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探偵コラム

反社チェックは脱税をしている企業に対しても必要なのか?

「反社チェックの項目の一つとして、脱税をしているかどうかを調べたほうが良いの?」
「取引先が脱税をしている疑いがあり、取引を継続して良いか分からない。」
この記事は、そのような方に向けて書いております。

日本には民間企業や公企業など数えきれないほどの企業が存在しており、その中には“反社会的勢力”と呼ばれる企業活動を装って資金を不正に獲得しているような危険な組織も存在しています。
そのような悪徳な組織から企業を守るために、『企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針』が2007年に小泉内閣より発表され、反社会的勢力を排除する動きが全国的に活発になりました。
全ての都道府県で暴力団排除条例が施行された今では、会社を経営する際に取引相手が反社会的勢力ではないか確認する「反社チェック(コンプライアンスチェックとも呼ぶ)」を必ず行うことが当たり前になりました。
ですが、取引をする相手が暴力団や詐欺グループでないことを確認できれば良いのかと言うと、それだけでは不十分です。
例えば、過去に行政処分や行政指導を受けた経歴がないか、金融機関のブラックリストに登録されていないか、過去に脱税や申告漏れがあったかどうかなどを確認しておくことも重要です。
本日は、その中で脱税に焦点を当てて解説をしていこうと思います。

1.申告漏れと脱税の違いとは何か?

日本では、納税する人自らが税務署で所得等の申告を行い、納めるべき税額を確定して納税をする『申告納税制度』を取り入れています。
税務署で所得等の申告を行い、納税額を確定させることを確定申告と呼び、毎年3月15日までに昨年で得た所得等の申告を行わなければなりません。

この確定申告を行わなかったり、申告をする際に所得や収益の一部を故意に隠ぺいしたり改ざんすることで、納税額を不正に削減することを「脱税」と呼びます。
また、脱税とは違って意図的ではなく、自分の知識不足や申告内容の誤りによって本来納めるべき税金を納めなかった場合は「申告漏れ」と呼び、脱税と比べてペナルティーは軽くなります。

脱税を繰り返す企業は反社会的勢力とみなされるのか

結論から言うと、「脱税をしている企業は反社会的勢力である」とハッキリと定義づけられてはいませんが、反社会的勢力と捉えられる可能性は十分にあります。
反社会的勢力の捉え方について、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」では以下のように記されています。
『暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要である。』
この文言を見ての通り、反社会的勢力の捉え方の基準はとても曖昧です。
「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」という文言がありますが、脱税という行為は捉え方によって、国家や自治体に対しての詐欺的手法と言えます。
このように、反社会的勢力の定義が曖昧であるがゆえに、脱税という行為が反社会的勢力と決定づけられる可能性は十分にあるのです。
では、脱税を繰り返している企業と普段から取引をしている企業はどうなのでしょうか?
反社会的勢力を排除する動きが強いこの世の中において、反社社会的勢力と取引をしてしまった企業は、「反社会的勢力の活動を支援した企業」と捉えられてしまい、社会的信用を失ってしまうケースがほとんどです。

つまり、脱税を繰り返す企業が反社会的勢力と捉えられる可能性を否定できない以上、脱税をしている企業と取引をしてしまうことは「脱税に加担した企業」と捉えられても文句は言えないのです。

3.取引先が脱税をしている可能性がある場合の対応について

取引先が過去に脱税をした、若しくは現在脱税を企ている可能性がある場合、その相手と取引を行わないことが賢明です。

ですが、脱税の疑いがあるのがお得意先である場合、なかなか断れないケースも多くあります。
実際に、お得意先から脱税の協力依頼として架空の請求書を発行したり、取引内容の改ざんを行ったりすることは珍しいことではないようです。
それでも、いくらお得意先だからといって脱税に加担することは立派な法律違反であり、絶対に行うべきではありません。
「バレなければいい」と考えている人もいるでしょうが、基本的に脱税はバレます。
それ程税務署のチェックは厳しく、自社が脱税を行っていなくても取引先に脱税の疑いがあれば、自社に情報を求めて税務署から調査に来ることもあります。(これを反面調査と呼びます)

反面調査とは言え、自社に税務署の人が頻繁に調査に来ることは、他社から見て決して見栄えの良いものではありません。
そればかりか、「あの会社は税金を滞納していたのではないか?」と、他社に誤解を与えてしまう原因にもなりかねません。
このような事態を回避するためには、脱税の疑いがある企業とは、例えお得意先であっても最初から取引をしないことが重要です。
また、一度脱税で摘発された企業は国税局のブラックリストにしばらくの期間登録され、その間は金融関係の審査に通らないようになっているそうなので、取引前の反社チェックを行う際は過去に脱税や金融トラブル歴がないかを確認しておきましょう。

まとめ

・本来納めるべき税金を“故意に”納めなかった場合は脱税、故意ではない場合は申告漏れとなる。
・脱税をしている企業と取引をした場合、脱税に加担したとみなされる可能性がある。
・脱税をしている企業とは関係を持たないようにし、反社チェックと項目の一つに入れる必要がある。
・脱税をすると国税局のブラックリストに登録され、金融関係の審査に通らなくなっているため、取引前に確認することが重要である。

以上が、脱税の疑いがある企業への対応についてのまとめです。
脱税をしているかどうかに限らず、企業として他社と関わっていく上で、何か不審な点がないかを見極める能力は身に着けておくべきです。
自社を守るためにも、しっかりと防衛線を張って他社と取引をするように日頃から徹底しましょう。

投稿者プロフィール

この記事の著者:PIO探偵事務所 調査員 T.K
この記事の著者:PIO探偵事務所 調査員 T.K
10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。

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