盗撮は犯罪行為の一種・逮捕や起訴される可能性はあるのか?

巧妙に何かに仕込まれたカメラも出てきているので、知らない間に盗撮されていたというケースもあります。しかし盗撮というのは、犯罪行為の一種です。場合によっては逮捕や起訴という可能性もありますので、絶対にやるべきではありません。
盗撮罪という罪はない
盗撮は犯罪行為の一種です。しかし「盗撮罪」と呼べるような犯罪はありません。迷惑防止条例もしくは軽犯罪法違反という形で処罰される形になります。迷惑防止条例は、公共の場で盗撮をした場合に該当します。条例と書かれているように、都道府県で独自に設けています。このためどこからが違反になるのか、どんな罰則が設けられているのかは自治体によって異なります。
例えば東京都の場合、平成30年に規定が強化されました。公共の場所に加えて、トイレやお風呂場、更衣室での盗撮も条例違反の対象になりました。多くの自治体では6か月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金としています。しかし東京都では1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金と厳しい罰則が設けられています。
軽犯罪法違反になるのは、衣服を身につけないような場所で盗撮行為を行った場合処罰の対象になります。正当な理由なくトイレや更衣室、お風呂場などで盗撮行為を行うと違法行為に該当します。ちなみに撮影行為をしていなくてただ見ていただけでも処罰対象です。いわゆる「のぞき」です。軽犯罪法違反の場合30日未満の拘留もしくは1万円未満の過料となります。条例と比較するとペナルティも軽微です。
住居侵入罪に該当する可能性も
対象人物が在宅しているときに盗撮するとなると、相手の住居の中に入らないと難しいでしょう。ということは住居侵入罪に問われる可能性も出てきます。住居侵入罪の場合、3年以下の懲役もしくは10万円以下の罰金が科されます。住居以外にも店舗や施設などに不当に侵入した場合でも罪に問われる可能性があります。
盗撮して起訴されるまでの流れ

盗撮事件を見てみると、現行犯逮捕の事例が多いです。つまり盗撮しているところの現場を被害者もしくは周辺の人物が目撃して、身柄拘束されるというものです。盗撮が多発しているエリアの場合、警官が私服姿で巡回していることも少なくありません。警官が盗撮の瞬間を目撃すれば、その場で逮捕ということもあり得ます。
逮捕もしくは送検されると、検察が起訴するかどうか判断します。もし起訴すると判断した場合には裁判という流れになります。逮捕された場合、起訴前には最大20日間拘留されます。しかし起訴後釈放されないと無期限で拘留可能ですから、裁判が完了するまで数カ月間身柄拘束される可能性があるので注意しましょう。
ちなみに逮捕されずに在宅起訴という可能性もあります。この場合、別にいつも通りの生活をしてもかまいません。学生なら通学できますし、社会人であれば仕事を続けても構いません。ただし裁判所の方から出廷命令がきますので、それに従わなければなりません。
初犯であれば起訴されないという話もしばしば耳にします。しかしこれは正しくありません。初犯か再犯かも起訴の判断基準ではありますが、悪質なものであれば初犯でも起訴される可能性はあります。ちなみに被害者と示談が成立しているかどうかは重視されます。示談の話がまとまっていて、被害者に対して謝罪し賠償もしているのであれば、起訴する必要はないと判断される可能性大です。
後日逮捕という可能性も
盗撮行為を見てみると、現行犯逮捕というパターンが多いです。しかし近年盗撮をした現場では逮捕されずに、後日逮捕されるというケースも増えてきています。中には1年以上前に行った盗撮行為で逮捕されたという案件もあるほどです。被害者などが盗撮された証拠を集めて警察に提出し、慎重に捜査した結果逮捕に動くということもあるからです。自宅に警察が裁判所の発行した逮捕状を見せて逮捕するわけです。この場合、いったん警察署に連行され、その後留置場に入れられる流れになるでしょう。その場で捕まらなかったとはいえ、それで大丈夫というわけではありません。
どこからが盗撮に該当するか?

盗撮という言葉からもわかるように、「当人の許可なしに隠れて撮影する行為」のことです。では具体的に盗撮行為の中でもどこからが犯罪行為になるのでしょうか?一般的には女性の裸や下着を隠れてこっそり撮影する行為というイメージがあるでしょう。しかしもっと実際には広範にわたって盗撮の認められる可能性があります。
過去女性のでん部を撮影していた男性が盗撮で逮捕され、裁判で迷惑防止条例違反、すなわち犯罪行為と認められました。この場合、衣服越しのお尻を撮影したわけで下着でも裸でもありません。しかし服を着ていたかは重視されず、人を辱めるもしくは不安にさせる行為であれば、条例違反の犯罪行為になることになりました。
撮影しなくても犯罪の可能性
実際に撮影して画像データが残っていないと盗撮として立証できないのではないかと思っている人もいるでしょう。これは自治体によって解釈も異なりますが、画像データが残っていなくても当人の許可なくカメラを向けた、三脚などで撮影しようとした時点で条例違反になる可能性があります。東京都などがそうですし、同じようなルールを設けている都府県が20前後あります。都道府県で見ると半分近くになるわけです。このように盗撮は実際に撮影しなくても、撮ろうとした段階で罪に問われるシステムになっていることは頭に入れておきましょう。
まとめ
まず基本的なことですが、盗撮は犯罪行為です。逮捕・起訴される可能性も十分あります。逮捕されると、今後のキャリアに大きな傷をつける可能性があります。今勤めている会社を解雇される可能性もありますし、学生であれば退学処分を食らう恐れもあります。盗撮されていることがわかっていても、どうすればいいかわからずにない寝入りしている人も少なからずいるようです。しかし警察に被害届を出せば、動いてくれる可能性もあります。もし盗撮の被害に悩まされているようであれば、警察なり弁護士なりに相談してみるのはいかがですか?