最先端の指紋鑑定と画像分析とは?詳しくご紹介
一昔前の指紋照合では、熟練した科学技術者が手作業で行っていました。現在の指紋照合は、多数の開発されたプログラムによって行われています。
- 1.指紋の識別はスパーテクノロジーの世界
- 2.指紋の検出
- 2-1.潜在遺留指紋の検出方法
- 2-1-1.「粉末法」は、極微細の粉末をヒト分泌物に付着させ指紋検出する方法です。
- 2-1-2.「液体法」は、試薬をヒト分泌成分に付着させ、化学反応を起して指紋検出する方法です。
- 2-1-3.「気体法」は、気化試薬と分泌成分に化学反応を起させる検出方法です。
- 2-1-4.「レーザー法」は、特殊試薬し照射することで、黄色に呈色させ指紋検出する方法です。
- 2-1-5.「蒸着法」はヒト分泌成分に金蒸着させ、反射電子モードで分析する方法です。
- 2-1-6.「高感度検出法1」は、基本試薬を主軸に検出感度を上げていく指紋検出方法です。
- 2-1-7.「高感度検出法2」も、基本試薬を主軸に検出感度を上げていく指紋検出方法です。
- 2-1.潜在遺留指紋の検出方法
- 3.科学警察研究所での最先端研究
- 4.まとめ
指紋の識別はスパーテクノロジーの世界
科学捜査の現場で使用される指紋解析システムは、検査者の目視ではなくソフトによる読み取りのため、客観性が100%保証されています。
指紋抽出から指紋照合までの流れ
画像撮り込み → 画像解析 → 特徴点抽出 → 照合 → 鑑定
1.画像の取り込みは、カメラとスキャナーを使って取り込みます。
2.画像解析は、最新の画像工学処理技術(鮮明化処理システム)を使えば、黒潰れや白飛び箇所からでも部分除去し、画像としての確認が行えます。
3.特徴点抽出は、自動特徴点抽出プログラムを採用しており、指掌紋・足紋・耳紋を自動抽出して、マニュアルで補正処理されます。高精度の指紋特徴点を抽出でき、重複指紋や凹凸面の特徴点も抽出できます。
4.照合は、疑問指紋と、対照用指紋をデータベース化し照合します。
自動特徴点照合システム、通称AFIS(エイフィス)は、FBI・CIA・NCISでも採用されているシステムです。
歪んだ遺留指紋や劣化指紋・片鱗指紋も自動照合できる最強システムです。
5.鑑定書の作成は、鑑定人による識別で、総合成績を解析します。
どんなにプログラムが進化しても、最終判断は鑑定人の「眼」で行われます。
指紋の検出
事件現場で発見される指紋を「現場指紋」と呼びます。
現場指紋は、残された指紋「遺留指紋」とも呼び、その中でも肉眼で確認できる遺留指紋を
「顕在指紋」と呼んでいます。
「顕在指紋」は、ゼラチン紙に転写するか、特殊撮影の方法で採取されます。
また、肉眼では見えない遺留指紋は、「潜在指紋」と呼びます。
潜在遺留指紋の検出方法
潜在遺留指紋の検出方法は多数ありますので、代表的な検出方法を以下で紹介します。
「粉末法」は、極微細の粉末をヒト分泌物に付着させ指紋検出する方法です。
試薬の種類 アルミニウム粉、石松子、カーボンBK、インディゴ、蛍光粉、その他多数種
検出方法 ブラッシング法、軽打法、震動法
採取方法 ゼラチン転写法、写真撮影法
「液体法」は、試薬をヒト分泌成分に付着させ、化学反応を起して指紋検出する方法です。
試薬の種類 ニンヒドリン法、硝酸銀法、ベンジン法、DFO法
検出方法 塗布法、噴霧法、浸漬法
採取方法 転写法、写真撮影法
「気体法」は、気化試薬と分泌成分に化学反応を起させる検出方法です。
試薬の種類 ヨウ素法、シアノアクリレート法
検出方法 暴露法
採取方法 写真撮影法
「レーザー法」は、特殊試薬し照射することで、黄色に呈色させ指紋検出する方法です。
試薬の種類 アルゴンレーザー法、ヘリウムレーザー法
検出方法 塗布または噴霧後に照射、シアノアクリレート法、ニンヒドリン法
採取方法 写真撮影法
「蒸着法」はヒト分泌成分に金蒸着させ、反射電子モードで分析する方法です。
検査装置 低真空型走査型電子顕微鏡法
採取方法 顕微鏡画像データ
「高感度検出法1」は、基本試薬を主軸に検出感度を上げていく指紋検出方法です。
検出方法 ニンヒドリン法→塩化亜鉛処理→レーザー法→写真撮影
採取方法 蛍光写真撮影法
「高感度検出法2」も、基本試薬を主軸に検出感度を上げていく指紋検出方法です。
検出方法 シアノ法→蛍光染色処理→レーザー法→写真撮影
採取方法 蛍光写真撮影法
・指紋採取・指紋検出試薬の研究
指紋採取・指紋検出の試薬は、生物化学を基に、ヒト証明に則った調合を行います。
このような科学的な指紋採取方法を用いることで、紙や布、シリコン加工の新建材などからも、指紋を採取することができるようになりました。
また、「四酸化ルテニウム」という新しい指紋検出試薬のお陰で、人体に着いた指紋も採取可
能になりました。
FBIやSIS等でも正式採用され、世界中の指紋鑑定で使用されています。
現在、世界の科学捜査の現場で使用されている科学技術には、日本の研究所や研究者が開発したものも多数存在しています。
科学警察研究所での最先端研究
科学警察研究所は、千葉県柏市にある科学捜査についての研究と実験を行う施設です。
その研究は、鑑定、検査、犯罪の防止及び少年非行防止を目的とし、交通事故の防止、その他交通警察についての研究、実験も行っています。
研究対象は広範囲にわたり、生物学・医学・化学・薬学・物理学・農学・工学・社会学・教育学・心理学等の専門的知識・技術を部署ごとに研究活動しています。
研究所活動内容
研究開発は、年度毎に定めた研究計画に基づいています。
研究内容は鑑定技術の確立、鑑定機材の開発、少年非行の解明、犯罪防止対策、交通の安全・円滑に関することを、「科学警察研究所報告」にまとめた内容を年2回発行しています。
研究所では、都道府県警察や裁判所、検察庁から依頼を受け、鑑定・検査を行っています。
また、都道府県警察の鑑定技術職員に対して、研修及び指導を行っています。
法科学第二部 物理研究室
法科学第二部では、犯罪捜査に関連する物理学及び工学の研究をしています。
なかでも、電気・電子・情報工学、機械工学、材料工学、反応化学、応用物理学などの研究を中心にしています。
法科学第二部は、物理研究室、火災研究室、爆発研究室、機械研究室の4つの研究室から構成されています。
その中の物理研究室では、物理学を応用した鑑識技術の研究開発、及び鑑定を行っています。
レーザー光を利用した、時間分解分光画像法の研究開発
紫外線から赤外線まで各種レーザーを用いて、指紋等を蛍光で可視化するシステムを開発しています。
レーザー光を用いると、試料を破壊せず指紋検出ができます。
時間分解分光法は、物質の蛍光寿命の時間差を利用して蛍光画像を取得する方法です。
背景の蛍光を除去することで、対象物質の蛍光を得ることができるもので、指紋が付着した物質の蛍光を抑えて指紋のみを効率的に検出することができます。
画像鑑定に関する研究開発
物理研究室で開発した画像解析ソフトを用い、不鮮明な画像の改善処理や復元処理、撮影された物体や歩容による人物の識別、着衣や車両ナンバー等の文字の判読、画像合成の有無など、各種画像鑑定法についての研究開発が日々、行われています。
まとめ
指紋の鑑定方法は、主に3種類あり、汗腺口からの指紋鑑定、隆線縁を見極める指紋鑑定、そして、現在世界中で最も多く実施されている指紋鑑定方法が、特徴点を照合する鑑定方法です。
指紋線の配置を照合し、指紋が一致するかを判定します。
世界的な基準では、特徴点が12個の一致があれば、同一の指紋とみなすことができます。
日本でも刑事事件における、判定基準は原則として12点以上の特徴点一致とされています。
今後の指紋鑑定の研究にも、注目が集まります。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
最新の投稿
- その他8月 26, 2024採用調査で失敗しないために知っておきたい注意点【必見】
- 採用調査8月 8, 2024バックグラウンドチェックのやり方とは?そのやり方を詳しく解説します
- 浮気調査8月 7, 20242 回目の不倫に対する慰謝料の相場は?慰謝料請求できないケースに注意
- 採用調査2月 16, 2024採用面接で「素行調査をする」と言われたけど不安…企業の素行調査について解説します