素行調査はプライバシーの侵害にならない?探偵選びのポイントもご紹介

探偵に素行調査を依頼しても、探偵業法を踏まえた適切な調査であれば、プライバシー侵害には当たりません。しかし、得た情報を公開するなど調査後の対応などに問題があると、プライバシー侵害となってしまうケースもあります。今回は、探偵の素行調査がプライバシー侵害にならない理由、素行調査を依頼する探偵事務所選びのポイントなどについて、解説していきます。
1.探偵の素行調査はプライバシー侵害にはならない

一般的に、探偵による素行調査はプライバシーの侵害には当たりません。プライバシーとは私生活の内容、公開されたくない未公開の事柄を指します。そして、プライバシーの侵害とは、これらを公開された被害者を不快に思うかで該当するか判断されます。
また、探偵事務所は届出をして「探偵業法」に基づいて素行調査をしており、素行調査自体に正当な理由があるため、プライバシーの侵害にはならないのです。ここからは、下記の内容について解説していきます。
- プライバシーの侵害の判断基準
- 探偵による素行調査がプライバシー侵害に当たらない理由
プライバシーの侵害の判断基準
プライバシーとは、個人の私生活に関する、公開されたくない、未公開の事柄を意味します。具体的には、
- 名前
- 住所
- 電話番号
- 職業
- 年収
- 犯罪歴
などが該当します。
プライバシーとして挙げた上記の例はごく一例であり、実際には数え切れない程のプライバシーが存在します。たとえば、インターネット上に拡散された個人が特定できる画像もプライバシーとされる場合があるのです。
また、最高裁判所の判例より、プライバシーの権利の定義は「個人に関する情報をみだりに第三者に開示または公表されない自由」とされています。
ちなみに、「プライバシー」と「個人情報」は同じものであると思いがちですが、厳密には別物です。個人情報とは、その情報のみから個人を特定できる情報といわれています。電話番号や住所だけでは個人を特定することは難しいため、「プライバシー」に当たりますが、個人情報とはみなされません。
探偵による素行調査がプライバシー侵害に当たらない理由
探偵が素行調査をしたとしても、プライバシーの侵害に当たらないことは既にお伝えしたとおりです。つまり、探偵に素行調査をした依頼主がプライバシーの侵害で訴えられることはないということです。
探偵事務所は、所在する都道府県の公安委員会に届出を提出し、ルールに基づいて開業しています。また、たとえば配偶者の不倫を調査するとして、民法第770条にある慰謝料請求や離婚調停に利用するという正当な目的があります。そのため、探偵事務所の素行調査はプライバシー侵害とはならないのです。
2.素行調査がプライバシーを侵害してしまうケース

探偵が素行調査により調査対象者の私生活を調べても、依頼主から慰謝料の請求や履行調停に提出する証拠集めとして正当な理由がある場合、プライバシーの侵害にはなりません。
ですが、集めた情報を不特定多数に公開してしまうと、プライバシーの侵害にあたり訴えられてしまう可能性があります。
その他、探偵の素行調査が訴えられるケースとしては、調査対象者の部屋に無断で盗聴器や盗撮カメラを設置したり、車にGPSをつけたりして情報を得るような調査が該当します。この場合、住居侵入罪に問われると考えてよいでしょう。
また、無許可の探偵であることを知りながら素行調査を依頼した場合、違法調査となるため訴えられるリスクがあります。探偵だけでなく、依頼者も罪に問われる可能性が高くなります。
3.素行調査がプライバシー侵害とならない探偵事務所の選び方

素行調査がプライバシーの侵害にならないようにするため、探偵事務所選びは慎重におこなうべきです。探偵業法を守り適切な調査をする探偵事務所に素行調査を依頼すれば、プライバシーの侵害を理由に依頼者が訴えられることはありません。少なくとも、下記の4つの条件を満たしているか確認してみましょう。
- 探偵業届出証明書が出ているか
- 過去に行政処分を受けていないか
- 調査の実績、調査能力は確かか
- 違法調査をしないと明言しているか
それでは、一つずつ見ていきましょう。
1.探偵業届出証明書が出ているか
探偵は公安委員会に届出を出して開業します。届出の事実を確認できるのが『探偵業届出証明書』です。通常、探偵事務所の見える場所に『探偵業届出証明書』が掲示されているものです。探偵事務所に足を運ばなくても、ホームページを調べれば『探偵業届出番号』が公表されています。この『探偵業届出番号』がどこにも見当たらない探偵事務所は、違法に事業をおこなっている可能性が高いため、避けたほうが良いでしょう。
2.過去に行政処分を受けていないか
過去に違法に調査等をしていた場合、営業停止あるいは営業廃止といった行政処分を受けているはずです。過去に行政処分を受けていないかを調べるには、けいしちょう警察のサイトを調べるのがおすすめです。「探偵業法に基づく行政処分 都道府県名」で検索すると、各都道府県警察のホームページが出てきて、過去3年間に行政処分を受けた探偵業者が公表されています。選ぼうとしている探偵事務所の名前がないか、事前に確認すると安心です。
3.調査の実績、調査能力は確かか
探偵選びの際、つい料金ばかりに注目しがちですが、過去の調査実績、調査能力も重要なポイントになります。事前にこれらを確認するのは難しいですが、可能な限り調べたり、確認したりしておきたいものです。
4.違法調査をしないと明言しているか
探偵事務所によっては、ホームページなどで「金融に関する個人のデータ収集」「プライバシーを侵害する行為」「個人情報のデータ漏洩」はしないと明言しているところがあります。違法調査に関わると、依頼者本人も罰則が適用される可能性があります。そのため、「プライバシーを侵害する調査はしない」と明言している探偵事務所を選ぶことも、リスク回避のためには重要です。
まとめ
今回は、探偵の素行調査がプライバシー侵害にならない理由、素行調査を依頼する探偵事務所選びのポイントを中心に解説してきました。通常、探偵は「探偵業法」に基づいて素行調査をおこなっています。調査自体に正当な理由があるため、プライバシーの侵害には当たらないといえます。ただし、探偵事務所ならどんなところでも良いわけではありません。探偵業届出証明書がきちんと出ている、過去に行政処分を受けていない、調査実績や調査能力に定評がある、違法調査をしないと明言しているようなところであれば、適切な調査を期待することができるため安心です。素行調査のプライバシー侵害に関わることなど、どんな些細なことでもかまいません。不安なことや不明な点があれば、まずは一度、気軽に探偵事務所にご相談ください。