筆跡鑑定のしやすさは、比較に使う文字数によって変わる?鑑定に必要な材料とは
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筆跡鑑定とは、ある筆跡を比べた時に、その筆跡が同じ人が書いたものかそうではないかを判断することです。正しい鑑定をするためには、比べる資料の文字と同じ特徴を見つけることが必要であり、それが多ければ多いほど鑑定が正しい確率は上がります。
筆跡鑑定をするためには、どれくらい文字数がなければいけないのでしょうか?また、文字数が多くても鑑定が難しくなることはあるのでしょうか?鑑定に大きく関わってくる文字数の関係と、その理由についてをお話ししていきます。
1.筆跡鑑定のやり方
筆跡鑑定をするために必要な文字数について知るため、まず鑑定をする方法を説明します。
筆跡鑑定は文字と文字を比べるもの
筆跡鑑定によって調べたい筆跡がある場合、その筆跡と照らし合わすことができる筆跡が必要です。その2つを比べて特徴に違いがないと分かった結果、同じ人が書いた文字か、そうでないかを判定することができます。
その鑑定をするためには、この2つの中に共通して同じ文字が入っていることが必要になります。ただ、用意した対照のための資料に、必ずしも比べることができる同じ文字が入っているとは限りません。
筆跡鑑定に必要なものは「共通文字数」
鑑定するための資料と、比較するための資料のどちらにも共通して書かれている同じ文字のことを「共通文字」と呼び、その文字の数を「共通文字数」といいます。共通文字が多ければ多いほど、文字を比較できる回数が増えるため、鑑定の精度が上がるのです。ですので、正確な鑑定結果を出すためには比較できる資料と共通の文字が入っていることが基本ということになります。しかし、鑑定を依頼するときに必ずしも共通文字の入った資料を用意することができるわけではありません。
共通文字がない時の鑑定方法
比較したい筆跡の資料と同じ文字が入ったものがない場合にも、筆跡鑑定ができないわけではありません。漢字の「へん」、「つくり」など同じ一部分を比べて鑑定をしたり、ひらがなの場合は「ね」、「れ」、「わ」や「ぬ」、「め」など、途中まで同じ書き方をする文字同士を比べることによって鑑定を行います。ただ、完全に同じ文字ではないので、鑑定結果が正しいものである確率は、共通文字がある時と比べて落ちてしまうでしょう。
共通文字がない場合は、比較をすることができる似た文字数が多くあることが必要です。共通文字の書かれた資料を用意できなくても、文字数が多ければ鑑定が可能になるのです。
2.筆跡鑑定に必要な文字数はどれくらい?
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文字数が少なくても筆跡鑑定をすることはできる
比べることができる文字数が少なくても、筆跡鑑定をすることはできます。比べられる同一の文字が1文字あれば鑑定が可能になるためです。ですが、文字数が多い場合と比べるとどうしても鑑定の精度は下がるため、少ない文字数で筆跡鑑定をすると、その結果の信憑性は落ちてしまいます。
文字数が少ない領収書の鑑定
文字数が少ないものとして、領収書や契約書類を例に挙げてお伝えします。こういったものは、名前しか書かれていない場合も少なくありません。人の名前はほとんどが10文字にも満たないくらいなので、鑑定に使うことができる文字数は限られてきます。
少ない文字数の中で鑑定をすると鑑定結果が正しい確率は下がってしまうことになりますが、領収書や契約書類に書かれた名前は、同じ人の名前であれば、それはすべて共通文字ということになります。同じ名前の書かれた領収書などを用意することができれば、鑑定結果を正しく出すことが可能になるということです。
遺言書の鑑定は文字数が多いが、難しい
文字数が多い物の例として、遺言書の鑑定を挙げます。筆跡鑑定をして欲しいという依頼が多くあるものが、遺言書です。領収書やその他の契約書類の鑑定に比べると、遺言書の文字数は圧倒的に多くなり、鑑定がしやすいと思われるかもしれません。
高齢による手先の動きの衰えや認知症、何らかの疾病によって文字を書くことが難しくなると、文字が大きく乱れてしまいます。遺言書の鑑定は、そういった状態のものを扱うことが多いです。そのため、たとえ文字数が多いとしても鑑定は難しいものになってしまうのです。しかし、文字数が多いということは、鑑定をすることは可能ということになります。
文字の状態が変わっていることが多いため、遺言書は難しい鑑定となります。それでも、多くある文字数の中から1つずつ丁寧に鑑定をしていくことで、書いた人物が同じかそうでないかを判断することができるのです。
遺言書の鑑定では、何者かに筆跡をまねて書かれたものが多くあります。漢字や平仮名の一部分を鑑定に使おうとしとも、偽造の遺言書はそういった部分も似せて書かれた文字のため、不可能になってしまいます。このように、遺言書は文字数が多いからといって簡単になるわけではなく、鑑定を難しくする他の要因が多いため、判断を慎重にしなければなりません。
筆跡の偽造は、文字数の多さには関係ない
文字数が少ないことを狙った偽造は多くあり、簡単に行われてしまいます。偽造のために書かれた文字は、対照の文字と同じように書かれるため、なかなか見抜くことはできません。そして上記でお伝えしたように、遺言者のように文字数が多いものでも偽造はあるのです。そのため、正しい鑑定をするためには、文字数も非常に大切なものですが、それだけに頼ることはできません。
筆跡鑑定に必要になるのは、その人特有の書き方のクセ、繰り返し書いた時の決まったパターン、意識せずに筆跡に現れる形、書く環境によって変わる筆跡のばらつき、他の人がしない珍しい文字の書き方といった要素です。この要素を合わせて、同じ人が書いたかそうでないかを判断して、より正確な鑑定結果を出さなくてはならないのです。
3.まとめ
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筆跡鑑定には、共通文字があるかないかが正確さを上げる重要なポイントになります。文字数は少なくても共通文字が多かったり、文字数が多くても共通文字が少なかったりなど、筆跡鑑定に用いられる資料は様々なパターンがあるということが分かりました。
文字数が多ければ参考にできる文字も多くなりますが、それだけで鑑定が簡単になるというわけではないのです。様々な角度から鑑定に必要な要素を集めて、それを合わせて判断することで初めて正確な鑑定結果を出すことができるのです。
投稿者プロフィール
![この記事の著者:PIO探偵事務所 調査員 T.K](https://pio-top.net/wp-content/uploads/2024/08/t.m-1-150x150.png)
- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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