探偵の調査が犯罪になることってあるの?違法性が高い調査とは

映画やドラマに出てくる探偵は、様々な手法で調査を行ないますが、「それって犯罪じゃないの?」って気になることもありますよね。実際の探偵は、調査対象者に悟られないことが重要であり、あまり目立つような行動はできません。探偵が行なう調査業務において、犯罪の可能性がある調査もあるので、探偵に依頼する際には要注意です。ここでは、探偵の調査基準と違法性が高い調査について解説します。
探偵の調査基準で定められた調査とは
探偵は調査依頼をすることで、どんな依頼でも引き受けてくれるわけではなく、探偵業法に基づいた調査のみ行なうことが可能です。また探偵業は誰でも行なえるわけではなく、探偵業開始届出を管轄の警察署に提出し、探偵業届出証明書を交付されなければなりません。探偵が行なえる調査業務の調査基準は、探偵業法によって定められているといえますよ。探偵業法によって定められた調査基準は3つあります。
●聞き込み
●尾行
●張り込み
探偵業法によって定められた3つの調査基準についてそれぞれ説明しますね。
聞き込み
探偵業法で認められている調査の1つに、「聞き込み」があります。調査対象者の友人や知人に対して、調査担当者の情報を聞き出す調査であり、情報を聞き出すのは容易ではありません。聞き込みは、調査対象者の周囲の人物から信頼されることが重要であり、相手の心を開く工夫が求められますよ。
尾行
探偵が行なえる調査業務の中でも、「尾行」は探偵の腕の見せ所だといえるでしょう。調査担対象者にバレない距離感を保ち、調査対象者の行動を監視し続ける調査です。一定の距離を保って、調査対象者の行動を監視し続けるのは難しいので、基本的には複数で尾行を行なうことになります。複数人で尾行を行なうことで、見失いにくくなり、バレにくくもなりますよ。
張り込み
探偵が行なう張り込みは、半日以上続けることもあるので、根気が求められる調査業務だといえます。調査対象者が施設や建物に入った際、死角で調査対象者を張り込むので、地道な調査だといえるでしょう。浮気調査などで証拠を入手するために、張り込みは探偵にとって必須な調査ですよ。
違法の可能性がある調査とは

探偵の調査は、何でも認められているわけではなく、探偵業法の範囲内でのみ認められています。逆に言えば、探偵業法の範囲外の調査は、違法である可能性が高いです。違法性がある調査は5つありますよ。
●ストーカー目的の調査
●DV避難者への所在調査
●プライバシーに関する調査
●差別・偏見に付随する身元調査
●復讐代行での調査
違法性がある5つの調査についてそれぞれ説明しますね。
ストーカー目的の調査
ストーカー目的で、調査対象者の所在を調査することは認められておりません。ストーカー規制法で、付きまとい行為などが罰せられるようになったので、ストーカー行為の可能性を感じたら依頼を受けることは難しいといえるでしょう。
DV避難者への所在調査
配偶者からのDVにより、配偶者から避難した人を調査対象にする所在調査は認められておりません。配偶者からのDV被害を抑制するDV防止法が制定され、DV被害を助長するような行為は禁止されております。DV避難者を調査するような依頼は受けることは難しいでしょう。
プライバシーに関する調査
プライバシーの侵害に抵触するような調査は認められておらず、他人の車やバイクにGPSを仕掛けるような行為は違法となります。配偶者であれば認められることもありますが、他人のプライバシーを侵害するような行為は探偵業法の範囲外となります。
差別・偏見に付随する身元調査
出自や国籍によって、差別や偏見の対象となる可能性があり、そのような調査は違法になる可能性が高いです。身分制度や帰化国の価値観が薄くなったとはいえ、少なからず偏見を抱いている人もいます。差別・偏見に付随する身元調査は、デリケートな内容でもあるので、探偵業法では認められていないといえるでしょう。
復讐代行での調査
浮気調査の延長などにより、配偶者の浮気相手の個人情報を入手して、復讐代行に加担するような調査は認められておりません。開示した個人情報の人物に危害が加えられる恐れがあり、なんらかのトラブルを引き起こす可能性が高いといえるでしょう。
調査の方法によっては犯罪につながることも

調査内容が合法であっても、調査方法によっては違法になってしまい、犯罪になることもあるので要注意です。違法になる代表的な調査方法は3つありますよ。
●住居侵入罪
●信書開封罪
●偽計業務妨害罪
犯罪になり得る代表的な3つの調査方法についてそれぞれ説明しますね。
住居侵入罪
探偵が尾行や張り込みの調査業務中に、勝手に調査対象者の敷地に入ってしまった場合、住居侵入罪に問われる可能性があります。住居侵入罪は刑事罰の対象であり、「証拠を集めるために気付かなかった」は認められません。裁判所に証拠として提出しても、証拠しての効力はなく、反対に相手から訴えられてしまうかもしれませんよ。
信書開封罪
調査対象者の個人情報を知るために、ポストに投函された手紙の封を切ってしまった場合、信書開封罪に問われます。ハガキであれば封を切ることはありませんが、封をされているものはすべて対象になります。信書開封罪を犯して得た個人情報は、浮気調査の証拠になるかもしれませんが、依頼者も罰則を受ける可能性が高いですよ。
偽計業務妨害罪
調査対象者の情報を入手するために、探偵が立場を詐称することにより、偽計業務妨害罪に問われる可能性が高いですよ。調査対象者の友人や知人になりすまし、公的機関から個人情報を入手することで、偽計業務妨害罪は成立します。偽計業務妨害は偽計により、他人の業務を妨害することで成立することになります。
まとめ
探偵の調査は何をしてもいいわけではなく、探偵業法で認められた調査のみ行なうことが可能です。探偵業法で認められていない調査は、違法になってしまい、犯罪になってしまいます。探偵は依頼人から調査依頼を受ける際、探偵業法の定められた内容の調査であることを確認してから、依頼を受けることがほとんどです。探偵の調査の方法によっては、違法になる方法もあるので、依頼する探偵が悪徳業者かどうかを見極めることもできるでしょう。