離婚調停にかかる期間とは?離婚調停にまつわる疑問にお答えします

結婚も離婚も、夫婦双方の合意なくして成立しません。結婚は比較的どちらも前向きに考えているためスムーズですが、離婚となると「別れたあとの生活」「別れた際の慰謝料」「財産分与」など決めることが多く、事態は簡単にはまとまりません。
こうした離婚の話し合いがうまくいかない場合、問題を解決するために離婚調停という仕組みがあります。離婚調停とはどんな流れで行われるのか、また離婚調停はどのくらいの期間がかかるのかをチェックしてみましょう。人には聞けない離婚調停にまつわる疑問にもお答えします。
離婚調停にかかる期間とは?離婚調停の流れ

離婚調停は基本的に次の流れで進みます。
離婚調停申し立て→第1回調停期日→2回目以降の調停期日→調停終了
調停が終了する条件には主に3つあり、
・調停成立
・調停不成立
・調停の取り下げなど、やむを得ない事情での調停中止
離婚調停とは夫婦の話し合い、いわゆる協議だけでは決着がつかなかったものを、調停委員を挟むことで解決へと進めていくものです。夫婦それぞれから主張を聞き取り、どのような決定が良いかを調停委員が判断します。裁判のように最終決定ではないため、双方の合意がなければ不成立に終わります。同様に合意さえあれば調停成立となり、離婚調停自体が終了する仕組みです。
ここで気になるのが、一連の流れにはどれくらいの期間がかかるのかという点。これは場合によって異なり、短期間で成立する調停もあれば、長期化することもあります。
統計からみる平均期間
司法統計では離婚調停の平均を表しています。以下にまとめたので見ていきましょう。
審理期間 | 割合 |
1か月以内 | 5.2% |
3か月以内 | 19.8% |
6か月以内 | 30.1% |
1年以内 | 32.4% |
2年以内 | 0.7% |
2年以上 | 0.78% |
(参考:https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/249/012249.pdf)
以上のように、多くの調停が1年以内に終了し、最も多いのは6か月以上1年以内という結果でした。とはいえ圧倒的な差はないので、一概には平均通りに行くとは言えませんし、中には2年以上の長期化があることも実情です。
離婚調停の申し立てから第1回目の期間
離婚調停は申し立てしてからすぐに開かれるわけではなく、裁判所の予定に組み込まれるまでに期間が発生します。混雑状況にもよりますが、一般的には1か月程度と考えておきましょう。また、感染症対策によって一度に開かれる調停や裁判の数を制限している場合もあるので、現在ではこれ以上の期間が空くことも考えられます。
離婚調停そのものの所要時間とは
離婚調停の所要時間は、およそ2~3時間です。調停では申立人(調停を起こした配偶者)と相手方(調停に呼ばれた配偶者)は別室に案内され、それぞれ交互に調停委員と話し合います。話す時間は1回につき30分程度。これを2回ずつ行うと考えておきましょう。
1回目~2回目の期間
先ほどの離婚調停の流れでも説明したように、離婚調停は1回で話がまとまるのは稀です。司法統計から見ても2~3回のケースが多く、第1回目が終わったら日程調整を経て第2回目が開かれます。
この期間はおよそ1か月程度。そのため、1か月以内で(1回の調停で)終了するのは稀で、およそ半年ほどかかると考えておいた方がよさそうです。意外と長い期間が必要となるので、その間に仕事や家事・育児との調整が必須となるでしょう。
離婚調停が長期化する場合とは?

ただでさえ離婚の話し合いはネガティブで、できることなら短期間のうちに済ませたいものでしょう。しかし、離婚調停の内容や調停にかける問題の多さ、また離婚調停に関与する者の日程調整がうまくいかない場合は長期化する傾向にあります。
長期化を避けるためにも、あらかじめどんなケースなら長引くのかを知っておきましょう。自身の行動により離婚調停を円滑に進めることもできます。
離婚に対する考えが夫婦で対立している
離婚に対する考えが夫婦で「離婚したい」「離婚したくない」でそもそも食い違っている場合、離婚調停は長期化すると考えておきましょう。離婚は双方の合意なく成立はできず、明確な離婚理由がない場合はさらに話し合う必要があるからです。
離婚調停では「なぜ離婚したいのか」を分かりやすく、相手を説得させないといけません。浮気やDV、モラハラなど明確な理由がある場合は証拠を揃えておくと、調停委員への訴えも信ぴょう性が増します。
財産分与・慰謝料など、決めることが多い
財産分与や離婚の慰謝料額など、こうした離婚条件は当事者間で話し合うこともできます。これらもすべて離婚調停で取り決めるとなった場合、都度夫婦の落としどころを見つけないといけないため、単純に時間が必要です。
離婚条件の中にはお金に関することも多く、ほとんどの場合で争点となるでしょう。自分の主張を正当化するためには証拠が必要となり、「財産分与が妥当だと思える証拠」「慰謝料額が妥当だと思える証拠」と争っているポイントすべての証拠を揃えないといけないことからも、離婚調停期間は長引きます。
子供の親権・養育費が決まらない場合
夫婦に子供がいる場合、離婚する際に
・どちらが親権を持つのか
・養育費の額はどう決めるのか、支払い方法
など決めることが多くなります。これも先ほどと同様、離婚調停によって夫婦間の合意を得るのなら長期化すると考えられるでしょう。親権は基本的に母親が持つ場合が多いのですが、養育費は金銭的なことであり、夫婦の合意が取れにくいものの一つです。裁判所が決めた目安を活用する夫婦も多いですが、折り合いがつかず一方が納得していないと、調停は終了できません。
また、面会交流も離婚する前に取り決めておきたいもの。日時・頻度・場所など細かな内容も決める必要があり、話し合いそのものが長くなると思っておきましょう。
離婚調停を短く済ませるには?短期間で終わらせるポイント

平均して6か月~1年かかることの多い離婚調停。「できる限り長引かせたくない」と考える方がほとんどですよね。そこで、短期間で終わらせるためのポイントをまとめました。
事前に対策しておくと、すべての調停で有効とはいきませんが、何も準備していないよりも離婚調停はスムーズになります。自分の主張も受け入れてもらいやすいので、離婚調停をする前は準備を徹底しておくことをおすすめします。
調停委員を味方につける
まずは離婚調停で事情を話す相手の、調停委員に好感を持ってもらうことです。離婚調停は家庭裁判所所属の調停委員が調整をし、進めていきます。もし自分の主張の筋が通っており、調停を長引かせることなくまっとうな意見を持っている、と調停委員が判断すれば、相手に意見を受け入れるよう説得してくれることもあるのです。すると話し合いはスムーズに進み、本来なら相手が反対するところを合意が得られ、調停がまとまるかもしれません。
そのためには資料をしっかり用意し、自分の主張の説得力を高めておきましょう。調停に対する姿勢が本気であることのアピールにもなります。基本的なことですが、だらしない格好よりもきちんとした格好の方が、誰しも好印象を抱きます。感情的にならず、冷静に話すことも大切なポイントです。
陳述書を正しく分かりやすく記入する
離婚調停では申し立てする際に提出する「申立書」の他に、自分の言い分をまとめた「陳述書」も提出できます。離婚調停をスムーズに進めるためには、この陳述書の書き方を工夫してみましょう。
陳述書には原則的に何を書いてもかまいませんが、内容が支離滅裂で読みにくく、相手の悪口ばかり書いてあって論理的な根拠に欠けたものは、それだけで調停委員の心証を悪くしてしまうかもしれません。相手に嫌悪感を抱いていても構わないのですが、陳述書には記載する必要はありません。なぜ離婚したいと思ったのか、またその経緯を客観的事実に基づき正しく分かりやすく記入しましょう。
証拠を揃える
離婚調停は夫婦の合意があれば終了するので、自分の主張が正しいと思ったら裏付ける証拠を揃えておくと合意が得られやすいです。また、証拠があることで相手は言い逃れができなくなり、意見に同意せざるを得ないこともあるでしょう。
証拠を揃えるには、例えば夫婦関係の破綻を証明するために別居期間をまとめたり、夫婦の会話が少なくなった期間が長い記録を残しておくのも良いでしょう。しかし、中には証拠を自分で揃えるのが難しいケースもあります。それが、
・浮気や不倫の証拠
・DV、モラハラの証拠
です。これは証拠さえあれば「離婚するのは妥当」と共感が得られやすいのですが、自分だけではなかなか揃えにくいでしょう。その場合に調査を専門とする探偵や興信所を利用する方も多いです。
探偵や興信所では、調査によって成果が得られると調査報告書に分かりやすくまとめてくれます。離婚調停前は資料の作成や陳述書を用意する必要があるため、時間がなく十分に証拠がまとめられない場合にも役立つでしょう。
ただし、考慮しなくてはならないのは調査するにも期間が必要な点です。早めに調べないと本来ならわかっていたはずの証拠も残らなくなるため、可能な限りすぐ行動することをおすすめします。
浮気・不倫の場合に必要な証拠
浮気や不倫を証明するためには、基本的なところである「浮気相手との間に不貞行為(肉体関係)があったかどうか」を明らかにすることが大事です。ただ、特別な場合を除いて現場を押さえることはできないため、証拠から見て明らかに不貞行為であると第三者にも思わせるような証拠を揃えましょう。
例を挙げてみると、
・不倫相手とホテルや自宅に出入りする写真や映像
・決定的な性交渉中の写真、映像など
・性交渉があったと予測できるメールのやり取り
こうしたものが証拠になります。LINEで異性と親し気にしていた、友人数名から告発があったなどの証拠もまとめておくに越したことはありませんが、離婚調停で相手方が言い逃れをすれば覆すことができません。
DV・モラハラの場合に必要な証拠
・DVされた傷・あざなどの写真
・DV、モラハラが原因で診察を受けた際の領収書や診断書
・DV、モラハラ現場の録音
・周囲からの証言
これらはDV、モラハラの証拠として扱えるものです。具体的であればあるほど良いので、数を揃えておきましょう。また、探偵や興信所の調査もこれらの証拠集めを活用できます。聞き取り調査で周囲の証言をまとめたり、また調査会社としての目線から家庭内の録音をするためのポイントなどをアドバイスされたりできます。
弁護士に同席してもらう
離婚調停は経験している方の方が少なく、不慣れな場合が当たり前です。そんななか緊張せず冷静に話すのは難しいので、弁護士に同席してもらい話し合いを進める場合もあります。弁護士がいると「離婚調停に対して真剣に解決しようとしている」と調停委員からも好印象となりますし、何よりプロの弁護があるため話はまとまりやすいです。
離婚調停で気になる疑問にお答え
離婚調停に関する疑問に、次でお答えします。
調停が不成立で終ったら?
調停が不成立となったら離婚裁判に進みます。ただし、裁判はいつまでに起こすかは決まっておらず、日程調節の上その間の期間は自由に選べます。しかし、1年以上の期間が空くともう一度調停からやり直しを命じられることもあるので、できるかぎりすみやかに次の行動に移ることをおすすめします。
離婚調停の期日、相手が欠席したら?
無断欠席が続く場合の調停は不成立で終了します。しかし、理由があって欠席をし、裁判所にも連絡を入れている場合は、相手方が出席するまで調停は続行されます。本来よりも調停期間が伸びることもあるため注意が必要です。
離婚調停期間中の恋愛、不倫になる?
離婚調停が開かれてからの恋愛であれば、不倫にならないかもしれませんが、調停中に調停委員に事実が発覚すると、心証が悪くなるのは避けられないでしょう。もしかすると、婚姻期間中にも不倫があったのではないかとも疑われる可能性はゼロでもありません。
そのため、リスクを回避するためには、離婚成立後の恋愛がおすすめです。
投稿者プロフィール

- 10年以上にわたる探偵経験を持ち、調査分野のエキスパートとして認められている。これまでに手掛けた調査案件は年間200件以上にのぼり、その確かな調査力と洞察力で数多くの難解なケースを解決してきた実績を持つ。特に浮気調査や素行調査の分野で高い成功率を誇り、信頼と実績に基づいた調査を提供することを信条とし、クライアントからの高い満足度を誇る。
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