格や条件は必要ありません。しかし、筆跡鑑定人になるためには、筆跡の分析はもちろん、そこから人物の行動や感情などを予測できる能力が必要であるため、誰でもできる仕事ではありません。
また、現在は日本筆跡診断士協会から筆跡診断士、筆跡アドバイザーという資格が発行されており、講習と試験を受けることによって、筆跡診断士の資格を獲得することが出来ます。国家資格ではありませんが、こうした資格を持っている筆跡鑑定人は信頼性が向上します。
筆跡鑑定はなぜ落とし穴なのか?

法的にも有効な証拠となる「筆跡鑑定」ですが、どこに落とし穴にあるのでしょうか?その重要なポイントは筆跡鑑定人になるための条件にあったのです。
自称「筆跡鑑定人」の割合
現在、日本で「自称筆跡鑑定人」と言われる鑑定人は全体の7割と言われており、半数以上が正式な鑑定人では無いのです。といっても、資格として確立している職業では無いため、実質、筆跡鑑定人と呼ばれる全ての人が自称と言えるのかも知れません。しかし、残り3割の正式な筆跡鑑定人と呼ばれる方々は、豊富な知識と経験を持っており、信憑性の高い筆跡鑑定を出しています。先述した「信憑性の高い証拠」になるのは、この3割の筆跡鑑定人です。
自称筆跡鑑定人の全てが悪いとは言いませんが、中には知識も経験も浅い「似非鑑定人」も多く、適当な鑑定書を発行しているところも少なくありません。
裁判所では筆跡鑑定を信用していない
こうした自称筆跡鑑定士が増加したことによって、裁判所では「筆跡鑑定」そのものを証拠として取り扱わないケースが増えてきています。筆跡鑑定は今でも人物特定の重要な証拠となるため、こうした状況は非常に深刻な問題の一つです。実際に一部の裁判官は「筆跡鑑定」を証拠として承認していない例もあります。
偽造筆跡鑑定書が承認されるケース

筆跡鑑定において、一番の問題とされているのが「偽造鑑定書」です。筆跡鑑定人は特別な資格を必要としないため、全くの素人が筆跡鑑定を行なっている可能性があります。そうした状況から、偽造鑑定書を作成したとしても、「偽造と判断する基準がない」ため、偽造鑑定書を悪用するケースが増えているのです。
筆跡鑑定人が偽造を見抜けない
偽造鑑定書の大きな問題点として挙げられるのが、自称鑑定人と言われる筆跡鑑定人は、その鑑定書が偽造であることすら見抜けないということです。信頼のある鑑定人であれば、鑑定内容の矛盾や、違和感をすぐに察知するため、偽造を見抜けないという事態にはなりません。
しかし、昨日今日筆跡鑑定を始めたような初心者であれば、そうした違和感にすら全く気づくことは無いのです。上記の事情から、偽造鑑定書や偽造筆跡書類が増えているのです。
筆跡鑑定人が偽造を見抜けなければ裁判官も見抜けない
裁判官は判決のプロですが、鑑定書の偽造を見抜くプロではありません。その道の専門家が伝えた情報に信憑性があれば、それは証拠として採用されるのです。自称筆跡鑑定人の中には、実力はないのに知名度が高いといった鑑定人も存在します。そうした鑑定人に対して、一部の裁判官は「知名度のある人間であるために信憑性が高い」と判断するケースもあるため、偽造の事実は闇に葬られてしまうでしょう。
筆跡鑑定の偽造を見破るために
一つは、信頼と実績のある「正規の筆跡鑑定士」に筆跡鑑定書を作成してもらう、または偽造鑑定してもらうことが重要です。数々の実績を持っている鑑定士であれば、ネットや口コミでも情報を得ることが出来ます。
もう一つは、筆跡鑑定以外の有力な証拠を用意するということです。元々筆跡鑑定だけでは信憑性が低いため、その他の証拠と一緒に提出することになると思いますが、筆跡鑑定はあくまで「補助」として、別の有力な証拠を準備することで、偽造していた鑑定書を無効にすることも可能になります。
まとめ
今回の記事では、筆跡鑑定の実態と実際に偽造鑑定書について解説させて頂きました。人物特定のために筆跡鑑定を依頼した人の中には、実際には筆跡鑑定を行なっていないのに、同一人物であるといった適当な偽造鑑定書が送られてきたという被害を訴える方もおり、筆跡鑑定は鬼門へと変わりつつあります。
あくまで想像の話ですが、今後はAIの進化によって、筆跡鑑定人は必要なくなる時代が来ることも考えられます。低俗な筆跡鑑定人が増え、偽造鑑定といったトラブルが起こるくらいならば、機械に任せた方が信頼性はあるのかも知れません。
投稿者プロフィール

- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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