信用調査を行う依頼のタイミングについてと集めたデータからの判断方法

信用調査とは、取引相手の経済状況を知るために行う調査です。与信調査とも言われています。新しく取り引きをしたい相手が、信用に足る会社かどうかを判別するために調査を行い、結果をもとに取り引きを行うか否かを決定します。
この調査を企業調査会社へ依頼する場合、依頼するタイミングや、注意点はあるのでしょうか。また、集めた情報の分析の仕方についても調べてみました。
調査会社に依頼するときのタイミング
新しく取り引き相手が決まりそうな時、すぐにでも調査をするべきですが、調査会社へ依頼するベストなタイミングはいつなのでしょうか。
最新の決算書を手に入れる
過去の決算報告自体は、大手企業であればホームページに記載されていることが多いです。しかし、判断材料は多いほうが良いので最新の決算書を手に入れることができる期間に依頼するのがベストタイミングです。
この最新の決算書を手に入れられるタイミングが、決算日の2ヶ月以内になります。例えば、決算月が3月の企業の場合、決算から2ヶ月以内に法人税を申告しなければならないと会社法で定められているため、決算数字が出るのは、遅くとも5月頃になります。
なので、法人税の算出に必要な決算書を作成する期間の4月、5月頃に調査会社へ依頼すると最新の決算書を手に入れられる可能性が高まります。ただし、取り引き相手に良からぬ噂が流れていたり、早めの判断が必要な場合は早急に依頼をお願いしましょう。
急ぎであれば速度料を払う
調査日数として基本は1ヶ月かかるものですが、急ぎであれば調査会社で定められている速度料を支払うことにより、調査報告書の仕上がりを早めることができます。どうしても急ぎで調査対象の会社の判断をしなければ行けないときは、利用するのも一つの手です。
依頼するときの注意点

調査会社はその道のプロですが、依頼するときに注意すべき点はあるのでしょうか。大切なのは、自社であらかじめ目的を明確にすることです。
依頼内容を明確に伝える
相手に取り引きできる信用があるかどうかを調べるのが依頼調査ですが、調査の意図を具体的にして、依頼内容を明確に伝えましょう。例えば、今後の事業展開ビジョンや、主要取引先、取引先との信頼関係など、自社調査では聞きにくい内容でも、これが知りたいんですと調査会社に伝えることで、知りたい情報を掴むことができます。
自社の取り引き方針を決めておく
もし調査対象会社が1年以内に倒産する確率が5%だったと判断された場合、取り引きを中止しますか?それとも販売条件を調整して取り引きを継続しますか?この問に正解は無く、自社の方針によって判断が下されます。
ある会社は貸付金が回収できないことを恐れて、安全第一に考えて取り引きを中止します。またある会社は販売条件を調整することで利益を出すことを目的にするため、収益を第一に考えて取り引きを継続します。
どちらの対応も自社の方針による決定なので、どちらも間違っていないのです。この方針判断が不明瞭なままだと、依頼により情報を得たとしても、次の行動を起こすことができません。経営者が取り引き方針の意思決定を明確にすることが大切です。
情報の分析

集めた情報をもとに与信調査を行い、取引するのにふさわしいかどうかを評価します。評価には、以下の分析を用います。
定量分析
定量分析とは、決算書の数値で表されているデータを分析することです。取引先の経営状態をつかむには最も確実な手法と言えます。財政状態が分かる貸借対照表や、営業成績が分かる損益計算書は入手して分析するべきです。
直接入手できなくても、調査会社などから間接的に入手したり、外部に公開している資料から決算数値を入手し、分析を行います。定量分析の対象となる数値データとして、全ての資本のうち自己資本がどのくらいを占めているかを表す「自己資本比率」や、負債の返済に使える資産がどれくらいあるのかを表す「当座比率」など様々です。数値という明確な指標を扱うので、誰が見ても同じ結果となる点に特徴があります。
定性分析
定性分析とは、数値を扱う定量分析に対して、数値では表せない情報を定性分析と呼びます。数値のように固定された結果は出ませんが、会社の状況を判断する際には大いに活用できるものです。定性分析の分析対象となるのは、「代表者の能力、人柄」「商品、業界の見通し」「系列、株主の分析」などが挙げられます。
「代表者の能力、人柄」は、経営者として会社に意識が向いているか、反社会的勢力と交流はないかなど素行の分析をされます。「商品、業界の見通し」は、販売している商品に伸びる傾向はあるか、業界のこれからの動向はどうなのかが判断の基準です。「系列、株主の分析」は、株主の中に経歴があやしい企業や個人が存在していないか、親会社に信用はあるかなど企業としての信用性を分析しています。
このように数字に表れない定性分析を行うことによって、取引先の今後の可能性を評価しています。定量分析だけでも定性分析だけでもどちらかで判断することは危険ですので、必ず両者合わせて判断することが大切です。
商標分析
リスクを回避のためには取引先の分析だけでなく、販売する商品の仕入先やエンドユーザーなどの取引の流れの全体像を見て、トラブルとなるような危険な点がないかを確認します。
絶対評価と相対評価
集めたデータを分析して取引先の信用力を評価します。その判断が絶対評価と相対評価です。絶対評価は、事前に自社で定めた与信基準に沿って、取引先の信用を判断するための評価軸です。相対評価は、特定の業界の中で比較し、取引先を全体から捉えた際の信用を判断する方法であり、自社取引先などと比較してどれくらい信用できるかを判断します。このように、2つの評価軸から信用力を判定し、実際に取り引きを行うか否かを決定します。
まとめ

信用調査を行うのも、与信判断をするのも、リスク回避のため慎重にしなければいけませんが、同時に的確に素早く行わなければ機会の損失になってしまいます。調査はタイミングよく行い、集めたデータを素早く分析して、自社の方針に沿って与信判断を行うことが大切です。自社の経営の発展のためにも、調査は的確に行いましょう。
投稿者プロフィール

- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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