指紋鑑定ってどうやってやる?詳しく解説

指紋鑑定と言えば、警察が捜査で犯人を特定する際に使う方法として有名ですよね。警察では、これまでに犯罪を犯したことのある人の指紋を採取しておき、事件あった時に指紋を照合することもあります。そこで、今夏の記事では、指紋鑑定とはどんなものなのか、詳しくご紹介していきたいと思います。
指紋鑑定とは何か?

指紋鑑定とは、該当する物や場所の指紋を採取して、特定の人物との照合に使用される鑑定方法です。人物を特定する中でも非常に精度が高く、現在の犯罪捜査にはほぼ100%利用されている鑑定方法です。
DNA鑑定に匹敵するほどの的中率
人間の体の中でも、指紋は誰一人同じではなく、一生変わらない組織と言われており、一度指紋を採取されてしまえば、何十年経とうが個人を特定することが出来ます。そのため、指紋鑑定はヒューマンミスを起こさない限り、ほぼ完璧な的中率を出すことができる、信頼性の高い鑑定方法と言われています。
また、指紋はその有用性から、あらゆる個人情報のパスワードとして利用されることが多く、普及しているスマホから、機密情報を扱う重要機関まで、幅広く採用されています。
指紋には三つの指紋が存在する
一つ目は渦状紋と言われるもので、渦巻状や円形の線類で構成されており、日本人の約半数以上が、この種類に分類されると言われています。二つ目は蹄状紋と言われるもので、指紋の隆線が左右のどちらかに反転して、馬の蹄に似た形のように流れる形状のことを言います。これも日本人に多い形状で約4割の人がこの蹄状紋該当すると言われています。
三つ目は弓状紋というもので、弓状の線が片方から流れた形状をしています。ここから線が逆流することはなく、日本人にはあまり存在しない指紋と言われています。また、これ以外にも変体紋という指紋がありますが、とても珍しく不規則な形状をしていることから、あまり発見報告がありません。
指紋鑑定人
指紋鑑定人の多くは、国家公安委員会、警視庁、指紋鑑識官などのOBの方々です。犯罪現場や犯人特定のために指紋採取を行うためには「指紋鑑識官」になる必要があります。そのためには警察官採用試験や警察事務採用試験に合格する必要があり、実質的に「国家公務員試験」を受けているということです。つまり、国家資格を持った人が、実際の現場で活動してきた正真正銘のプロフェッショナル集団なのです。
指紋鑑定の進め方

指紋鑑定は、指紋の特徴を照合して人物を特定する方法ですが、人の皮脂から採取するため、その取り扱いはとてもデリケードです。そこで、プロの方々はどんな方法で指紋鑑定を進めているのかご紹介したいと思います。
指紋採取
汚れた手(血、土、食べ物汚れ、埃など)で触れたものであれば、肉眼でも確認できる指紋が残るため、指紋採取はとても容易です。しかし、汗や皮脂などでできた指紋は、ほとんどの場合が肉眼では確認することが出来ないため、特殊な方法で指紋を採取する必要があります。(このような指紋を「潜在指紋」という)
潜在指紋を採取するにはいくつかの方法が存在しますが、その中でも有名なのが「粉末法」です。ドラマや映画などで警察官が利用しているものに近い手法です。アルミニウム系の特殊配合された粉末を、指紋があると思われる部分に振りかけることで、指紋が浮かび上がります。その指紋を転写シートに貼り付け、指紋として採取するのです。
指紋照合
指紋が採取できたら既存の指紋と照合するわけですが、指紋の詳細なデータベースが利用できるのは警察などの機関だけです。一般の機関ではそういったデータベースにアクセスすることは出来ないため、指紋鑑定の場合は基本的に「対象となる相手の指紋」を提示してもらう必要があります。
対象の相手の指紋とは、指紋が付着していると思われる物、もしくは独自に採取した指紋(ある程度の知識があれば、独自に指紋を採取することは可能)を鑑定官に提示することで、照合してもらうことになります。
ここで、ベースとなる指紋情報が不足していると、完璧な照合が困難になってしまうため、できる限り質のいい指紋が必要になります。(指紋の付着期間が少ない、劣化が少ないもの)
指紋鑑定の要は目視
現在、指紋鑑定を円滑に行うためのプログラムソフトや、専用の機械がいくつもありますが、プロの指紋鑑定人はそういったものを信用しません。機械やソフトには必ず「バグやエラー」が存在するからです。もちろん、指標にするためにそれらのシステムを利用することはありますが、最終的な判断は複数のベテラン指紋鑑定士の目視によって行われます。こうした方法を取ることで、機械でも読み取ることが出来ない変化を見逃すことがなくなるのです。
指紋鑑定費用

指紋鑑定を行う上で、一番気になるのは費用ですよね。そこで、ここでは実際に鑑定を依頼する場合、どのくらいの費用がかかるのかをご紹介したいと思います。
一般指紋照合
「特定の人物と指紋を照合してほしい」といった通常の指紋照合であれば、約10万円〜となっています。一般指紋照合は、依頼者からの指紋を照合するためだけのもので、法的に有効な証明書を発行することはありません。そのため、指紋照合としては最低限の価格となっています。
訴訟、裁判に使う指紋照合
裁判などに証拠として利用する指紋照合の場合は、取り扱う事案、証拠の重要性などによって費用が大きく変わるため、数十万円程度の費用を予測しておいた方がいいでしょう。また、裁判が関わるような指紋照合を受け付けていない指紋鑑定所もあるため、依頼する際には注意が必要です。
指紋証明作成書
FBIに無犯罪証明を申請する時に必要な作成書で、FD258という形式での発行となっていて、約3万円前後の費用がかかるとされています。海外で生活するためには必須と言える物なので、海外移住を考えている方であれば、日本で指紋証明作成書を作成することもあるでしょう。
まとめ
今回の記事では、指紋鑑定とはどういう物なのか、詳しく説明させて頂きました。探偵業務が盛んになってきている現代社会では、筆跡鑑定や指紋鑑定といった鑑定方法を利用する一般人が急増しています。指紋鑑定の利用を考えている人は、この記事を読んで参考にしていただけたらと思います。