最悪の場合は上場廃止?反社との取引リスクとそのチェック方法
株式上場企業にお勤めの人も、上場を目指す企業にお勤めの人も、自社の発展のために、多くの取引先と交流を持たれていることと思います。事業をより大きくするためには、新しい取引先の開拓やM&Aなども積極的に推進していく必要があります。しかし、実はその取引先が反社会的勢力(以降、反社と記載)であったとしたらどうでしょうか。反社との取引は最悪の場合には上場廃止となるほどの大きなリスクを内包しているのです。
この記事では
・反社とは
・反社との取引は上場廃止にもつながる
・反社をチェックする方法
・反社をチェックするタイミング
などについて説明していきたいと思います。
是非、ご自身のビジネスの参考にしてみてください。
反社とは
一般的には認識としてWikipediaを参考にすると、「暴力や威力、または詐欺的手法を駆使した不当な要求行為により経済的利益を追求する集団又は個人の総称」と記載されています。
具体的ないくつかの機関が様々な定義を公表していますが、例えば、大阪府の茨木商工会議所では「暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等、その他上記に準じるもの、上記に該当するものが経営を支配していると認められるもの、暴力団員等が経営に 実質的に関与しているもの、暴力団員等を利用していると認められる関係を有するもの、暴力団員等に対して資金等を提供、又は便宜を供与するなどしているもの、役員又は経営者が暴力団員等と関係するもの」と定義されています。
「反社」と聞いて暴力団をイメージする方が多いかもしれませんが、実際にはもっと広い範囲で定義されています。自身が暴力団でなくとも、資金提供や便宜を供与しているだけでも反社の定義に含まれることに注意が必要です。当然、反社と取引がある会社は資金提供を行っていると認識されますので、同じように反社と定義されることにつながります。
反社との取引は上場廃止にもつながる
反社との取引にはどのようなリスクが存在するのでしょうか。ここでは、反社排除の取り組みについて解説いたします。
反社を排除する取り組みの背景
反社は、近年、警察の取り締まりから逃れるために、組織の実態を隠ぺいする動きを強めており、実態を掴むことが難しくなりつつあります。一部には企業を装って活動している組織もあり、実は身近な取引先が反社であったということも起こっています。そのため、例え反社排除意識の高い企業であっても、知らずに取引を行う事例が後を絶ちませんでした。
この状況に対して、日本政府の犯罪対策閣僚会議幹事会では、平成19年に「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を公開しています。今では国内の大半の企業が同指針を基に反社を排除する取り組みを進めています。
証券取引所の取組み
証券取引所は、反社の資金源になる可能性や、マネーロンダリングの一つとして使用される可能性が考えられています。そのため、新規上場審査の中では反社との関係を確認するとともに、反社排除体制を整備することがチェックされることとなっています。また、既に上場している企業に対しても反社との取引などが明らかになった場合には断固とした措置を講じるものとされています。
実際に2015年には、とある企業が割当予定の企業に反社の疑いがあるという指摘を外部から受けていながらも、そのことを証券取引所に報告しなかったために、上場廃止となった例もあります。
反社をチェックする方法
それではどのようにして反社との取引を回避したら良いのでしょうか。ここでは具体的なチェックの方法をご紹介いたします。実務上では、どれか一つの調査だけを行うのではなく、段階や重要度に応じて複数の調査を実施することが大切です。
インターネットで調査する
自社で簡単に調査する方法としては、インターネット検索による調査があります。取引先に関する一般的な情報や公のニュースを調べることで、反社の疑いがあるか否かを判断できます。特に、「取引先名 反社」や「取引先名 逮捕」のように関連するキーワードとともに検索することで、例えば、過去のネガティブなニュースを的確に確認できます。
契約書などの内容を精査する
他の企業と取引を新しく始めるときには、後々のトラブルを防止するために必ずと言って良いほど契約書を結ぶかと思います。平成19年に公開された「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」の中では契約書に反社会勢力廃止条項を盛り込むことを推奨しています。これは、もし取引先が反社であった場合に速やかに契約を解除する項目なのですが、もしこの条項が意図的に盛り込まれていない契約書が確認された場合は、要注意です。
反社会的勢力データベースをチェックする
反社会勢力をデータベース化しているサービスも存在します。照会するためには一定のコストが必要ですが、データベースに取引先名が記載されている=反社であると判断できます。上記のインターネットの調査や契約書の精査ではあくまで”反社疑い”までしか判断はできませんでしたが、データベースチェックであれば確定できることがメリットの一つです。
興信所などの専門機関に依頼する
取引先が直近で組織された新しい反社であった場合、上記の3つの方法では調査から漏れてしまう可能性も考えられます。このような反社を特定することは大変難しい仕事となるため、興信所などの専門機関に依頼することが適切です。調査員が当該企業に対して張り込みや聞き込み調査を行い、より詳細な生きた情報を得ることができます。当然、コストはかかりますが、取引先が反社であった場合に上場廃止となる等のリスクを考えれば、保険として必要な経費と位置づけることができます。
以上、反社と取引を行った場合のリスクや反社のチェック方法などについてご説明いたしました。上場企業や上場を目指す企業においては、反社との取引があることで、最悪のケースとして上場廃止というリスクも潜んでいます。リスクを回避するためにも取引先の反社チェックは入念に行うことが大切です。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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