指紋で人物が特定できるのはどうして?指紋鑑定の仕組みとは
事件現場における指紋は、動かぬ証拠であり、犯人逮捕の決め手になることが多いです。指紋の採取における指紋鑑定において、仕組みや方法を知らない人は多いと思います。また警察だけでなく、探偵も指紋鑑定が行なえることを知らない人は多いのではないでしょうか。指紋は人物を特定するのに有効であり、事件では重要視される証拠となります。今回は、あまり知られていない指紋鑑定の仕組みや方法について解説します。
指紋を判別する
同じ指紋を持つ人は誰一人としていないため、指紋は個人を特定するのに重要なサインとなります。また整形手術でもしない限り、指紋が変わることはなく、傷付いても同じ指紋に戻るのが特徴です。個人を特定する指紋を判別するためには、2つのチェックポイントがあります。
●紋型
●隆線
指紋を判別する上で重要な2つのチェックポイントについてそれぞれ説明しますね。
紋型
指紋は「渦状紋」「蹄状紋」「弓状紋」「変体紋」の4つの紋型があり、すべての人の指紋は4つの紋型のうちのどれかとなります。渦状紋は、中心部分に向かって渦状になっている指紋であり、日本人の約半数が該当する紋型です。渦の長さや中心円の大きさは人によって異なり、渦の位置も人によって異なります。蹄状紋は、馬の蹄のような形をしている指紋であり、日本人の約4割が該当する紋型です。湾曲部分などの大きさなど、人によって位置も異なります。弓状紋は、弓のような形をしている指紋であり、日本人の約1割が該当する紋型です。蹄状紋と同様に、人によってさまざまな形があります。変体紋は突然変異によってもたらされた指紋であり、渦状紋や蹄状紋、弓状紋のどれにも属さないのが特徴です。変体紋を持つ日本人はほとんどおらず、世界的にも珍しい紋型だといえるでしょう。
隆線
手の平や指において、皮膚に浮き出るように隆起している線であり、隆線上には汗腺が並んでいる特徴があります。指紋は、紋型に沿った隆線が示す指先の紋様です。隆線の皮下組織には鋭敏な神経細胞があり、鋭い触覚があるのが特徴です。隆線の凸凹とした隆起により、ツルツルとした滑るものでも持つことができ、凸部分で皮下組織を守っている働きがありますよ。
指紋鑑定のメカニズム
指紋は他人と同じものであることがなく、一生変わらないので、個人を特定することが可能です。指紋鑑定は、事件現場などに残された指紋を割り出すことにより、犯人を特定するのに世界的に確立された方法です。突発的な犯行時には、指紋が残っていることが多く、特定の人物が犯行現場に居た証拠になります。指紋が付着しているモノがガラスやプラスチックであれば、指紋が残りやすくなりますが、紙や壁などは指紋が目に見えないことが多いです。目に見えない指紋は、指紋検出をすることで視認できる状態になります。指紋検出において、指紋の成分を浮かび上がらせるには、指紋が残っている状況を見極める必要があります。指紋には汗や皮脂などの脂以外にも、タンパク質などのさまざまな成分が含まれています。指紋に含まれる成分を浮かび上がらせることにより、目に見える状態にすることが指紋検出の仕組みです。警察は指紋を照合するためのデータベースを持っており、事件現場に残された指紋とデータベースを照らし合わせて、人物を特定することが可能です。指紋における紋様は、人によって異なり、100個以上の特徴点が存在します。データベース上の指紋と指紋検出で判別した指紋において、特徴点に基づいて指紋照合を行ない、12か所の特徴点が合致すれば同一人物となります。12か所の特徴点が合致する確率は、1兆分の1の確率なので、ほぼ間違いなく同一人物だと断定できる確率だといえるでしょう。指紋は個人が持って生まれた不変の情報なので、警察や探偵は指紋鑑定を捜査・調査に導入しているのだといえます。
指紋採取の方法
指紋に含まれる指紋鑑定において、ドラマや映画に出ている警察がポンポンと指紋を探しているのを見たことがある人はいるでしょうが、実際の方法について知らない人は多いと思います。指紋鑑定において、指紋鑑定における指紋採取の代表的な方法は2つあります。
●物理的指紋捜査法
●潜在指紋捜査法
指紋採取の代表的な2つの方法についてそれぞれ説明しますね。
物理的指紋捜査法
ガラスやプラスチックなど、指紋が付着しやすいモノに対する指紋採取の方法であり、指紋に含まれる汗や脂を利用します。指紋に付着しやすい粉末を用いて、直接的に指紋採取を行なうのが特徴です。使用される粉末は状況に応じて使い分けることが多く、アルミニウムパウダーや黒鉛パウダー、二酸化ケイ素などを混合した粉末であることが多いです。物理的指紋捜査法は、指紋が残りやすい部分で利用されることが多いですが、指紋が残りにくい部分では別の方法を利用します。
潜在指紋捜査法
指紋が残りにくい部分で利用される方法であり、化学反応を利用して指紋採取する方法です。状況に応じて利用しやすく、はっきりとした指紋を採集できるので、汎用性が高い指紋採取の方法だといえます。潜在指紋捜査法で利用される化学反応はさまざまですが、代表的なものは2つとなります。
●ニンヒドリン法
●シアノアクリレート法
潜在指紋捜査法における代表的な2つの方法についてそれぞれ説明します。
ニンヒドリン法
ニンヒドリンは指紋に含まれるアミノ酸に反応して、紫色に発色する性質があります。ニンヒドリン法はニンヒドリンとアミノ酸の化学反応を利用することで、指紋が残りにくい部分でも指紋採取を可能にする方法です。ニンヒドリンは安価で入手しやすいので、潜在指紋捜査法に積極的に採用されていますよ。
シアノアクリレート法
シアノアクリレート法はガラスなどの表面がツルツルなモノに対して利用され、指紋に含まれる汗の水分を固めて、指紋を固定化する方法です。シアノアクリレートは瞬間接着剤に使用されており、水と重合することで硬質化する特徴があります。固定化した指紋を見やすくするために、発光剤を併用することが多いですよ。
まとめ
同じ指紋を持つ人はおらず、一生変わることもないので、指紋によって個人を特定することが可能です。指紋は個人を特定できる為、指紋鑑定は警察や探偵だけではなく、世界的に確立された方法だといえます。指紋には汗や脂、アミノ酸が含まれているので、これらを利用して指紋鑑定を行なうことがほとんどです。指紋鑑定は、人がその場に居た軌跡を捉える方法ともいえるでしょう。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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