盗撮被害における慰謝料・損害賠償の相場はいくら?
盗撮行為は性的な目的のものから、映画などの著作物の盗撮など様々です。
各都道府県によって迷惑防止条例が改正されたことにより、盗撮という犯罪行為の取り締まりがより一層厳しくなっています。その理由として警視庁のまとめでは、2018年の盗撮による摘発件数は4千件であり、2012年から比較すると6割増加しています。今回は減少することのない盗撮行為に対しての慰謝料や損害賠償の相場について調べていきます。あなたも知らない間に盗撮のターゲットとなっているかもしれません。
法律や条例による盗撮行為の処罰(罰金)はいくら?
各都道府県では「迷惑防止条例」が定められています。
それを元に、まずは盗撮行為がどのような刑罰になるのかをご紹介していきます。
盗撮の定義と禁止されている盗撮行為について
盗撮の定義とは「正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること」とされています。
東京都が定めている迷惑防止条例では、以下の場所での盗撮行為が禁止されています。
●住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部または一部をつけていない状態でいるような場所
●公共の場所、公共の乗り物、学校、事務所、タクシーその他不特定または多数の者が利用し、または出入りする場所または乗り物
この条例に違反した場合、初犯の場合だと「1年以下の懲役、または100万円以下の罰金」となります。さらに常習犯だと「2年以下の懲役、または100万円以下の罰金」と罰せられる重さが異なってきます。
盗撮による慰謝料の相場
次にご紹介するのは「盗撮による慰謝料の相場」についてです。
盗撮被害にあったという方も多い中で、慰謝料を請求することが出来るのであればと考える人も少なくないでしょう。結論から言いますと、「盗撮行為に対する明確な慰謝料の相場はない」というのが正しいかもしれません。というのも、慰謝料の具体的な数字というものは最終的な裁判官の裁量によって決まるからです。
ネット上では初犯だと10万から30万円ほどが一般的とされています。
事件によっても慰謝料の金額は変わってきます。
実際の例を元に、大まかな相場を確認していきましょう。
盗撮対象が未成年である場合
高校生などの未成年者が盗撮の対象となった場合、保護者が代理人として慰謝料請求をすることが可能です。この場合、示談金は30万から50万円になるケースが多いです。
また、未成年に対する盗撮では「児童ポルノ禁止法」という法律に触れる可能性が十分にあり、加害者は3年以下の懲役、または300万円以下の罰金という重い処罰が下されることがあります。
学校・職場・更衣室・トイレなどでの盗撮の場合
条例の改正理由として、規制の盲点となっていたのが学校や職場の盗撮でした。
スマホのカメラ機能の進化や小型カメラが簡単に手に入れられるようになり誰でも容易に盗撮をすることができてしまいます。また、盗撮場所なども様々なのが問題となっています。
スマホを利用し女性のスカートの中を盗撮する事件、更衣室で着替えている姿を盗撮する事件、職場やトイレに小型カメラを設置し盗撮をするなど盗撮事件は後をたちません。
どのケースを取っても慰謝料の金額に大きな差はなく、10万から30万円と考えるのが妥当です。
盗撮に対する慰謝料請求裁判の事例
実際にあった慰謝料請求裁判のケースを紹介していきましょう。
盗撮は対象となる人物への精神的ダメージが大きく、またその映像が販売目的となると慰謝料請求を行った場合数百万円にもなることがあります。
以下の事例では、実際に許可なく盗撮された映像が第三者へと販売されてしまったパターンとなります
・アダルトビデオ販売業者がレースクイーン(芸能活動)であった原告の全裸姿を盗撮、販売した事例です。このビデオ内容は、原告のプライベート旅行で行った際の露天風呂での入浴している瞬間が盗撮されていたというケースです。
アダルトビデオ店では、原告の「盗撮された入浴画像」や「全裸姿」を販売促進となるようなコメントと共に販売していました。これにより、原告は本件ビデオが店頭で販売されていることを確認すると共に、精神的損害を被ったとし警察へ相談を行います。そして、本件ビデオの制作会社と被告に対して告訴するに至りました。被告が盗撮ビデオの流通を防ぐための処置を取っていなかったこと、その結果、本件ビデオがそのまま店頭販売されてしまったという事実がある以上は被告の責任は大きいと考えられる。原告の精神的苦痛などが考慮され、慰謝料として200万円が支払われました。
・公衆浴場での盗撮映像を元にDVDの制作・販売
このDVDは公衆浴場での女性用脱衣室や女性用浴場を盗撮したものであり、原告もそのDVDの映像内に映っていたことから損害賠償請求を起こしました。
本件のDVDは1と2があり商業用としてネット上でも広告を打って販売されるなど、不特定多数の第三者がDVDの内容を容易に知ることが出来る状態である。
この事から原告は常に周りから好奇な目で見られているというストレスを感じ、家事や子育てに支障が出ていました。最終的にはリストカットするまでに至り、その精神的苦痛は相当なものであると考えられます。被告は原告の承諾なしに盗撮であることを把握した上で、商品売上のために販売行為を続け利益を得ていたという点でも違法性が大きい。
以上のことを考慮すると、原告に対する慰謝料としてDVD1及び2に係る不法行為につき400万円の慰謝料が支払われた。
まとめ
盗撮行為に対する慰謝料についてご紹介してきました。
盗撮を軽く見ている人はとても多く、女性に対する性目的での盗撮はあとを絶ちません。
ネット上への映像流出や商業として利用されているケースも多く、盗撮は大きな問題となっています。
もしあなたが盗撮被害にあった場合、まずは弁護士や警察へ相談することをお勧めします。
また、弁護士へと言いましたが、場合によっては慰謝料が高くないことも多く弁護士費用が余計にかかってしまうケースも少なくありません。
そういった場合は刑事事件として加害者と示談交渉をして慰謝料を支払ってもらうのが望ましいでしょう。
被害を受けた時の精神的苦痛は想像以上のものかもしれません。しかし、何もせずにそのままにしておくと、もっと被害が広がってしまう可能性が考えられます。
今回の記事を参考に、慰謝料の大まかな相場や事例を参考にしていきましょう。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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