未上場企業の信用調査を行うためにはどうすればいいのか?
企業に関する情報を収集するにあたって、上場企業であれば資料集めはそれほど困難ではないです。株主向けに決算書はじめ資料を公開しているからです。しかし非上場企業の場合、資料が公開されていないので会社の真の状態を調べるのは大変です。
会社の信用調査を行う理由
会社に対する信用調査を探偵事務所に依頼するところは少なくありません。なぜ信用調査を行うのか、それは倒産リスクがないかどうかを調べることが目的です。これから新規取引を始めようと思っているけれども、当面倒産しないだけの体力があるかどうかを把握するためです。大手企業がベンチャー企業や中小企業など非上場企業と新規取引する場合に、信用調査を実施することが多いです。
信用調査を行う背景として、日本の取引習慣も関係しています。企業間取引では、まず商品を納品します。そしてあらかじめ設定された支払期日に納入を受けた企業が代金を支払う形です。この支払期日は取引内容によってまちまちです。少額の取引であれば、納品の翌月末に支払うことが多いでしょう。しかし大きな取引の場合、納品から90~120日後に支払いというケースも珍しくありません。
90~120日というのは結構な期間です。実は悪質な業者の中には、この空白の期間中に商品だけ受け取って持ち逃げする場合もありますし、倒産してしまう企業もあり得ます。こうなってしまうと商品だけ取られて、代金は受け取れない事態になってしまいます。実際計画倒産といって、前金で資金を集めてあらかじめの予定通りに「資金がショートしました」と言って自己破産してしまうのです。こうなると倒産企業は代金の支払いが免責されます。つまり納入した企業は泣き寝入りせざるを得ません。このようなことにならないように、相手が本当に取引をしても大丈夫か、信用似たる会社かどうか調べるのは信用調査です。
M&Aのための信用調査
近年中小企業を対象にM&Aを推し進めている企業も見られます。しかし中小企業の場合、非上場企業がほとんどです。このため、なかなか市場に経営に関するデータが出てきにくいです。M&Aを仕掛けてみたけれども、実はいろいろな問題を内部に抱えていて、買収先として適切ではなかったというパターンも考えられます。そこで非上場企業を買収しても経営上問題ないのか、前もって信用調査を行う事例も増えてきています。
決算書の入手は困難
日本で未上場企業の決算書を入手するのは困難といわれています。会社法では、資本金5億円以上もしくは200億円以上の負債額を抱えている株式会社は決算書を公開する義務があります。しかしこの法律に違反しても、罰則を科された事例が今までありません。このため、大半の中小企業は決算書を公開しない傾向が見られます。よほど相手の取引先と関係が深く、信頼関係を構築している場合に限り見せてくれる場合もあります。しかし取引をしていても見せないのが普通です。
決算書の入手を信用調査の一環として、探偵事務所にお願いする企業もあります。しかし探偵のようなプロをもってしても、決算書を入手できるのは全体の20~30%といわれています。ただ探偵事務所では決算書を入手する以外でも、対象の企業の与信を調査することは可能です。推定財務と呼ばれる指標を収集して、信用状態を判断する手法です。
経営者に着目する方法
経営者の情報で与信を判断することも可能です。例えば経営者の経歴をチェックします。業界年数はどのくらいか、技術畑や営業畑などバックボーンは何かで経営者としての適性があるかどうか判断できるでしょう。また現在の経営者が何代目かも判断材料になりえます。創業者であれば、事業を軌道に乗せるまでにいろいろな苦労をしてきた可能性が高いです。経営者としての基礎体力があると推定できます。しかし2代目の場合、先代が築いた土台の上で苦労をあまりせずに経営を続けられている可能性があります。そうなると経営者としての能力は初代と比較して劣る可能性があります。このように経営者の素性を見るだけでも、その会社の基礎体力は判断できます。
探偵はどう信用調査を行う
決算書が入手できなくても、非上場企業の信用調査を探偵事務所は行うことが可能です。例えば登記情報を収集するアプローチが考えられます。法人として活動する以上、商業登記が行われているはずです。しかし中には登記を行っていないような企業や実態と異なる登記をしているところもあります。このようなところは悪徳業者の可能性が高いと判断されます。また不動産登記を調査する場合もあります。企業が不動産を持っていれば、その資産を処分して再建を確保するなどの戦略も練れます。
訪問調査の実施
探偵事務所の中には先方に直接訪問調査をする場合もあります。会社の代表や役員、経理責任者などと話をして経営状態をチェックします。しかしこれは義務ではなく任意です。中には調査を拒否する企業もあるかもしれません。その場合、探偵事務所では側面調査を実施します。対象の企業ではなく、取引のある企業や銀行など周りから調査をする方法です。大手の探偵事務所ならさまざまなパイプを持っているので、そのコネを使った調査になります。側面調査の場合、訪問調査と比較すると入手できる情報に制約があるかもしれません。しかしよろしくない評判などをキャッチするには十分活用できる手法です。このようにいろいろな手法で、非上場企業でもその会社の評判などを収集できます。
まとめ
企業活動を行う以上、ほかの会社との取引は欠かせません。しかしもし相手が悪意ある企業であれば、代金を支払わずにトンヅラしてしまうことも十分あり得ます。金額によっては、支払われるべきお金が入ってこないことで大きな損失を被る危険性もあります。自社の経営状態がとたんに悪化する可能性もゼロではありません。新規取引する際には、相手がこちらの信頼に足る企業かどうか、慎重に判断したほうがいいでしょう。そのためには探偵などのプロを使って、信用調査を実施すべきです。非上場企業で情報が限定されていても、探偵ならいろいろな情報を収集できるので適切な評価ができるでしょう。
投稿者プロフィール
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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