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探偵コラム

金融機関は反社会的勢力に狙われやすい。反社チェックはどう行うのか?

金融機関は、融資したお金を反社会的勢力が活動するための資金に使われないようにするため、反社会的勢力との取引をしないことを求められています。反社会的勢力と関わることで、金融機関自体もリスクが生まれてしまうので、取引前に反社チェックを行うことは重要です。

「反社チェック」とは、金融機関に限らず、取引相手が反社会的勢力と関係を持っているかを調べることです。これを行うことにより、取引相手が反社会的勢力であった場合に見つけることができ、取引をやめることができるようになります。

1.金融機関では、反社チェックを行うことが必須

金融機関では、取引を新たに申し込みにくる人に対して、その人に対して「現在反社会的勢力と関係を持っていないこと」、「将来も関係を持たないこと」、「暴力的な要求や脅迫を行わないこと」を約束してもらうという決まりがあります。もしも関わりがあるのに嘘の申告をしたり、後に反社会的勢力と関わりを持つと、その時点で解約をすることになり、取引をすでに行っている最中であっても、取引の停止となります。

どのような人を反社会的勢力というのか?

2007年に示された政府の指針では、反社会的勢力とは「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」とされています。しかし、それは具体的にはどんなことをしている人なのかがはっきりと示されていません。定義があいまいなため、各会社や金融機関では、独自に定義を決めているところもあります。どんな人かを明確に決められていないため、反社会的勢力の可能性のある人が現れても、あくまで「疑いがある」に留まってしまうのです。

なぜ反社チェックを行うのか

暴力団やその関係者であれば、見た目ですぐに分かりそうと思っている人も多いです。しかし、実際には外見に何か特徴があるわけではなく、判断することが難しいのです。反社会的勢力であることを隠した上で一般的に知られている会社を経営していることや、会社やその人自体は何もしていなくても、反社会的勢力が裏で関係を持っていることもあります。そのため、その人を見ただけですぐに反社会的勢力だと発見することは不可能です。そのために、反社チェックを行うことが必要になってきます。

2.金融機関での反社チェックの流れ

窓口で身分証明書の提示、書類への書き込みを行ってもらう

反社会的勢力かもしれないと疑いのある取引相手から融資や口座開設の申し込みがあった場合、金融機関は、その人の身分証明書を提示してもらうことになります。そして、その相手のふりがな付きの名前、性別、生年月日などの情報を、書類に明記するように伝えます。金融機関は、その情報を本部の審査部や融資部に伝えます。

取引相手の情報を調べる

取引相手の情報を受け取ったら、審査部、融資部で反社チェックを行うことになります。その調査の結果、取引相手が反社会的勢力かそうでないかを判断することになるのです。

銀行の本部は、反社会的勢力である人が検索で出てくるように収集した情報を持っています。まずはそのデータを検索して、取引相手が引っかかるかどうかを調べることになります。そこで検索に出ず結果がわからない場合は、銀行員がその相手の自宅や勤務先に直接訪れ、実際にそこにいるかどうかや、その勤務先に存在しているかを調べます。

反社チェックを警察に頼ることも多い

相手のことを見極めるためには、金融機関が独自に調べても分からなかった時、警察からの情報提供が必要とすることもあります。ただ、活動している暴力団員や、その組員に関しては警察から情報をもらえますが、暴力団と関わっている企業や、暴力団員の下についている人物などの情報は、提供されないこともあります。疑いが低く、個人情報を守らなければならないためです。警察からの情報提供をもらえない場合は、金融機関は自分たちの判断で反社会的勢力かそうでないかを見極めて除外していかなければいけません。

金融機関の中には、警察からの情報がもらえない場合には、反社会的勢力と疑われる人物であっても排除しない場所もあります。どれだけ反社チェックを行っても、全ての反社会的勢力を見抜いて排除することは難しいことなのです。

契約後も定期的に調査をする

一度契約をしてしまえば、あとは何もしないというわけではありません。反社チェックに使用する情報をさらに充実させ、反社チェックを定期的に行い、取引を開始した相手に対しても、細かく調査を行います。

反社チェックを行った結果、相手が反社会的勢力であったと判明した場合、その相手との取引を解消します。その時、警察や弁護士に協力をしてもらうと解消がスムーズに進みます。契約後に反社会的勢力と判明した場合は、融資した額の回収を可能な限り行い、反社会的勢力への利益を少しでも抑えるようにします。

3.金融機関が反社会的勢力と取引をしてしまうことのリスク

反社会的勢力を取引先から排除していかなければならないことは分かりましたが、実際に調査では分からずに契約をしてしまうとどうなってしまうのでしょうか?そのリスクについてお話しします。

世間からの信頼がなくなる

その金融機関自体は反社会的勢力ではなくても、関係を持った会社になってしまうとことで、新聞記事やニュース番組などで世間に広く知れ渡ってしまいます。そうなると世間から信頼されなくなってしまい、取引をしたいと思う人はいなくなります。そうなってしまうと、会社の存続自体が危うくなってしまいますし、過去にもそれが原因で経営の危機にさらされた企業が多くあります。

反社会的勢力の人から直接的な被害を受ける

取引を開始する時には気づかなかったけれど取引開始後に発覚した、という場合に、その反社会的勢力の人から直接的な被害を受けてしまう可能性もあります。無茶な要求を受けたり、「この会社が反社会的勢力と繋がっていると世間に広める」と脅されたりもします。会社も周知されることは避けなければならないことと考えているので、たとえ相手の方が悪くても、要求を飲まなければならない事態になってしまうかもしれません。

このような危機が生まれないようにするため、取引開始時やその後にも、反社チェックを欠かしてはいけないのです。

4.まとめ

反社チェックを行うことが必須となってから、反社会的勢力の経済活動を縮小することに成功し、反社チェックに引っかかった場合には新たに銀行口座を開設することもできなくかりました。しかし、それでもまだまだ反社会的勢力はあちこちに潜んでいて、隙あらば取り入ろうと色々な策を巡らせており、とても巧妙なやり方で活動資金を得ようと金融機関にやってきます。

反社チェックによる反社会的勢力の排除は進んでいますが、トラブルが完全になくなったわけではありません。問題ごとを避けて安全な経営をするために、金融機関も様々な仕組みを使って反社会的勢力対策に力を入れなければならないのです。

投稿者プロフィール

この記事の著者:PIO探偵事務所 調査員 T.K
この記事の著者:PIO探偵事務所 調査員 T.K
10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。

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