その履歴書は正しい?採用時に注意したい履歴書の詐称と調査方法

企業の人事担当者は採用活動で主に履歴書と面接、筆記試験などを駆使して自社の求める人材を探索・採用していることと思います。特に人柄や能力の有無を判断する面接や履歴書には大きなウェイトが占められていることでしょう。でも、求職者が自由に書くことができる履歴書の内容は100%信頼しても良いものなのでしょうか?もし事実と違う内容であったとしても、面接では限られた時間だけですから容易に取り繕えてしまいます。本当に自社に適した人材なのかと判断に頭を悩ます人も多いかと思います。
この記事では履歴書の詐称が行われる理由と対応方法をご説明いたします。
なぜ履歴書の詐称が行われるのか

自分の好きな仕事をしたい、憧れの会社に入社したいという思いが強かったとしても、履歴書を詐称することは許されることではありません。しかし、それでも詐称する例が後を絶たないのはなぜなのでしょうか。いくつかの例を以下に列挙します。
前職の在籍期間、転職回数を詐称するケース
「前職の上司にパワハラを受け、鬱状態になったため短期間で転職した」といったように仕方のない理由があったとしても、履歴書上では短い在籍期間、多い転職回数=仕事が続かないというイメージに感じられてしまう場合があります。「またすぐにやめてしまうのではないか」という負のイメージを払拭したいという理由も詐称の動機になるようです。
前職の雇用形態を詐称するケース
「前職では契約社員で働いていたけど、仕事内容は正社員とほぼ変わらなかった」というような経験がある人は雇用形態を詐称する理由になるようです。能力やスキルは正社員と同等なのに待遇は正社員以下という思いから、次は正社員に必ずなりたいという思いから詐称に繋がるようです。また、契約社員からは正社員になり難いという時代背景も少なからず影響を及ぼしているかもしれません。
資格や免許を詐称するケース
資格や免許が必要な職業として一般的には弁護士や医者、建築士などが思い浮かびますが、それ以外にも資格を持っている事で給与などの待遇を上げる企業もあります。TOEICの点数や英検程度であれば多少事実と異なる記載をしてもバレにくいこともありますので、より良い待遇で仕事ができるようにと軽い気持ちで履歴書を詐称する理由になるようです。
履歴書の詐称を見抜く方法は?

面接時に注意深く観察する
詐称した経歴をもとに面接を行うと履歴書に書かれている内容と本人の発言が食い違ってくることがあります。もちろん、緊張による間違いということも十分に考えられますが、それでも、食い違う回数が著しく多い場合には注意が必要です。また、可能であれば出身学部や前職に通っていなければわからないような質問をすることでも見抜くことができます。
年金手帳や源泉徴収票をチェックする
年金手帳であれば過去の加入履歴が記載されており、源泉徴収票であれば前職の会社名や退職日が書かれています。これらをチェックすることで履歴書による申告内容との相違を確認することもできます。また、雇用者被保険者証の提出を求めることでも同様に経歴をチェックすることができます。
前職調査(リファレンスチェック)を行う
国内の企業でも、過去には応募者に対して企業の担当者が前職調査(リファレンスチェック)を行っていた時代もありましたが、現在では行われることが少なくなりつつあります。安易に応募者の前の職場や出身大学に問い合わせても、個人情報の保護やコンプライアンスの観点から拒否されてしまう場合が増えているためです。
一方で、外資系の企業では採用ステップが進み、内定が近くなってきたときに前職調査(リファレンスチェック)が実施される場合があります。もちろん、応募者の個人情報にもかかわるため、応募者自身が事前に了承してから実施されます。この前職調査では客観的な目線でチェックを行うために、第三者の企業に依頼するケースが多いです。
履歴書の詐称を発見したときの対応は?

履歴書の詐称が発覚した場合は、その程度にもよりますが、企業側は内定取り消しや解雇の選択肢を選ぶこともできます。具体的には、学歴、職歴、犯罪歴の3種類は特に重大な詐称であると判断されるようです。これらは企業に入社した後に求めるパフォーマンスが発揮できないことが想定され、特に、犯罪歴に至っては企業のコンプライアンスに関わる場合もあるため、非常に大きな損失を生むことになるためです。一方で、入社後のパフォーマンスなどに関わらないような軽微な詐称の場合は解雇まで至らない場合もあるようです。
履歴書の詐称への対応は実は企業イメージにも関わるため、非常に高い慎重性で柔軟性が求められます。履歴書に詐称が見つかったということで機械的に解雇や内定取り消しを判断することもできますが、その詐称を行うに至った背景まできちっとヒアリングし、理由によっては不問とすることもできます。当然、悪意を持って詐称をする人物も存在しますが、上記のように企業への愛が強いために詐称を行う人物もいます。大切なことは応募者と企業の双方が納得のできる判断をすることだと思います。
まとめ
以上、企業の人事担当者が頭を悩ませる履歴書の詐称について、見抜く方法や発覚した場合の対応をお伝えいたしました。履歴書の詐称理由にはもともと悪意のあったものから、前職の経験からより良い待遇を得たいなどの欲求によるものまで様々あるようですね。企業側としては、履歴書の内容と面接時の発言内容との相違をチェックしたり、保険関係の書類をチェックする必要もあり、第三者に調査を依頼する場面もあるかと思います。いずれにしても、応募者と企業の双方がメリットある形で収まることが一番ということですね。