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探偵コラム

応募者の採用調査を行うことに違法性はない?行う際の注意点とは?

人材を採用するにあたって、その人の身辺調査を念のためしておきたいと思っていませんか?しかしここで問題になるのは、法的にどうなのかという点です。採用調査は違法に当たらないかどうか、行うにあたって注意すべきことについてまとめました。

1.法的には問題なし

結論から言ってしまうと、採用調査を行うこと自体は犯罪には該当しません。使用者たる企業には採用の自由が認められています。どんな人を雇うかは企業側の自由で、法的な縛りは基本的にありません。

経済活動の自由で保証されている

企業には経済活動の自由が保証されています。経済活動の中には雇用も含まれます。特定の人材を雇用するにあたって、必要な情報を収集して採用するかどうか判断することは経済活動の自由の一環です。ちなみに昭和48年には三菱樹脂採用拒否事件がありました。これは原告が企業に対して嘘をつき、のちの調査によってその虚偽が判明したことで採用を見送った事件です。この判例によって、採用調査をすることは公的に認められています。

厚生労働省では配慮すべき事項に

厚生労働省では、採用選考の公正性を期すために配慮すべき事項についていくつか具体例を挙げています。その中に身元調査などの実施が明記されています。出生地や家族、生活環境、生活心情などを調査することは違法ではないけれども、好ましくないと考えられています。このような部分にも配慮しながら、調査を行わないといけません。

2.採用調査の現状はどうなっている?

採用調査は違法性はないものの、厚生労働省によって好ましくない行為とされています。では現在企業は採用調査を行っているかどうかについて、ここで見ていきます。

行っている企業は少数派

採用調査について行っている企業は、あまり多くないといわれています。かつては転職希望者の場合、前職の勤務先に電話で直接といわせる方法が普通に行われていました。しかし1980年代を境に、個人情報に関する法律がかなり整備されています。個人情報をむやみに他人に見せることに慎重になって、前の勤務先に問い合わせてもなかなか教えてくれなくなりました。つまり、採用調査そのものが成り立ちにくくなってしまっています。

特定の業界では行われている

ただし特定の業界では採用調査を入念に行っているところもあります。それは警備業界と金融業界です。警備業界では警備業法といって、過去5年以内に犯歴がある、薬物中毒者などは警備員になれないという法律があります。著名人や重要な金品の輸送における敬語を行うので信頼できる人物かどうか、しっかり調査を行う必要があります。金融業界でも、過去金銭に関するトラブルを起こしていないか調査を行うことがあります。金銭を日常的に取り扱うため、金銭面で信用力がある人物かどうかを調査する可能性があります。

リファレンスチェックとの違い

外資系企業ではよくリファレンスチェックというものを行っています。これを採用調査と混同している人も多いです。しかし両者には明確な違いがあります。採用調査は履歴書に書かれている内容などに誤りはないか確認するのがメインです。一方リファレンスチェックとは、履歴書や面接だけではわからない応募者の一面を知るのが主要な目的です。応募者をよく知る前職の上司や同僚から意見を求める方式です。欧米では選考過程にリファレンスチェックを導入しているところも多いです。このため、外資系でこのようなリファレンスチェックを行うケースも多いわけです。

3.採用調査を行うにあたっての注意点

採用調査を行う際にはいくつか注意すべきポイントがあります。どのような部分に注意すべきか、主要なポイントについてまとめましたので参考にしてみてください。

退職証明書を発行してもらう

転職希望者を採用するにあたって、前職の退職理由を知りたいという企業もあるでしょう。その場合には前職の会社に退職証明書の発行を求めるのがおすすめです。退職証明書は当人から請求します。この時退職事由を明示しなければなりません。「自己都合」や「会社都合」といった表現で具体的な理由までは書かれないでしょう。しかし少なくても前職を解雇されたかどうかは判断できます。

前職の会社が情報提供する可能性は低い

前職の会社が応募者に関する情報を本人の同意なしに提供することはまずないです。もしそのようなことをすれば、場合によっては名誉棄損やプライバシーの侵害、個人情報保護などの問題になりかねません。訴訟沙汰になりかねません。また採用調査を行うこと自体は違法ではないです。しかし情報をどのように取得したか、そこに違法性が認められれば、後々問題になります。このようなところにも十分留意の上で、採用情報を進めましょう。

タイミングについて

どのタイミングで採用調査を行うかも重要なポイントです。これは選考途中で行うといいでしょう。選考がすべて終わるタイミングの前後で採用調査の結果も出て、それらを見て総合的に判断する形式が好ましいです。もし内定を出した後で採用調査を行うと、問題が見つかった場合に採用取り消しという形になるでしょう。そうなると、応募者との間で内定取り消しの理由の押し問答が起こりかねません。選考途中で「これは!」と思える人材がいれば、採用調査を進めるようにしましょう。その中で会社にとってふさわしい人材かどうかを検討し、採用するにあたって不安要素を払しょくするのが好ましいです。探偵事務所などに採用調査を依頼する場合には、その辺も逆算して打ち合わせをしておくといいです。

4.まとめ

個人情報保護の観点から、一昔前と比較すると採用調査はやりにくい状況になりつつあります。しかし警備員や金融関係の人材を採用する際には、信頼して仕事を任せられる人物かどうか判断するために調査を実施する場合も少なくありません。自分たちで行う方法もありますが、その手法に問題があると後々応募者との間でトラブルに発展しかねません。探偵事務所のようなプロに任せたほうが、法律の範囲内でしっかり調査してもらえるでしょう。採用調査を行う際には、入念に準備の上で進めるのが好ましいです。

投稿者プロフィール

この記事の著者:PIO探偵事務所 調査員 T.K
この記事の著者:PIO探偵事務所 調査員 T.K
10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。

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